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インタビュー

株式会社鳥貴族 代表取締役 大倉忠司氏


– 「新しいチェーンの形」というのは個店のチェーン化という訳ですね。しかし全店均一で、しかも仕込みを各店でやりながら味の統制を図るというのは難しいですね。「餃子の王将」なんかは、各店違うことを売りにしてるくらいですしオリジナルメニューもある程度自由に認められている。

うちもオリジナルを5~6品までは認めてるんですよ。マグロの刺身とか、鳥のイメージを変えるようなものはノーにしてますが。特にドリンクは、場所によって需要がかなり異なってくるので、ビジネス街では焼酎を増やすなど自由度を高くしています。

– ハイボールはやってないですね。これは頑に?

いえ、おそらく山崎ハイボールは出しているはずです。

– それはちょっと高めに。

いえ(笑)

– 280円?え?、ありえないよね。それはもの凄い「売り」ですよ。山崎ハイボールを280円で飲めるっていう。

ウイスキーって割りとでなかったんですが、山崎10年に変えたらでましたね。

– いや、それはでるでしょ(笑)。普通、700~800円で出してますよ

はい(笑)。そういう商品をどう作るかという。サプライズしなければお客さんに喜んでいただけない。もちろんメーカーの協力もあります。半年毎にメニューを変えるんで、その期間だけ安く入れてくれとかですね。

– かなりサイエンスチックというか、経営がエンジニアリングですよね。PR戦略は?

基本的にはHPのみです。最近はメディアで取りあげていただきますが、こちらからの販促は一切禁止しています。呼び込みもオープン時だけで後はなし。「鳥貴族」はいつも安い。これ以上安くしてどうするというのが売りなので。

– 今でこそPRなしも分かりますが、当初大変だったのでは?

口コミでお客様をどれだけ集められるか、そこに店の力があると思っているんです。途中までは、あえて雑誌に乗らないようにした時期もありました。変に取りあげられてブームになっても怖いじゃないですか。それよりは実力を知りながら出店する方がいいと思っています。だから「時流ですよ」といわれても、やっていることが全く一緒なのでピンと来ない(笑)。「均一ブーム」も向こうからやって来ていただいたことで。おそらくナショナルチェーンさんなんかは景気がよくなったら戻されると思います。自分でやっててなんですが、焼き鳥とか単品の店でないと均一は無理があります。バラエティさもだせないし、居酒屋とかですとコストが高くなるので長続きしないと思うんです。弊社は最初からそれでやっていますから。

– 「鳥貴族」はまさに不況に強い業態ですね。

最初からそういう企業を目指していましたから。業界内でも一番の低価格を作りたい。それも安いだけじゃなく本当にいいものを。それさえ作れれば、景気にも流行にも左右されない業態が作れると思ってました。

– そして、徹底した客目線。「お通しをださない」とか。

この業界に入る前に自分が感じたことしかやってないんです。焼き鳥が大きいのもそうですし、均一価格もお通しを出さないのもそう。僕はお通しをサービスだと思っていましたから、ある時伝票をみたら付いててこれ詐欺だなと(笑)。突き出しは一回やると止めれないと思います。凄い儲け。客単価それだけで上がりますから。

– もう、ぶれずに2016年までは「1000店目標」に向けて突っ走るわけですね。他の業態は一切見ず?

私自身が不器用なんです。色々なことをできない。お客さんの声が、一番誘惑がありました。魚料理を置いてくれとか鳥だけだと飽きるからとか、牛串を揃えてくれよと。その度に、我慢、我慢、できました。店長からも、もっとファミリー客を増やしたいからファミリー向けの料理を出したらダメですかと。絶対ノーですね。お前ら考えてみろ、子供がうろうろする席で飲みたいかと。鳥貴族が本当に来てもらいたいお客さんは飲みにくる人達なんだから。もちろん、そうやってるなかでファミリー客が来てくれたら歓迎しましょうと。でも、こっちから呼び込むようなことは絶対止めよう。でなきゃ本当のお客さんが離れるよと。店長というのはどうしても広げたいと思うんですが、逆に絞り込めという。そうすればより強いものができると。メニューもそう。

– 社長も誘惑にかられた時期があったと?

