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真っ当に作られた野菜や米を通じて新たなコミュニティが誕生!八百屋を併設したレストラン「南青山野菜基地」が1月11日、南青山2丁目にオープン

那須直送の美味しい野菜や米を店頭で販売。月~木曜の9~12時までは、FREE FARMによる野菜市「太郎市」も開催する
白を基調にした温かみのある店内。日中は「やさい食堂」、夜は「やさい酒場」として体が喜ぶ野菜を提供
青山通りから一本入った路面にある白亜の建物。精米機をリサイクルした看板と陳列された野菜が目印
厳選した旬の野菜だけをグリルパンで焼き、野菜の甘みを凝縮した「野菜基地の焼き野菜」。ゲランドの塩・厳選したオリーブオイルで

(取材=田村 真理子)


ここ数年来の健康ブームや、安全・安心な野菜への関心が高まったこともあり、今、野菜レストランが人気となっている。ヘルシーでおいしい料理が楽しめるだけでなく、契約農家から直接仕入れた生産者の顔が見える安全・安心も人気の理由のひとつとなっている。概ねの野菜レストランは、野菜の特徴や生産者のこだわりを消費者に伝えながら、美味しさを知ってもらいたいと考えている。こうした中、真っ当に作られた野菜を通じて“人間らしさとは何か?”を考えるきっかけになればという、ちょっと毛色の異なるコンセプトのもと、八百屋を併設したレストラン「南青山野菜基地」が南青山2丁目の閑静な一角にオープンした。経営は野菜基地(東京都港区、代表取締役社長・中通寛記氏)。 以前は広告業界でマーケティングプランナーとして活躍していた代表の中通寛記氏。活動の傍ら訪れたラオスでの体験がきっかけとなり、同社を立ち上げることになったという。ラオスで旅の資金が底を尽き、困り果てた見知らぬ日本人である同氏に、現地の人は何の見返りも期待せず、食事を与え、優しい笑顔を向けてくれたという。自然の中で食べた野菜や米の美味しさ、本質的に優しい人たちと触れ合ったことで、広告の仕事を通じてでは感じることのできなかった充足感を得ることができたという。そんな折、偶然にも以前同業者であった山尾太郎氏と再会し、山尾氏が運営する八百屋「FREE FARM」の赤坂アークヒルズ マルシェ出店を手伝うことになった。山尾氏が取り扱っていた那須の農家の野菜は、食べた瞬間、全身に衝撃が走るほど強烈な味わいだったとか。この野菜の魅力を伝えるには飲食店しかないと考え、出店に至ったという。 日中は「やさい食堂」として、野菜が持つ甘みをベースにした「季節の野菜カレー」や、すね肉を赤ワインで長時間煮込んだ「和牛すね肉カレー」、日替りの「ランチプレート」(各880円)を提供する。トッピングとしてゴマとウコンを食べて育った銚子産の「まことのたまご」や専用の鍋でグツグツ煮込んだ濃厚な煮出しミルクティー「ちっチャイ」(各プラス120円)も用意する。夜は「やさい酒場」として、月ごとに違った野菜が味わえる「野菜基地のピクルス」(380円)や、ゲランドの塩・厳選したオリーブオイルで凝縮された野菜の甘みを堪能できる「野菜基地の蒸し野菜」(1300円)、豚肩ロースにハーブをしみ込ませ、じっくりとオーブンで焼き上げ、ジェノベーゼソースで味わう「野菜基地のローストポーク 焼きリンゴ添え」(1700円)など野菜のみならず肉類も存分に楽しめるメニューをラインナップして提供する。ドリンクは生ビール(650円)の他、グラスワイン(500円)やオーガニックワイン(グラス600円~)を筆頭にラオス産のアグリコールラムや野菜を使ったカクテル薬酒、特産のお茶なども用意する。メニューについては、順次追加していく予定。 店は、青山通りから一本入った、元は事務所であったという場所。庭をコンセプトに、そこかしこに農家の鍬(くわ)や梯子などが配置されており、手作りのテーブルや精米機をリサイクルした看板など工夫が満載。青山一丁目と外苑前の中間地点となる南青山エリアは、ビルが多い割に食事をする場所が少ないため、ランチができて夜も飲める場所を提供できればと考えたそうだ。エリア全体を盛り上げるためにも、美味しい野菜とワインが飲めるのは南青山と認識されるよう、他の小規模飲食店にも同店取り扱いの自慢の野菜を使ってもらえれば嬉しいと考えている。 店頭では那須を中心とした農家から仕入れた青果類のほか、レストランで提供するカレーにも使用している「太郎米」(3合600円~)などを販売している。地中のらん藻(シアノバクテリア)を増殖させることで肥沃な土を作る「ピロール農法」により作られた作物は、甘くて、風味があり、カルシウムを始めとしたミネラル分やその他の栄養分が一般の作物に比べて多く含まれているという。こうした野菜の特徴や生産者のこだわりを説明することだけを飲食店の役割とするのではなく、「自分自身が何で満たされるのか?が分からなくなってしまっている現代にあって、食事をしながら癒されたり、野菜というキーワードを通じて別のつながりを持ったり、自身を見つめなおすきっかけになれば」と中通氏は話す。 オープンから約2ヶ月、近隣企業や近隣住民の女性を中心に、ランチに訪れた客がディナー営業を知って再来店することも多く見受けられ、リピート率は高いという。また、レジ横で販売している、フードコーディネーター(はらゆうこ氏)作の「ごぼうのガトーショコラ」(280円)や「しょうがとハチミツのケーキ」(210円)といった手作りスイーツの評判がいいため、今後はこうしたスイーツとお茶で、ちょっとした時間を過ごすことができるカフェパターンも視野に入れ、地域住民の年配者や主婦、近隣企業のOLなどが垣根を越えて触れ合える場を提供できればと思案中とのことだ。 「野菜を食べることで、その時々の旬を感じてもらいながら、将来的には野菜を通じて知り合った人々が、那須を訪れるようなツアーが実現できれば」と中通氏。野菜に集うさまざまな人々から誕生したアイデアを形にしていくことで、新たな飲食店の可能性を模索する同店。真剣に遊ぶことをモットーに野菜というキーワードで集った大人たちがどのような基地を形成していくのか、今後を見守りたい。

店舗データ

店名 南青山野菜基地
住所 東京都港区南青山2-10-11

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アクセス 地下鉄 外苑前駅 より徒歩5分、地下鉄 青山一丁目駅より徒歩6分
電話 03-6447-1607
営業時間 やさい食堂11:30~14:30、やさい酒場18:30~23:00
定休日 土・日曜
坪数客数 13席
客単価 ランチ880円、ディナー3500円
運営会社 株式会社 野菜基地 
関連リンク 南青山野菜基地
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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