日本酒界のカリスマ・千葉麻里絵氏が独立、西麻布に「EUREKA！（ユリーカ）」をオープン。カウンター、立ち飲み、個室…各自のスタイルで日本酒ペアリングを楽しむ酒場

思い描いたのは、千葉氏の座右の銘「一期一会」を楽しむ酒場

千葉氏が「EUREKA！」でやりたかったのは、一次会でも二次会でも、日常使いでもハレの日でも多様なスタイルで楽しめる店だ。前職の「GEM by moto」のようにカウンター席でしっかり酒と食事を楽しむ人も、千葉氏の原点である「新宿 酛」のようにふらっと寄って立ち飲みする人も、はたまた個室でプライベートな時間を過ごす人も、すべてが混在する。それぞれが好き勝手に楽しんでいながらも、皆の片手には日本酒の杯が。そんな空間を思い描いた。

単価は、立ち飲みに合わせるのではなくしっかりと酒と食事をする層に合わせたかったと、ある程度の単価を取れるエリアを想定。加えて個室需要もあるエリアとして、西麻布で物件を探した。同物件について「裏側に広いベランダがあり、そこに1坪の大きさがある日本酒用の氷温庫を設置できることが決め手。駅からは遠いですが、界隈のアイコンとして知られる西麻布交差点の近く。2階であるものの、道からの視認性があり路面のような佇まいも気に入りました」と話す。

店内にはアルファベットの“Ｊ”の字を描くような曲線のカウンター。着席12席と、６～10人が入れる立ち飲み席にゾーニング。カウンターの側面には日本酒樽に使用される吉野杉を使っているのがこだわりだ。千葉氏が好きだというピンクをややくすんだ落ち着いたトーンで一部の壁に塗ってアクセントに、奥にはソファを置いた特別感のある個室を用意した。壁で光る「Strawberry」と「Meeting」の文字をかたどったネオンサインも千葉氏がやりたかったことのひとつ。Strawberry＝いちご＝一期、Meeting＝出会い＝一会で「一期一会」を表現している遊び心だ。「隣り合った人との出会いや日本酒との出合い、日本酒とフードの出合いなど、この店で『一期一会』を楽しんでほしい。子供の頃、転校生で頻繁に環境が変わっていた経験から、私がずっと大切にしている言葉なんです」。

以前はゴーストキッチンとして使われていた物件。千葉氏が「花巴」を醸す奈良の美吉野醸造を訪れた際に出合った吉野杉を使用した、J字のカウンターが中心に。立ち飲みゾーンにはペルシャ絨毯を敷き、立っていても疲れにくい

店舗データ