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スペシャル企画

「もっと現実に即した実効性ある取り組みを!」兵庫県・南京町商店街で喫煙環境表示がスタート


兵庫県・南京町では商店街振興組合が新たな取組み。一丸となり、喫煙環境表示を実施

兵庫県で受動喫煙問題の条例化がいよいよ現実味を帯びてきた。6月30日に開かれた第九回受動喫煙防止対策検討委員会では、公共性が高いと判断した屋内施設に禁煙を義務化し、分煙も禁止するよう求める最終報告書がまとめられた。これを受け、県は今年度中に「受動喫煙防止条例」を策定する方針。制定されれば、民間施設の分煙を認める神奈川県の条例より、さらに厳しくなる可能性が高い。

このことが記者会見等メディアを通じて公になるや、兵庫県下の飲食店関連団体の間で不安の声が上がり始めている。そもそも、同検討委員会が発足に至ったのは、兵庫県が平成15年度に受動喫煙防止対策の指針を制定し、平成22年度までに多数の県民が利用する施設での禁煙や分煙の実施100%を目標に普及啓発に努めてきたものの、成果が見られなかったためという。しかし、その呼びかけは飲食店関係者らの耳に届いていなかった。そんな、一見手順を踏んでいるようで実は当事者を無視した強行な条例制定は不況で家賃を払うことすら厳しい飲食店オーナーにとって、まさに泣きっ面に蜂の状況だ。

南京町

そんな中、“実効性あるよりよい策を!”と、いち早く声を発し、独自の活動に取組み始めた民間団体がある。兵庫県の人気観光名所のひとつ、南京町商店街振興組合だ。全国平均約24%という喫煙率が現実のなかで、仮に兵庫県で厳しい条例が制定されたら観光客のニーズに応えられなくなり、客足減が想定される。そこで、受動喫煙を防ぎ、且つ、客のニーズにも応えられるようにと、5月より、組合員の店舗約100前後にて喫煙環境の表示をスタート。ステッカーは中華街の景観をジャマしないデザインを組合が作成し、各店舗に配布した。今後は、南京町の散策マップなどにもタバコの状況がひと目で分かるよう印を付け、観光客に分かりやすいような仕組みを作り上げていくという。

南京町商店街振興組合

「表示は、この店は吸っていいのか、時間帯によって変わるのかと、お客様レベルで最も分かりやすいですよね。一律規制して罰則を設ける以外に、こういう方法もあるのでは!? もっと現実に即した政策を進めてほしい」と、南京町商店街振興組合の曹理事長。
「県下の飲食店は、今、条例作りの検討が行なわれているという事実さえ知らない人の方が多い。少なくとも、先日の記者発表があるまで分かってなかったでしょう。そうではなく、検討会が立ち上がったときからもっと分かりやすく公表すべきだったと考えます。常日頃思ってますが、条例や法律というのは民間でも知らないうちに決まり、すぐに実行される。民主主義の国家なので、もっと議論を重ねながら段階的にやる方がよいのではないか」とは南京町商店街振興組合広報部長の欧さん。実際、動くのは民間人なのだから、その人たちに納得させるような話合いを重ね、前段できちんと周知を図り、意見を組み上げていくべき。皆が気持ち良く納得できる仕組みの中で進めてほしい、と話す。

南京町商店街のステッカー

「南京町は中国人のお客も多く、彼らは円卓に座った時、周囲にタバコを勧めるなどの作法もあり全体的に喫煙率が非常に高い。我々は飲食店である以上、お客のニーズに応えるのは当然であるから、仮に条例が決まったとしても、客が吸いたいといえば黙認するケースが増えるのではないでしょうか。実際、三宮、元町エリアは、公道では喫煙所以外でタバコを吸ってはいけないという決まりがありますが吸っている人は多いし、罰則金は1000円ですが取り締まる人を見かけたことは一度もない。はっきりいって、実効性の薄いルールはいくら作っても仕方ないでしょう。本当に賢いのは、皆がスムーズにできる段階的な策を考えること。表示で受動喫煙を防止できる可能性も大なので、とりわけ関西人の気質には、そういう方がより適応性があると思います」(曹理事長)

5月よりスタートしたこのステッカー表示の取組みは、まずは南京町商店街で徹底。その後、同県内の中華料理組合や近隣エリアなどにも声掛けし活動協力を要請するなど、展開も視野に考えているとか。“現実に即したよりよい施策”ということで民間が自発的に取り組む、こういった活動が全国に広がり、管理されずとも、それぞれが互いを思い合い、心地よく暮らせる社会。それが、本来目指すべきカタチではないだろうか。

 

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