外苑前に「gnudi（ニューディー）」がオープン。元「+ebi-ro」の店長が同じ場所で独立。自然派ワイン＆イタリアンをコンセプトに、早くも平日でも連日満席の繁盛店に

この店で働きたい！直観を信じて、その場で「働かせてほしい」と直談判

転職先は自分の足で店を探したいと考え、さまざまな店を食べ歩く中で出合ったのが、コローリが運営する池尻大橋のイタリアン「＋ruli-ro（ルリイロ）」だった。「1日1組限定のカウンターがすごくかっこよくて。料理もワインも美味しいし、ここで働きたいと思って、その場で『働かせてもらえませんか』とお話しました。翌日には『すぐにでも面接したい』とご連絡をいただいて。ただ、まだ立川の店で働いていたので時間が取れないと伝えたら、代表の渡部さんが僕の休憩時間に合わせて、立川まで面接に来てくれたんです。その場で入店が決まって、握手をして別れました（笑）」。

入店後、配属されたのは「＋ruli-ro」ではなく「2colori」だったが、そこで料理を1から学び直し、前菜を担当。順調に働いていたが、コロナ禍を受けて2020年に「2colori」を閉めることが決まった。「+ebi-ro」を存続するにあたり、これまで同様にクオリティの高い料理とワインを提供できる人材が必要になり、藤生氏が店長に抜擢されたという。「+ebi-roは地下と比べるとキッチンが狭く設備も整っていなかったので、2店舗あった当時は地下の2coloriで作った料理を提供していました。地下がなくなったことで狭いキッチンで料理も作ることになり、初めの頃は大変でしたね。その頃からワンオペで、会社に所属してはいても、結局一人で仕事をしていました。どうせ一人でやるなら独立した方がいいのでは、とも考えなかったわけではありませんが、ちょうど息子が生まれたこともあって諦めていました。そうしたら妻に『そんなことを言っていたら、きっと子どもが成人して家を出ていくまでずっと大変だよ。せっかくだから若い内にチャレンジしてみたら』と言われて、ハッとしたんです」。

子どもの存在を言い訳にするのはやめよう。そう決心し、コローリ代表の渡部氏、山口氏に独立したいと相談したところ「新規で物件を探すのはお金も時間もかかる。この場所を買い取って、このまま店をやってはどうか」と提案されたという。「渡部さん、山口さんには『失敗してほしくない』と言われました。完全に独立した気持ちにはなれないかもしれないけれど、まずはここでノウハウを確立すればいい、と。相場からすると破格の金額を提示してくださったので、想定していた半額程度の金額で店を立ち上げることができました」。

内装はあまり手を加えていないというが、収納スペースを増やすためにベンチシートを設置。お客のニーズに合わせて動かしやすいよう、テーブル席の向きも変えた。外壁やキッチン、カウンター下のタイルは藤生氏が好きなブルーグリーンの色に改めた。「ブルーグリーンは、息子の名前に含まれる“碧”の字に由来しています。太陽の光が映り込んだ湖の色のイメージなんです」。

店内の様子。決して広くはないが、その分、お客が互いに気を配り合うなどちょうどいい距離感が保てているという

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