ダルマプロダクションの総料理長が独立！究極にフラットなオープンキッチン、5000円コース1本のイタリアン「SuperTrattoria LITO」が神泉にオープン

10月23日、神泉に「SuperTrattoria LITO（スーペルトラットリア リト）」がオープンした。オーナーの市川大介氏は、「オステリア ウララ」、「ルンゴ」などの繁盛店を手掛けるダルマプロダクションの創業時から総料理長として腕を振るってきた人物だ。長年、料理に情熱を燃やしてきた市川氏が提供するのは5000円のイタリアンコース1本のみ（21時以降はアラカルトを提供）。店内中央に据えられた、料理人とお客の垣根を取り払い、とことん“フラット”にこだわったオープンキッチンは、市川氏の料理人哲学が込められたステージだ。ここから、同氏の新たな挑戦が始まる。

ダルマプロダクションの創業メンバー、6年目で独立

現在38歳の市川氏が料理の道へと踏み入れたのは23歳のとき。イタリアンの料理人としてレストランで修行し、28歳の時に渡伊。そこで、後にダルマプロダクションを創業する古賀慎一氏と出会う。同じくイタリアで料理修業中だった古賀氏と市川氏は、同い年ということもあり意気投合。古賀氏から「一緒に店をやろう」と誘いを受け、２人は帰国後、メニューのないイタリアン「オステリア ウララ」を渋谷にオープン。古賀氏を代表としてダルマプロダクションを創業し、市川氏は総料理長として同社の成長に大きく貢献してきた。もともと独立を視野に入れて料理人を志した市川氏。入社6年目、神泉のこの物件が見つかったタイミングで退職し、晴れて独立を果たした。

フラットなオープンキッチンが舞台

渋谷の繁華街の先にある路地に佇む12坪の店内には、中央にオープンキッチンを囲むカウンター席を配置。「オープンキッチンを置くことは絶対だったので、物件探しはオープンキッチンが配置できる形状であることを条件に探しました」と市川氏。作業台と客席がそのまま地続きになったライブ感たっぷりのカウンターが、最高の臨場感を演出する。カウンターの外と中でも段差を付けず、徹底的に料理人とお客の距離を近づけることにこだわった。カウンターのほか、入口手前と店内奥の壁際には４名がけテーブルを配置。こちらのテーブルは店内を見下ろすように一段高く、カウンター席とは違った臨場感が体験できる席だ。デザインは、ダルマプロダクションの店舗も手掛けてきた実績のあるデザイナーに依頼。「形式ばったリストランテとは違う、僕が表現したいのはライブ感。できたての料理をラフに出す。けどクオリティはリストランテに負けないものを、と思っています」と市川氏。

“月２回来店できる”客単価7000円に設定

料理に関しては、21時までは5000円のおまかせコース１本のみと潔い。市川氏が得意とする、イタリアの郷土料理をベースにしたクラシックを貫くイタリア料理を、季節ごとに内容を変えて７品を提供する。「客単価はギリギリ月に２回来店できる7000～8000円のラインを狙いました。僕は高級食材も使いたい派なので、単価2万円の店で出すような素材も取り入れてこの値段で提供しています」。21時以降はアラカルトを提供。2軒目利用など、よりカジュアルな利用も可能だ。ドリンクはグラスワイン800円～、エミリア・ロマーニャの生ビール「ラッテ・ピウ」（900円）などを用意。

前職で身に着けた商売感覚を武器に、今後も展開予定

ダルマプロダクションでは商売感覚を学んだという市川氏。「それまでは料理人として料理を作ることしかやってこなかった。ダルマプロダクションでは、商売として成り立たせるための仕組みや、お客様とコミュニケーションする楽しみを知った。それらを勉強させてくれた古賀さんのことは尊敬しています」と話す。「ダルマプロダクションではやりたいようにやらせてもらいましたが、総料理長という立場でいる限りは、店をまとめなければならなかった。ここは、独立したからこそ作れた店。これからはすべて自分の裁量と責任で、またイチからスタートしたい」と意気込む。今後の店舗展開も視野に入れている。市川氏が得意とするイタリアのクラシックな郷土料理という軸はぶれずに、多様な業態を展開していければと考えている。「『オステリア ウララ』のメニューを用意しないスタイルは、イタリアにある大衆食堂を再現したもの。このように、イタリア現地の食文化を僕なりのスタイルで表現していきたい。ともあれまずはこの店を確立し、仲間を育てることが先決。そして3年以内にもう１店舗。将来的に３店舗ほど展開できれば」と語る。

店舗データ