昨年11月28日、東池袋にオープンした『KRAFT WORK DINNING 万事快調』のオーナーは岩崎カズヒロ氏。同氏はホテルの和食店、池袋日本酒の名店「坐唯杏（ざいあん）」を経て、昨年独立した。店名にある「KRAFT WORK DINNING（クラフトワークダイニング）」は、”クラフトワーク”＝”職人の仕事”を意味する。岩崎氏自身がうまい酒・うまい料理を追求した結果、大量生産では成し得ない、造り手の顔が見える「ブリュワーのクラフトビール」と「蔵元の無濾過生原酒」に、「和食料理人の手作り酒肴」を合わせる”職人ダイニング”というコンセプトにたどり着いたという。
「クラフトビール」との出会いについて岩崎氏は、「大手の黒ビールを苦手としていたが、本物の“スタウト”と出会い、衝撃を受けた。その後、さまざまな“クラフトビール”を飲み歩きながら造り手さんと出会っていくうちに、ビールが持つ味わいの奥深さを知った。これはえらい世界だ！まだ知らない人たちに伝えなければと思った」と話す。店では10タップ10種を提供。飲み口よいものから味わい深いものまで、それぞれ違った個性を持つものをセレクトしている。日本酒については、「なにも加えない製法の“無濾過生原酒”が一番おいしい日本酒だと思う。常時30種程度揃えている。若い層が日本酒離れと言われているが、うまい日本酒を飲んだことがないのではと思う。日本酒を飲んだことがない人にも気軽に試して欲しいため、グラス90ccサイズを取り入れた。なるべく値段をおさえて提供し、自分の好きな酒に出会って欲しい」と話す。
「クラフトビール」、「蔵元の無濾過生原酒」をつなぐものとして重要な役割を果たしているのが「和食料理人の手作り酒肴」だ。料理は板前歴12年の松宮氏が担当する。築地から届く鮮魚の「刺し盛り」は1500円からとお手頃。自家製の燻製は、食材によってチップや、チップに加える“ざらめ”、“お茶の葉”などの配合を調整することでうまみを最大限に引き出しており、ビール、日本酒ともによく合う。一番人気の盛合せ「くんもり」（1200円）。冬場は鍋メニューを数種類展開。「葱と鮪のねぎま鍋」（1600円）、小サイズ（1000円）。１人でも食べられるようにと小サイズを提供。看板メニューである「しっとり鴨ロース」（600円）は、外側は歯ごたえを残しながら内側はしっとりとやらかい仕上がり。焼き色が美しい「焼き野菜バーニャカウダ」（880円）は真空調理で火を通し、野菜本来のうまみを凝縮。高温のオーブンでグリルした香ばしい一品。ビールを合わせるなら麦芽を深めにローストした「ノースアイランド IBA（インディアブラウンエール） 」（750円）がぴったりだという。ビールも日本酒も2サイズから選べるため色々な味を試すことができる。「本日のクラフトビール」Sサイズ275cc（650円～）、Mサイズ450cc（1000円～）、「蔵元の無濾過生原酒」グラス90cc（450円～）、1合180cc（900円～）。日本酒はすべての銘柄を燗につけることが可能。
ビール、日本酒、料理はもちろんのこと、サービスにも”職人の仕事“へのこだわりを感じる。「この料理にはこの一杯」、「この一杯にはこの酒肴を」と酒を熟知した岩崎氏がガイドとなり、酒と肴の組み合わせを楽しむことができるのが魅力。ビールを飲んだ後に日本酒を飲み、肴に合わせてまたビールにもどる。ビールと日本酒を自然に行ったり来たり出来てしまう。かつての日本酒専門店では見られない新しい酒場スタイルだ。メニュー表にも料理に合うビール、日本酒がそれぞれ書いてある。
今後の展望について、「“クラフトビール”“蔵元の無濾過生原酒”を飲んだ事のない人たちへ広めていきたい。店舗を増やすのではなく、イベントを開き若い世代へも伝わるよう、さまざまなことを仕掛けたい。酒、料理を通し“KRAFT WORK（職人の仕事）”を後世に伝えるテーマとし、深堀をしていきたい」と岩崎氏は話してくれた。
-
＜PR＞
