神泉に「刺身と天麩羅や 肴とり はなれ」が開業。渋谷「居酒屋 肴とり」に続く新店舗、得意の海鮮に加えて串天ぷらも名物に加えて界隈での存在感を強化

伝説の炉端居酒屋「JYU」、渋谷を中心に展開するグッドスパイラルを経て独立

渋谷駅からは徒歩８分、神泉駅からは２分。多くの飲食店が立ち並ぶエリアの一角に、「刺身と天麩羅や 肴とり はなれ」（以下「はなれ」）がオープンした。５月からプレオープンとしてランチ営業のみ行っていたが、この度、10月よりディナー営業も開始した。

代表の名取雄介氏は調理師専門学校を卒業後、和食店で修業を開始。ところが1年ほどで同店の経営状況が悪化したことに加え、「オープンキッチンでお客様の顔を見ながら料理がしたい」という思いが芽生えたことが重なり、当時、炉端ブームのはしりとして繁盛していた「炉端キュイジーヌ JYU」の恵比寿店に入店。名取氏を独立へと駆り立てたのは、ある時訪れた女性客がきっかけだったという。「私が焼いた鶏肉を食べたら涙を流していたんです。『何かまずいことがあったんだろうか』と慌てて聞くと、『落ち込んだ気分で来店したら、丁寧に調理された料理が出てきて感動して泣いてしまった』とのことで。飲食店は人の心を動かせるんだと、改めてこの仕事のすばらしさを実感。自分も飲食で独立したいという思いが固まりました」と話す。

7年ほど勤務するも、「JYU」は運営会社の倒産により閉店。その後は居酒屋を中心に展開するグッドスパイラルに入社し、複数店舗の統括を担いながら7年にわたり活躍した。同社は渋谷で多くの店舗を展開していて馴染みがあったことに加え、「人口減少が進む中でも、大都市である渋谷から賑わいがなくなることはないだろう」と、渋谷で独立。2016年、渋谷円山町の雑居ビル2階にオープンしたのが「居酒屋 肴とり」（以下「肴とり」）だ。「店の中心はオーナーではなく、スタッフ。何よりも一緒に働く仲間を大切にしています」と名取氏。「時には衝突することもありましたが、スタッフとは本音を隠すことなく向き合いながら店舗運営を行ってきました。皆が楽しく働ける場にしたいと思っていて、普段のちょっとした表情の変化も気になってしまうんです」。そんなスタッフ想いの名取氏の人柄もあってか、良いチームワークのもと営業する「肴とり」は、渋谷で珍しい落ち着いて食事の楽しめる店として、40代以降を中心に人気を博した。翌年には、神泉に「SIX KITCHEN」もオープン。こちらは得意の海鮮や和食に加えて洋食やワインも織り交ぜた業態として、「肴とり」から徒歩４分ほどの場所に出店した。

渋谷駅と神泉駅の間、多くの居酒屋やレストランが立ち並ぶエリアの路面に立地。アメリカから取り寄せたヴィンテージの扉が自慢だ

店舗データ