スペシャル企画

受動喫煙防止のための喫煙規制が拡大
神奈川県よりも厳しい規制内容案が浮上
兵庫県でも罰則付きの条例化が確実に!


神奈川県に次ぐ2番手として、受動喫煙防止に関する条例化も視野に入れた検討会を平成22年に立ち上げた兵庫県。その展開が今後の他県・市の取組みを左右すると飲食店経営者含む各方面から注視されていたが、5月25日に開かれた第8回検討会で急展開を迎えた。

検討委員会事務局より「報告書」「規制内容」の素案が提出され、第8回検討会での修正意見を反映した後、6月末に開催される第9回検討会で確定するというのだ。最速で進めば、年内には県議会に条例案を提出、翌4月から施行ということもありえる。

その内容が、兵庫県ホームページで公開されているが、驚くことに、“罰則付き”であることはもちろん、なんと、神奈川県よりも更に厳しい提案となっている。例えば、神奈川は、分煙措置を図り難い狭い店は“100平米以下は努力義務”としているのに対し、兵庫県は、基本、“禁煙義務”とした上で、“75平米以下は時間帯分煙(営業時間の1/3枠)”とするなど、最低ラインの取組みハードルがぐっと上がっているのだ。

結局、受動喫煙防止に対し、“強行派”と“保守派”(現実派)の意見は1年の検討会を経てなお平行線のまま、決裂。条例化は確実となったが、「シナリオが描かれた出来レースだ」と憤るのは、第一回検討会から事業者側代表として意見を発し続けてきた兵庫県飲食業生活衛生同業組合理事長の入江眞弘氏。県民モニターアンケートが“禁煙推進派”の優位となるよう属性に偏りがあったり(禁煙者率10%・年齢構成60代以上が50%)、利用者の声では「喫煙ポリシーの表示義務」が最も支持されているにも関わらず、報告書の素案には、「表示は十分な対策であるとまでは認めることができない」と書かれ、“誰がどのような理由で認めることができないのか”が不明であったりと公平性に欠けるという。また、スナックやバーなど風営法施設については、「妊婦や未成年者(18歳未満)の立入が想定されないこと」を理由に小規模(75平米以下)なら努力義務となっているが、受動喫煙防止は広く県民全体の課題であり、施設利用者の属性によって規制内容を分けることは本来目的と異なっている。しかも、小規模スナックやバーは「酒類を提供し、主食と認められる食事を提供しない」ことが妊婦や未成年者の立入が想定されないことの理由となっているが、そのような形態の飲食店は、焼鳥屋やビアホールなど多数存在している。その点については、誰が何を基準に判断するのかと矛盾点を突く声も多い。同素案を受け、入江氏は同じく第一回より検討委員会に招集されている兵庫県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の奥田眞氏とともに事業主等関係者の意見をまとめ、以下の要望書を検討委員会事務局に提出した。

「大枠として禁煙の流れはやむを得ないにしろ、“県民の健康のため”と大義を掲げ、たった1年で議論も済んでいないままさっさと基準を引き、すべての負担を我々に押し付けるというのは許せない。行政のやる事はこういうことが多い。悪者を作っておいてそこへ話を落とし込んでいる。矛盾や疑問点はしっかり説明してもらわないと困るし、“県民の健康を守る”名目での条例制定。我々に経済面での保証をしてくれるというのであれば“分煙措置にまつわるもろもろの費用を全額保証”だ。神奈川のように利子保証されたとしても、元金は払い続けなければならない。不況の今、今日明日の生活さえ保証されない我々に、さらに、お客のために分煙を選択したいならローンを組め、と!? 事業者も県民です。県政を司る者として実情を理解した上での発言とは到底思えない。そもそも、検討会のメンバーの15名中半数以上が医者や薬剤師、看護士など反喫派。WHOの組織の人間や九州の大学教授など、兵庫県とまったく関係のない人々を引っ張ってきて、はい、こうなりました、と。これは条例化ありきで論旨付をしているに他ならないでしょう。しかも、未だ、兵庫県の県下で飲食業を営む人々は置かれた状況を知らずにいる人がほとんど。当事者をなんだと思っているのか」(入江氏)。

我々、飲食業界から見れば、入江氏が怒るのも道理。結局のところ御上の都合であり、“全面禁煙にしなかっただけ有り難いと思え”というような横暴な印象が拭えない。地方の飲食店では、まだまだ喫煙率が高い。タバコを吸うお客がいるのにも関わらず、“客相手”の商売が基本の飲食店にタバコを規制し、やぶったら罰金というのは、そもそもの順序が違うのではないか。しかも、パチンコや麻雀店は努力義務と不公平だ。受動喫煙防止を進めるやり方として、もっと犠牲を最小限に、効果的な策がないのか、早急に見直しを図って欲しいとともに、飲食店に関わる一人ひとりが自分事として考え、異議があるのであれば、投稿するなり、当事者として声を発しなければならない。

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