学芸大学の酒場街のニューカマー「Tsukinowaguma」は東京で唯一の長野県に限定した長野ワインとクラフトビールを楽しむ学大十字街の呑みしるべ

渋谷から急行で２つ目の東急線学芸大学の南側に位置する学大十字街。昨年2017年２月に完成した学大十字街ビル２階に「Craftbeer&Wine Tsukinowaguma（クラフトビール&ワイン ツキノワグマ）」が5月16日、オープンした。世界レベルの実力を持つ長野ワインをオマージュする店主福田慈氏が満を持して開店させたワインバー。コンセプトは東京一の長野ワインの品揃えと学芸大学一の旨さにこだわった国産の樽生クラフトビールの提供だ。

在住者に留まらず、近隣からも足しげく通うファンも集まる東急線の人気酒場街でもある学芸大学。なかでも車一台がどうにか通れるほどの狭い路地が交わる学大十字街は昭和時代の古民家そのままの飲食店から新しい飲食ビルが混在し、東京都内を代表するディープな酒場の一つとして知られる。その学大十字街の角地に新しく出来た学大十字街ビルの2階に構えるのが「Tsukinowaguma」だ。

早くも高校生の頃から自分の店、飲食店を開くことを目指しコーヒーショップでアルバイトを始めた福田氏。大学では経営を学び飲食店での実務に励み、当然のように飲食業に赴きソムリエの資格も得たという。その後、カルフォルニアにワイナリーを持つレストランに移り出店に向け着実にスキルアップを重ねきた。そして当初の30歳の目標をはやくも2年前倒しにし、実現にさせたのだ。通勤経路で土地勘が在った事に加え、何よりも夜の盛り上がりとお酒好きの人が多い老舗酒場街の環境を重視したことが学芸大学を選んだ理由だ。また、頑張る女子店主が多いことも後押しする。

東京で唯一とも言える長野ワインに特化した原点は福田氏の幼少期にある。長野県松本市にある祖父母の家の庭で当時、育てていた生食葡萄の瑞々しい味が長野ワインを飲んだ瞬間に蘇り、その美味しさを確信したという。現在、長野県のワイン生産者達はタッグを組み「世界が恋するNAGANO WINE」として日本のみならず世界へ向けたプロジェクトを始動させている。千曲川ワインバレー、日本アルプスワインバレー、桔梗が丘ワインバレー、天竜川ワインバレーと4つの地域に分けた信州ワインバレー化である。夫々のテロワールやワインの特徴の明確化と高品質なワイン造りに情熱を注ぐワイナリー達を応援するものだ。そんな彼らの想いを受け、福田氏は長野ワインの啓蒙にも取り組んでいる。選んだワインは常時6、70種類（一部、店主の趣味の長野県産以外もある）で、その多くは長野県北西部に広がる千曲川ワインバレーと日本アルプスワインバレーの小さなワイナリーだ。グラスは900円〜（100ml／50ml450円〜も）あり好みのタイプで選んでくれる。ボトルは4800円〜だが、なかにはなんと20,000円という貴重な一本も置いている。方やクラフトビールは学芸大学で美味しいクラフトビールの飲める店を自負し、3タップの国産にあわせ国内外、約20銘柄（1000円〜）のボトルクラフトビールを置く。サイズはグラス（330ml780円）とテイスティング（230ml600円）。フレッシュ感にこだわり、銘柄はその都度入れ替えるが、今後は長野のブリュワリーを積極的に置きたいと考えている。フードは長野県の名物を洋風にアレンジした「おやき」（1個400円）、「クレソンとベーコンのサラダ」（800円）に「ペナンの無果糖のドライパイナップル」（650円）、「夜な夜な仕込んだピクルス」（350円）などお酒に寄せた軽い一品が揃う。

躯体の無機質さを引き立てる淡いグレーの空間に木仕様のカウンターの存在感が際立つ環境はシンプルであることが好きという福田氏らしさを反映する。デザイン、施工はVoar Design Haus（東京都渋谷区 代表取締役藤澤竜也）。コミュニケーションする事が楽しいという気さくな福田氏らしくお酒一杯でも気軽に立ち寄れる憩いの場でありたいという。自身も開放感のある昼呑みが好きということからオープンは早めの15時からで19時までのハッピーアワーではクラフトビールがグラス700円、テイスティング550円とお得。

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