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サントリーのコンサル部門で活躍した酒村氏が、茅場町に「かめじま商店」を開業。酒販免許を取得し「角打ちビストロ」として仕入れ値を抑えて良質なワインをリーズナブルに提供

茅場町駅から至近に立地。ガラス張りの広い間口は、一人でもふらりと立ち寄りやすい雰囲気だ
中心にオープンキッチンを据え、その周りに席や立ち飲みスペースを配置。角打ちとして一角にはワインのショーケースやワインセラーも
鮮やかな色合いが印象的な「ビーツとキヌアの赤いサラダ」(790円)。ブルーチーズが添えられ、ワインの進む味わい
スパイスやハーブが効いた「自家製プチトマトのピクルス」(390円)
代表の酒村洋行氏(写真右)と、シェフの石垣有梨氏。同店のスタッフは、酒村氏が信頼を寄せる優秀な女性スタッフばかり

(取材=大関 愛美)


茅場町駅から徒歩30秒ほどの場所に、3月7日、「かめじま商店」がオープンした。女性スタッフたちがテキパキと立ち働く、開放的なオープンキッチン。それをぐるりと囲むようにカウンター席やテーブル席、立ち飲みスペースが配され、活気あふれる雰囲気のなか、ワインやビストロ料理が楽しめる店だ。店内の一角にはワインの冷蔵ショーケースやワインセラーが備わり、購入も可能な角打ちとなっている。

オーナーは酒村洋行氏。同店のほか、ミシュランでビブグルマンを獲得した東銀座の焼鳥「ヨシモリ」も経営する。酒村氏は、レストランやバーで10年ほど現場勤務を経て、サントリーへ入社。飲食店の立ち上げやメニュー開発など、飲食店に対してコンサルティングを行う、グルメ開発部という部署で16年ほど活躍した。サントリーの後輩だった「ヨシモリ」の前身である「タテモリ」のオーナーから、店を引き継ぐことになりサントリーを退職。経営権の譲渡を機に、店名を「ヨシモリ」と改め2017年5月にリニューアルオープンした。

「ヨシモリ」を引き継ぐ以前からも、酒村氏には自らのオリジナル業態を開業したいという夢はあった。「ヨシモリ」から近い場所を希望し、中央区で物件を探していたところ、この茅場町の物件に巡り合った。レストランなどの現場経験から、自身の強みはワインにあると考え、ワインを主役とした店を開くことを決意した酒村氏。「お客さまには、おいしいワインをリーズナブルに楽しんでほしい」との思いから、酒販免許を取得した。「ワインの価値を決めるのは“仕入れ”だと思います。値付けはどうしても仕入れ値から考えることになりますが、酒販免許があれば問屋を通さず仕入れ値を抑えながら酒類を手に入れることができるので、お客さまにも手頃な価格で提供できる。料理人がよい料理を出そうと思ったら、修業で調理技術を身に着けるように、ワインを価値あるかたちで提供しようと思ったら、酒販免許は大きな武器になると考えたのです」と酒村氏。こうしてたどり着いたのが、「角打ちビストロ」という業態だ。

ワインは常時80種類ほどを用意。そのほとんどがビオワイン。グラスでは500円~用意し、ボトルは2100円~、抜栓料を一人250円支払えば小売価格で購入して店内で楽しむことも可能だ。ワイン以外にもサワーやハイボール、ビールなどが充実する。

フードの開発は酒村氏の古巣、サントリーのグルメ開発部に協力を要請。酒村氏と同店シェフの石垣有梨氏の3者で、「スタンダードにひと工夫」をテーマに、親しみやすくも一皿ごとに感動のある料理を約50品そろえた。たとえば「タコと青唐辛子のポテサラ」(590円)は、酒場ではおなじみの品のポテサラに、燻製したタコをそえるひと工夫を。肉を豪快に焼き上げた「ステークフリット 200g」(2290円)のように、フレンチビストロ定番の品も並ぶ。この「スタンダードにひと工夫」というテーマはドリンクにも通じ、例えば酒場の大定番の「レモンサワー」(500円)は、ほかでは珍しいコールドプレス方式で抽出したもの。香り高くすっきりとした味わいに仕上げている。

デザインは、サントリー時代に縁があったMOMOKO KUDO ARCHITECTSの工藤桃子氏に依頼。女性デザイナーの感性が光る、シンプルで温かみのある空間は、女性ばかりの同店のスタッフ達の仕事をより輝かせている。テーブル席は22席を配置し、茅場町近隣では立ち飲み文化が根付いていることを鑑みて、15人ほどが入れるスタンディングスペースも用意した。

「茅場町は、遠くからわざわざ来る街というイメージはないので、どうしても茅場町のオフィスワーカーが集客の中心になる。彼らのバイオリズムに集客の波が左右されてしまい、その繁閑の差が激しいのが現在の課題ですね」と酒村氏は話すが、オープンから間もないながらも、若い女性の一人飲みから仕事帰りのサラリーマンの集まりまで、連日多くのお客でにぎわう同店。出だしは順調のようだ。

今後について、「いたずらに店舗数を増やすことよりも、よい店を着実に作っていきたい」と話す。酒村氏の胸にあるのは、サントリー勤務時代に耳にした、約40店舗の居酒屋を展開するある飲食企業の社長の言葉だ。「その方は、『当社には不採算店舗はない。もし、赤字の店が出たら出店はストップさせ、そこの建て直しに全力を尽くす』とおっしゃってて。あれだけの店舗数がありながら、この言葉通りでいることは想像以上に難しいことだと思います。それを成し遂げている彼の姿勢は、それこそが飲食店のあるべき姿だと感銘を受けました」と酒村氏。「たくさん店を出すより、いい店を。そうでないと自分が楽しくないですからね」と、あくまで気負わず自然体で、日々、店の営業に向き合っている。

店舗データ

店名 かめじま商店
住所 東京都中央区日本橋茅場町1-12-11 1F

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アクセス 茅場町駅3番出口から徒歩30秒
電話 03-6661-7253
営業時間 16:00~23:00(LO22:00)
定休日 日曜、祝日
坪数客数 17坪22席+スタンディング15名
客単価 3800円(スタンディング:1000円、着席6000~7000円)
運営会社 株式会社ネッコ
オープン日 2018年3月7日
関連リンク かめじま商店(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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