新・編集長コラム

カタカナ系スシ酒場、第二ステージに突入!大手も狙うすし酒場のポテンシャル

2021年8月、私がコラムで提唱した「カタカナ系スシ酒場」が広がりを見せている(他メディアに「カタカナスシ」と言い換えられてしまったが……)。若者にも親しみやすいポップでカジュアルな店づくりのすし酒場が次々に登場し、それらは店名がカタカナである場合が多いことから「カタカナ系スシ酒場」と命名した。提唱から1年が経った今、カタカナ系スシ酒場は当時からさらに進化している。ここ2か月以内にオープンした注目店を見ていこう。

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


参考:「すし」でも「寿司」でも「鮨」でもない「スシ」の概念。新たにすしマーケットを席捲する⁉「カタカナ系スシ酒場」

ストリート酒場の要素を取り入れたカタカナ系スシ酒場

まずはカタカナ系スシ酒場の代表格とも言えるのが、スパイスワークスが手掛けるすし酒場業態、「スシエビス」「スシンジュク」など。それらに続くカタカナシリーズとして7月オープンした「スシブヤ」は、カタカナ系スシ酒場の新境地を拓く店づくりだった。

「スシエビス」「スシンジュク」は、店頭にはネオンが光り、キャッチーなイラストや小物を散りばめ、写真映えを意識したパフォーマンス満載の「エモ酒場」のような雰囲気だった。それらが「すしを出すエモ酒場」なら、「スシブヤ」はさしずめ「すしを出すストリート酒場」だ。渋谷の立地に合わせて最先端のトレンドであるストリート酒場的な要素を取り入れている。店内は居酒屋というよりまるでカフェ。木製のテーブルやソファ、壁にはアートを飾り、BGMはおしゃれな洋楽。スタッフの髪型やタトゥーも結構自由そうで、一見するととてもすし酒場には見えない。

「スシブヤ」店内。カフェ調の店内ですしをつまんで呑む「カフェスシ」は、新しいカルチャーになるか?

しかし、そんな空間に自然と馴染むユニークなすしメニューを揃え、「カフェですし」というアンマッチを見事に調和させている。例えば、「米スシ(べいスシ)」というカテゴリーがあり、この「米」とは米国の意で、アメリカで出されてるような“なんちゃってすし”をあえて再現したというもの。こうしたオリジナリティあるすしを用意しており、「カフェですしをつまむ」という体験もオツなものかもしれないと思わせてくれる。ヒット業態に満足して金太郎飴で展開するのではなく、常にトレンドを意識しながら進化させているのがスパイスワークスのすし酒場の強みだ。

自由な発想ですしをアレンジする「米スシ」カテゴリーの一品、「サーモンピラミッド」。三角形に成形したシャリをサーモンで包んでいくらをトッピング

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