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インタビュー

株式会社鳥貴族 代表取締役 大倉忠司氏


日本経済のどん底でも揺るがない圧倒的な経営力とは!?

「単品戦略」に「親父マーケット」「200円代均一居酒屋」と、まさに今、時代のストライクゾーンど真ん中にきた均一居酒屋の元祖「鳥貴族」。四半世紀変わらない戦略により年間150%ペースで店舗数拡大。目指すは”全国制覇2000店舗”、そして・・・大阪100店超えの凄腕経営者が次なる地、関東・東海で攻略への快進撃に乗り出した! 焼鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」代表取締役の大倉氏が信念と未来への展開を語る。

【プロフィール】

1960年大阪府出身。株式会社鳥貴族の代表取締役。高校卒業後、辻調理師専門学校に入学。卒業後、リーガロイヤルホテルに入社し、2年間ウエイターを務める。82年退社して焼き鳥店に勤務後、85年に280円均一の焼き鳥屋「鳥貴族」第一号店をオープン。大阪で店舗数を拡大し、05年東京進出を果たす。09年9月現在、143店舗(直営66店舗、FC77店舗)。

– ここにきて飲食業界のマーケットが変わってきてるように感じるのですが、そんな中で「鳥貴族」はまさに時流・・・市場の変化について戦略としてどう捉えてますか?

弊社は創業からやっていることが変わらないんです。景気やトレンドも意識せずに来れましたから、私も社員もそういう意識がない。最近になり「ついに時代が追いついてきましたね」と言われる機会が多いのですが戸惑っています。

確かに、去年の秋頃から昨対は若干上がってきました。夏頃まで既存店ベースで105%前後できてたんですが、9~12月が107%、今年に入り7月頃まで110%くらいの伸び率。ただ、これまでも昨対はクリアしてきてましたので。

– そうはいってもやはり「280円均一」という300円を若干切るこのプライスゾーンは今のマーケットのニーズになっていますよ。それを御社は24年も前から変わらずにきてる。

これは、当時私がお客様の立場だった時に、やはり300円がひとつのラインかなと思いまして。これより下になると安く感じる。

– それを創業された昭和60年頃感じられたわけですね。日本経済の景気がどんどん上がり、バブルもあった。いくらでもいいからレストランにいくっていう時代もありましたよね。そういうことにも左右されず(笑)

そうなんです、バブルの時にいい思いはしてないんですよね(笑)

– 一巡どころか何十もしたかな。失われた十年もありましたね。それで今、「280円」がど真ん中のストライクゾーン。ある意味「プライスリーダー」になっちゃったじゃないですか。今勝っている居酒屋はだいたい客単2500円以下で、料理もドリンクも均一。感慨深いものがあるんじゃないかと?

同業他社さんのお店にはあまり行かないので、実際、どのような料理をだされているか見れてないんですが、近頃「均一価格戦争」とか「均一価格居酒屋」という取材が増えたので業界的にそうなのかなと。いずれにしろ、均一を話題にしていただくのは我が社にとってもありがたいですね。

– 御社の売りは価格に対して価値があるというか、ボリュームにもこだわってますね。コストパフォーマンスというより「バリューフォーマネー」といってるのですが、安いからいい訳じゃなく、「安くても価値がある」「安いから価値がある」と。そういうものをマーケットが評価する時代になってきたと見てるんですが。

「チェーン店=まずい」「チェーン店=冷凍」など、チェーンを否定する風潮がありますが私はいい部分もたくさんあると思うんです。ですから、マイナスイメージの部分を払拭できたら新しいチェーン店の形が作れるかなと。

第一にはお客様にいいものをお出しするということなんですが、次に従業員が誇りを持てる商品を提供することが大切だと考えています。自信のないものを扱ったら誇りを持って商売ができない。うちの社員は自社の焼き鳥に自信を持ってくれてると思いますし、そこにうちの存在価値があると思うんです。価格でもバリューでも、ナショナルチェーンさんの焼き鳥には絶対負けたらダメなんですよ。でないと「鳥貴族」の存在価値がなくなる。そこだけは譲れない。ですから、従来のチェーン理論からは反する非効率なことを大切にしている部分もあります。店舗数が4桁になっていった時にどこまでやれるかは未知数ですが、ひとつの挑戦ではありますね。

– なるほど。「鳥貴族」の原価率はどのくらいなんですか?

35%です。辺に下がりすぎるのも怖いですから、このラインを守っています。

– 鳥そのものの産地は企業秘密ですか?

いえ。今は、どうしましても鳥の卸会社頼りです。鳥の卸は牛のように全国を網羅する大手がないので、例えば、関西でしたら大阪、京都、兵庫。名古屋は名古屋ですし、東京は東京。産地は関西に関しては4ヶ所に分散してます。東京も産地は3ヶ所くらい。鳥インフルエンザがでますと供給できませんので。ただ、動きとしては、今、商品開発含めて産地と直で交渉するよう動いてます。卸の会社さんには物流という立場で、こちらで交渉した鳥の価格に物流費をのせていただく形にする。他の食材や酒類は既にそうしているので、鳥をそうできたら本当に自社でコントロールできる。今後は供給面がすごく重要だと思うんです。特に鳥は国産でまかなってますから、どれだけ押えられるか。ただ、我々は飲食業だけに特化したいので資本参加は可能性としてありますが産地の経営をするつもりはありません。すべてアウトソーシングにします。

– 産地と直にすれば原価交渉はし易くなりますね。品質の均一さは保てますか?

産地にはすべて足を運んで確認していますし、産地と卸の流れはどこも一緒なので問題ありません。ただ、卸の衛生管理的な部分で若干品質のぶれがあるので、その辺りが今後の課題ですね。

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