創業時はありました。一年くらいずっと不振でしたから。でも、時代の流れは絶対に専門店なんです。僕は飲食業よりも小売業やスーパーとかに影響を受けてるんですが、なんでもありの総合スーパーよりも絞っている店の方がよりいい商品が出せますし、お客さんの満足度も高いと思うんです。もし本当に色々なメニューを置いて強いなら、ハンバーガー、ピザ、フライドチキンを置いた店を作ったらいいんじゃないかと。より多くの種類を揃えた店が日本一にならなきゃ嘘でしょ。でも、なっていない。特化したところが強いじゃないかと。

– 引き算の考え方ですね?

絞るというのは勇気がいる。でも、明確になるんです。料理だけでなくお客さんもターゲットもそう。焼き鳥を食べたい時は来てください。ほかを食べたいときは他所へいってくださいと。なんでも食べたい人を呼び込むのは無理があります。焼き鳥が食べたいならここ、寿司食べたいならここ。そういう流れになって来てると思うんです。

– 今は若い経営者も「100年続く店」を作りたいといいだしている。トレンドは意識しつつも、ぶれないものを確立したいと。

僕は、景気や流行に左右されないということが一番大事だと思ってます。「生活必需店」になりたい。そうすれば景気よくなっても関係ない。実際、うちの業態は景気よくなっても売り上げは変わりません。皆さん、高い店にいきますから(笑)。そして、変わらないのが一番いいのかなと考えています。

– 最近、社会事業にも取組み始めていらっしゃいますが?

企業責任という部分を強く感じてきています。数字がすべてでないにしろ、僕は数字を凄く大事に思っている。どれだけ多くのお客様に利用してもらうか、雇用数もそうですし、日本という中での影響力もそう。で、やはり「1000」という数。今後、そういった規模の飲食業はもうでないという話もあるんですが、やはり挑戦したい。そうなる為には「生活必需店」にしなければならない。その為に、一番のボトムの価格でいいものをだしていく必要があるんです。1000も通過点。大阪だけで100店舗出してますから、首都圏と東海と関西でやれると思ってます。だから、将来的に「2000」はいけると思ってるんです。あまり大きなことをいうと社員が慌てますが(笑)

– 今後、海外進出の予定はありますか?

いえ、日本でもこれからですから。少子化問題などで日本市場はどんどん縮小していきますし、いずれはでていかなければなくなるかもしれませんが、今、あえてリスクがあるところに出さなくてもいいだろうと思っています。まずは目標の「1000」店舗。それとともに、日本における業界の地位を向上させたいんです。

– 地位向上というのは、焼き鳥業界を産業として確立すると?

焼き鳥うんぬんではないんです。創業時、私とアルバイトの仲間で店をやっていたんですが、なかには大学生もいて。いざ彼が親に相談すると、なんで大学までいって水商売かと。私は親に自信を持っていえる企業を作りたいし、飲食をそういう業界にしたいんです。その為には規模が大事だと思います。マクドナルドさんのプロ野球球団の話が合った時、本当に持って欲しかった。個人店の多い業界で難しさもありますが、リーディングカンパニーが世間に対していいイメージを発信していくことで業界の地位も上がっていくと思いますし、我々もその一員として力を尽くしていきたいです。

企業データ

会社名;株式会社 鳥貴族

本社所在地;大阪市浪速区桜川4-9-13

設立年月日;1986年9月19日

社員数; 1286名(正社員150名、パート・アルバイト1136名)

資本金;2,300万円

売上高;120億円

店舗数;143店舗(直営66店舗、FC77店舗)

URL;http://www.torikizoku.co.jp/

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