「大人気」の砂田兄弟が仕掛ける2店舗目、「嚔（アチュー）」が渋谷に開業。住所を発信しない「噂で広まる店」！？謎に包まれた演出が話題を呼ぶ、巧みなブランディングに注目

不便なカウンター構造、ピンクに光る厨房…「人がやっていない、変なことがしたかった」

店づくりのクリエイティブ全般を担うのは、健太氏だ。「とにかく人がやっていない、変なことがしたかった」と言う。店名の「くしゃみ」になぞらえ、詳しい住所は店側からは公表しないというのも健太氏のアイディア。といってもお客がネット上へ店の情報を書き込むことについては全く禁止しておらず、問い合わせがあれば教えるという。「決して住所非公開の閉鎖的な店にしたいわけではなく、誰でも歓迎。今回は2店舗目とあって、派手に宣伝してすぐに繁盛させる必要もなかったので、ミステリアスな演出で興味を引かせて、噂でじわじわ、少しずつ広がっていく方が長期的に見ていいんじゃないか？と思いました」と健太氏は話す。

内外装にも健太氏のセンスがいかんなく発揮されている。元は弁当店だった物件で、店内には立ち飲みカウンターを設えた。ただ、カウンターはひと続きでなく分断されており、移動する際は一旦店外に出て、二面ある別の扉から入り直さなくてはならないという、ちょっと不便な構造にしている。「お客様がトイレへ移動する際は『一度、外に出てからまわってください！』と声をかけることになりますが、あえて面倒をつくることでお店の印象が強く残るのではと思いました」と健太氏。

カウンターの先、店内奥の厨房は弁当店時代の厨房をそのまま活用しているが、煌々とピンク色の照明で照らしているのも斬新だ。「弁当店のキッチンは機能性重視なのでデザイン的には全く格好良くない。そこで、ピンク色にしたら面白いかなと。蛍光灯に張り付けたピンクのカラーフィルム代2000円だけで、だいぶ格好良くなりました(笑)」と健太氏は胸を張る

店舗データ