穴場立地で坪月商65万円を売るネオ大衆居酒屋「新宿 六」の新店舗、「東高円寺呑場 ニコロク」がオープン！今回は「ネオ感」を抑えた日常使いできる地域密着店に

グローバルダイニングから受け継ぐ「場所」より「中身と接客」重視の極意

居酒屋は、時代に合うメニューやサービスを徹底することで、情報感度が高い客から受け入れられやすい業態だ。イタリアン出身の中村氏が居酒屋に初挑戦した際も「ジャンルにとらわれず、お客様のニーズに合わせた料理、ターゲットを広く設定できるのがいい」と語っている。新宿でネオ大衆居酒屋で成功を得たが、東高円寺には似合わない「ネオ感」をなるべく控え、かわりに地元民のニーズにストレートに応える戦略を取った。何十年もこの地で店を営む小さな個人店が持つ独特の佇まいを壊さず、老舗は入りづらいという今の若者の感覚も加味し、融合させた。

「なんでまた、こんな人気のないところに店を構えるのか？といわれますが、僕らは立地よりも、ちゃんとした料理を提供することや、接客のほうを重視しています」と中村氏は笑いながら言う。たしかに東高円寺の立地は、周辺地域よりも家賃相場も低く、昔から芸人も住みつくような穴場の住宅街であり、やきとりや焼きとんのようなリーズナブルでコスパ重視のタイプの店が目につく。老舗の店においては、重々しく新参者は近寄りがたい。明るい雰囲気で、誰もが気軽に利用できそうな居酒屋がないことに気づかされる。

接客においては、「気が利く」「愛嬌がある」といった表面的な部分以外に、常連客の名前は必ず覚えるという見えない努力がある。「そういった接客はグローバルダイニングで叩き込まれました。僕らも若いうちはよくわかっていなかったことが、今ではどれだけ大事かわかるようになった」と語る中村氏。こうした心構えは、特に地元民の年配客のハートをわしづかみにしているようだ。

女性でも入りやすい、明るい店内。世代を超えて客同士がふれあえる、和やかで、温かみのある空間にした

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