新・編集長コラム

最先端のトレンド震源地はここ!渋谷で視察するならマークシティ裏へ

いつの時代も若者が集まり、トレンド最先端を発信し続ける街、渋谷。ただ、ひとくちに渋谷といっても細かく分けたエリアごとにそれぞれの特色があります。中でもここ最近、熱いエリアが「渋谷マークシティ裏」。ここに実力派酒場が次々に登場。酒場視察するならぜひ訪れたいエリアです。

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


明確な決まりがあるわけではありませんが、京王井の頭線渋谷駅とつながっている複合ビル「渋谷マークシティ」と国道246に挟まれた道玄坂一丁目エリアをここでは「渋谷マークシティ裏」と呼ぶことにします。ひと昔前は渋谷の東急本店から代々木公園に向かうオーチャードロード近辺を「奥渋谷(奥渋)」と称し、「アヒルストア」などワインバルを中心に感度の高い人が集まるエリアとして盛り上がりを見せました。その次なるトレンドエリアがこの「渋谷マークシティ裏」です。

井の頭線の駅改札出口付近は激安チェーン系の居酒屋が目立ち賑やかですが、西へと進み坂を上っていくと、次第に落ち着いた雰囲気になります。多くの同業者から注目された2023年2月オープンの「タートル」を筆頭に、その向かいには12月、「炭焼きリリー」がオープン。炉端とすしを打ち出しながらも、ナチュラルワインとクラフトビール、ハイチェアの席を用意しているあたりがしっかり「オシャレな渋谷感」を出しています。激安系チェーンとはまた違う若者層を取り込んでいるのが2022年1月オープンの「鳥とサワー 鳥どシ」。見た目にも鮮やかなフルーツサワーや骨付きの鶏肉焼きなど、トレンドに敏感な20代のツボを押さえた店づくりでいつもお客が絶えません。これらはコロナ禍以降にオープンした店ですが、コロナ以前にオープンし根強い人気を誇るのが、楽卒業生による「カクニマル」。入口は奥まっておりかなりわかりにくいのですが、その隠れ家感が魅力を高めています。同じく楽のDNAを継ぐ「酒呑気まるこ」も、去年の夏までこの渋谷マークシティ裏で営業していました。やはり奥まった隠れ家立地が魅力のひとつ。物件都合で閉店し、今は渋谷桜丘方面に移転しています。

いまも続々とニューフェイスが登場しており、6月には「渋谷ニッカ」がオープンしましたし、近々、人気焼鳥グループもこのエリアに出店をするようです。

2023年5月にオープンした「嚔(アチュー)」は、近隣に1軒目として使える人気店が多数あることから、同じように勝負するのではなく、それらの店を利用する前後で立ち寄れる立ち飲みとし、棲み分けを図っています。こうしたマーケットを見てスキマを狙った店が登場しているのは、そのエリアがそれだけ盛り上がっている証拠です。

「渋谷マークシティ裏」は、もともと仕事帰りのサラリーマンが多く飲んでいるようなエリアでしたが、近年、客層は大きく変化しています。先駆者となった「カクニマル」や「まるこ」のような隠れ家的なロケーションは「こんな場所にこんな素敵なお店が!」と口コミを誘発しやすく、これによって近隣のサラリーマンのみならず、わざわざ訪れる人が増えたのではないでしょうか。そして「タートル」など次々に実力店が登場する循環が起こっています。いまの東京の酒場トレンドを知れる「渋谷マークシティ裏」、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

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