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マザーズグループ最新店「PEP」が吉祥寺にオープン
スペイン伝統の郷土料理を進化させた“ジャパニーズスパニッシュ”

吉祥寺駅から徒歩3分ほどの静かなエリアに店を構える。見逃してしまいそうな細い入口も、内観とのギャップをつくる保村氏の戦略だ
キッチン横に設けられたテーブル席は、泉山シェフはじめスタッフの熱気が感じられ、ライブ感溢れる特別な席だ
バスク地方はじめ主にスペイン北部で食べられるアペタイザーのピンチョスは、泉山シェフの独創性が感じられる一品だ。「本日のピンチョス(3種類)」(各320円)
過去、現在、未来を料理コンセプトにした同店。バスク地方の伝統的な郷土料理から、フレンチ、イタリアンのモダンなアレンジを加えたメニューまで同店だけの新たな“ジャパニーズスパニッシュ”を堪能できる
同店マネージャーの油谷伸吾氏(左)とシェフの泉山光太郎氏(右)

(取材=望月 みかこ)


立川、吉祥寺の西東京エリアでドミナント展開するMOTHERS(東京都武蔵野市、代表取締役 保村良豪氏)が11月23日、新店「PEP(ペップ)」をオープンさせた。常に東京の飲食シーンに新たなテーマを投げかけてきた同社代表の保村氏。そんな彼の注目の新店は、マザーズグループ初となるスパニッシュ業態だ。スペイン・バスク地方の郷土料理を中心に、四季に富む日本の食材や感性を融合させる。氏は「本物のスペイン料理を、新たな飲食文化として日本にも定着させたい」と意気込みを見せる。

「PEP」が店を構えるのは吉祥寺駅から徒歩3分ほどのところだが、商店街がのび、飲食店がひしめく西側ではなく、静けさの残る駅の東側。古いビルの2、3階をリノベーションし、2階を店舗に、3階を本社事務所にした。目印となるのは小さな「PEP」の看板のみで、目的客を狙う立地戦略に徹した。「店づくりでいつも考えているのは『どうすれば記憶に残る店になるか』ということ」。そう話す氏の店には、そのための“サプライズ”が随所に仕掛けられている。「お客さんの“サプライズ”につながるのは、想像を裏切ること、ギャップをつくること」という彼の言葉通り、今回の「PEP」も、まず外観と店内のギャップに驚かされる。もともと廃墟となっていたビル。脇にある細く急な階段を上り、2階の扉を開けると思わず「あっ!」と声がもれる。ブルックリンテイストの洒落た内装デザイン。オープンキッチンのすぐ横にセッティングされているのは、スチール製の調理台をテーブルにした特等席。まるで厨房の中で食事をしているような一体感。店奥スペースは、カウンターとテーブル席。照明や席の配置、高さなどが緻密に計算され、訪れるたびに新たな発見や体験に巡りあえるよう設計されている。

保村氏の“仕掛け”は、もちろん料理にも及ぶ。スペインの伝統的な郷土料理を「過去・クラシック」と捉え、そこにイタリアン、フレンチの「現在・モダン」を掛け合わせ、新たな「スパニッシュ=ジャパニーズ」として「未来」を提示する。そんな氏のコンセプトを実現させるのは、泉山光太郎シェフだ。10年間ずっとスペイン料理一筋。都内で料理人としてキャリアをスタートさせ、後にスペイン・バスク地方へ渡る。「Alameda」などの著名なレストランで研鑽を積み、本場の味を学び帰国。都内のスパニッシュバル「BIKINI」などで料理長を歴任し、昨年3月からマザーズグループに加わった。

スペイン料理、特にバスク地方の料理の魅力について泉山シェフは「その土地が受け継いできた伝統的な郷土料理を大切にしているところ」だという。バスク地方は、自分たちを“バスク人”と言うほど、地方のアイデンティティが強い。同店では、彼が修行を積んだバスクの伝統的な味を“TRADITIONAL”、マザーズグループがこれまで培ってきたイタリアンやフレンチ要素を取り入れてアレンジしたものを“MODERN”と分けて提案している。前者では「本日のピンチョス」(各180円〜)、「タコのガリシア風」(480円)、「サルスエラ(スペイン風ブイヤベース)」(880円)など、本場の味を忠実に再現。後者では、「産地直送魚介のセビーチェ」(520円)、「ホタテのマリネ」(480円)、「牡蠣のプランチャ」(550円)など、すでになじみのあるメニューが並ぶ。また、パエリアは〆ではなく、ワインのつまみとして提案。「魚介と鶏肉のパエリア」(S 980円、L 1450円)などの定番に、旬の食材を炊き込んだ本日のパエリア5種が加わる。

「人に伝えたくなる記憶に残る店を創りたい」と保村氏。それが街の新しい資産になり、人を育て経営者にするからだ。「PEP」は、テストキッチンとしての機能も備え、社内的にも要となる店となる。西東京で不動の地位を築いたマザーズグループは、吉祥寺を起点に出店エリアを広げていく考えだ。5月には二子玉川に110坪の大型カフェのオープンが控えている。「PEP」のスパニッシュ業態も盛り込み、イタリアン、フレンチ、和食、ピッツァ、メキシカン、紅茶専門店、とマザーズグループの集大成ともいえるマルチ業態だ。今、20年近く飲食人として走ってきた道を振り返ると、「これまで現場で得た知識と経験を次の世代にも伝えていきたい」と強く思うようになったという。今年から事務所を新たに設立しコンサルティング事業に本格的に取り組んでいく予定だ。マザーズグループからまた一つ、新たなテーマが投げられた。

店舗データ

店名 PEP(ペップ)
住所 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-34-2 KS-3ビル2F

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アクセス 吉祥寺駅北口から徒歩3分
電話 0422-27-6083
営業時間 月~金 17:00~25:00
土 12:00〜25:00
日祝 12:00〜22:00
定休日 なし 
坪数客数 30坪・58席
客単価 4000円
運営会社 株式会社MOTHERS
関連リンク PEP(FB)
関連リンク MOTHERS(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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