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品川区・中延に「みよし屋」がオープン。雑誌編集者が3代続いた実家の蕎麦店をタコス店へリニューアル。世代や性別を超えた様々な人が交わる店を「編集」する

5月10日、中延に「みよし屋」がオープンした。店主の阿部太一氏は、雑誌「anan」や「BRUTUS」などをリリースする出版社、マガジンハウス(東京都中央区)で20年に渡り編集に携わっていたが、両親の急逝を受けて3代続いた店を引き継ぐことを決意。屋号はそのまま蕎麦店をタコス店へとリニューアルした。フリーランスの編集者として働きながら、品川の下町であらゆる世代が集い、カルチャーが交わる場所を目指す。


編集者である自分にできるのは、「店を編集」すること

荏原町駅、中延駅から徒歩5分前後、住宅街の一角に構える「みよし屋」。かつての趣きを残す外観からは「そば処 みよし屋」が“町の蕎麦屋”として親しまれていたことが窺える。「看板が“そば処“のままなので、そろそろどうにかしなきゃと思っていて」と話す阿部氏は大学生時代から編集者を志し、新卒でマガジンハウスに入社。20年間に渡って雑誌編集に携わり、定年まで働き続けるつもりでいたが、2020年、2021年に相次いで両親を亡くしたことが人生観を変える大きなきっかけになったという。

「当時、2人の子どもは13歳と8歳。僕も妻も会社員で、帰りが遅くなる日は両親に頼っていたのですが、一度に2人がいなくなってしまったことで、子どもたちと家族との距離感が心配になって。シッターなどの外部サービスもありますし、親が遅い夜は子どもたちだけで過ごすという家庭もたくさんあるでしょう。でも、僕は店の2階が自宅で、いつも下には誰かしらがいるのが当たり前の環境で育ったこともあって、子どもたちに万が一何かあった時に、身近な大人がすぐに動けるようにしておきたいという思いがありました。僕の職種だったら、会社員ではなくてもやっていけるかもしれない。そう思って、退職を決めました」。

主を失った建物は、急激に劣化が進む。家族の思い出が詰まった家を残すには…と兄弟で話し合った結果、阿部氏が1階部分を引き継ぐことになった。とはいえ、出版業界一筋の阿部氏は、飲食店で働いた経験はほとんどなく、大晦日などに店を手伝ったことがある程度。「料理人として飲食店を経営する」のはではなく、「店を編集」しようと考えたのは自然な流れだったと話す。「僕がやりたいことを決めて、それに合わせてさまざまなスキルを持ったプロを集め、彼らが同じ方向を見て作業ができるように管理する。雑誌も店も、同じ視点で“編集”ができる。これだったら飲食店ルーキーの僕にもやれるんじゃないかと思いました」。

では、作りたいのはどんな店か。そのまま“町の蕎麦屋”として経営ができればストーリーとしては美しいが、今から蕎麦打ちを学べば時間がかかり、新たに職人を雇用するにしても以後の経営が不安定。すぐに始め、長く続けるには蕎麦は不向きだという結論に到ったという。

「そば処みよし屋」時代の名残を留める外観。かつての常連客が知らずに入店し、ギョッとした表情を見せることもあるのだとか

店舗データ

店名 みよし屋
住所 東京都品川区西中延3-5-17

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アクセス 中延駅から徒歩5分、荏原中延駅から徒歩8分
営業時間 平日11:30~14:30、17:00~22:00 土日 11:30~22:00
定休日 火曜
坪数客数 11坪18席+立ち飲み6席
客単価 ランチ1200~1500円、ディナー2000~3000円
運営会社 有限会社みよし屋
オープン日 2023年5月10日
関連リンク みよし屋(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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