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コラム

「外食アワード2012」を考える

「外食アワード2012」が発表された。この表彰制度は外食専門誌紙24社で構成される外食産業記者会が毎年、その年に活躍した外食事業者や外食支援事業者に与えれるもの。この受賞がきっかけになって飛躍した企業も多い。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


「外食アワード2012」に選ばれたのは、外食事業者が「かつや」を展開するアークランドサービスの臼井健一郎氏、「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」のバリュークリエイト坂本孝氏、オーダーバイキング型イタリアン食べ放題チェーン「ヴォーノ・イタリア」のル・クール橘秀希氏、「キムラ君はじめました」の釜たけうどん店主木田武史氏の4名。数ある外食事業者の中から4名に絞るのは大変な選考作業だったと思う。4名のほかにも相当数の候補者が上がったと推測される。表彰者へ祝意を表し、選考に当たった記者さんたを慰労したい。この中で、私の“予想”が的中したのは、バリュークリエイトの坂本氏のみだった。マーケットに新しい価値を提案したという意味では、革命的な「俺フレ」「俺イタ」のインパクトは大きかったといえる。ただ、「ヴォーノ・イタリア」もそうだが、ビジネスモデルとしてかなりROIのハードルが高く、業界への波及効果があるかどうかは疑問が残る。2012年は、突出して飛躍を遂げた外食事業者はさほどいなかった。私なりに「アワード2012」を選考してみたい。、今後のシニアマーケットの拡大を睨み、コーヒーチェーン業界に新風を吹き込んだ「コメダ珈琲」(安田隆之社長)。関東進出のインパクトも大きく、ルノアールの「ミヤマ珈琲」など追随する動きも出てきた。パンケーキブームを巻き起こした「bills」のトランジットジェネラルオフィス(中村貞裕社長)も外せない。レストランビジネスでは代官山「VY PLACE」に続き「CICADA」の移転を果たしたティー・ワイ・エクスプレス(寺田心社長)。商業施設に媚びない店づくりは圧巻だ。居酒屋業界では、関西串かつ専門店と見せながら新しいスタイルの大衆酒場をつくった「串カツ田中」(ノード貫啓二社長)。ネオ大衆酒場のリーダー役だ。2012年1月にFC1号店をオープンしたが、現在FC12店舗、直営8店舗の20店舗。「春には5店舗出店、今期50店舗が目標」(貫社長)で快進撃を続けている。FCオーナーには飲食ビジネス実力者が多い。関西では「浜焼き わい家」(ブルーコーポレーション長谷川泰三社長)も成長した。300円均一で鮮魚料理を提供。生産者とコラポレーションしながら強力なメニューを導入、これまで開発したメニュー数は延べ100種類を超える。ここ数年、浜焼き業態、鮮魚居酒屋がマーケットを席巻したが、2012年は淘汰の時代でもあった。その中で、独自のモデルを築いたと言えよう。仙台スタイルスグループの「津田鮮魚店」(佐々木浩史社長)も鮮魚系では大きな功績を残した。被災地石巻の鮮魚店を仙台の街中にもってきて、“復興象徴の店”につくり上げた。このように、居酒屋業態が単なるパフォーマンス競争ではなく、生産者支援、地方活性化のミッションを背負い、生産者と消費者のつなぎ役となることへの評価がなされるべきだろう。酒蔵の情報を発信しながら日本酒の価値を飲食店に伝えることを使命として酒育活動に熱心な酒販店「いまでや」の功績も大きい。他にキーワードとし挙げるならば、「熟成肉」「馬肉復活」「新世代日本酒」「クラフトビール」。2013年にこれらがさらに飛躍し、外食マーケットが活性化され、消費者から外食業界がリスぺクトされることを望みたい。

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