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【青森県下北半島シティプロモーション企画】三軒茶屋「雫月」&浜松町「座魚場 まるこ」で下北半島の産品の活用事例

青森県北東部に位置する下北半島では、海産物から野菜、畜産物まで多くの産品が生産されている。フードスタジアムでは下北半島の行政担当者と都内の飲食店オーナーを招致し、下北半島の地場産品に関する座談会を実施した。今回は、それをきっかけに実際に産品が店舗で商品化された三軒茶屋「雫月」と浜松町「座魚場まるこ」の事例を紹介する。


2019年8月上旬、東京・赤坂の「東北酒場 トレジオンポート」に、下北半島の行政担当者や生産者と飲食店オーナーが集結。青森県下北半島の地場産品の販路拡大を目的に、同地域の産品を飲食店に向けて紹介する座談会が行われた。

座談会の様子はこちら
【座談会レポート】青森県下北半島の生産者&東京の繁盛店オーナーが集結。知られざる地場産品を紹介、都市部での流通に向けた新しいシティプロモーションを提案

座談会後、早速、紹介された素材の商品化に結び付いたのが、参加した飲食店オーナーである狩野高光氏の三軒茶屋「雫月」と、小嶋崇嗣氏の浜松町「座魚場まるこ」だ。

「雫月」ではアピオスと大間のマグロ、「座魚場まるこ」ではアピオスを使ったメニューを提供。素材がどのように活用されているのかを紹介する。

活用事例①大間マグロ

本州最北端の下北半島、大間町。津軽海峡に面し、そこで水揚げされる天然の本マグロは「大間マグロ」というブランド名とともに高い品質で知られている。座談会では刺身として提供された。

三軒茶屋「雫月」の大間マグロ調理事例

「雫月」では月替わりのコース料理を用意。9月のコースの中で、大間のマグロを使った前菜3点盛り合わせを提供している。上から時計回りに、マグロをたくあんと合わせたタルタル風に大葉のソースを添えたトロタク、自家製ウスターソースをかけて食べるマグロのレアカツ、揚げたネギを使った焦がしネギソースを添えた、いくらの自家製醤油漬けをたっぷりと乗せたネギトロ巻き。

料理の開発を担当した、同社の総料理長の熊谷沙紀氏は「大間のマグロと言えば、その品質の良さはピカイチ。あまり技巧を加え過ぎず、マグロ本来の良さをシンプルに味わってもらえる品を意識しました」と話す。

活用事例②アピオス

北米原産のマメ科の野菜で、下北半島の佐井村を中心に栽培される。まるで小粒のジャガイモのような食感、味わいが楽しめる。収穫後、0℃前後の外気に当てる「寒ざらし」を行うことで糖分が蓄えられ、栗のような甘みに。それを蒸して冷凍して、流通する。座談会では、佐井村の無農薬アピオスを素揚げにして試食した。

三軒茶屋「雫月」のアピオス調理事例

アピオスを使った2品。左がアピオスのポタージュで、凍らせたフォアグラの味噌漬けを添えた一品。右が燻製アピオスのキャラメリゼ。こちらも月替わりコースの中で提供される。

熊谷氏は、「アピオスはとにかく土の香りが印象的。この香りを生かした料理を作ろうと考えました。まずは燻製アピオスでアピオスをまるのまま味わい、そのあとポタージュで、同じ素材の異なる仕立てで違いを楽しんでいただければと思います」と話す。

アピオスを採用した理由について、代表の狩野氏は「当店は無農薬や無添加、無化調など身体にやさしい安心安全な料理を提供しています。佐井村のアピオスは無農薬で栽培されているという話を生産者の方から聞き、興味を持ちました」と話す。

江戸前熟成 魚割烹 雫月

江戸前の熟成魚と熟成酒のマリアージュを楽しませる大人の隠れ家的割烹。三軒茶屋でドミナント展開する、狩野高光氏率いる和音人が運営。
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-40-4
坪数客数:17.5坪22席
客単価:8000~10,000円
運営会社:株式会社和音人

浜松町「座魚場まるこ」のアピオス調理事例

浜松町の「座魚場まるこ」では、アピオスを使った日本酒やビールにぴったりのおつまみを用意。「幻のじゃがいも 塩辛バター」(450円)だ。素揚げしたアピオスを塩辛とバターで和えた一品。

「ホクホクした食感と甘みに塩辛を合わせてお酒に合う味わいに仕上げました。当初は『アピオスの塩辛バター』という商品名でしたが、アピオスという名前だとお客様がわかりにくいため、“幻のじゃがいも”と打ち出したところオーダーが増加。じゃがバターのような感覚で楽しめると好評です。今後は他にもアピオスを使った商品を開発していきたいですね」と店長の朝比 昴氏。

小嶋氏は「アピオスは蒸した状態で納品されるので調理負担が軽いのも嬉しいポイントです」と話す。

なお、小嶋氏が青森県八戸市で運営する「炉端酒場だいつ」では、アピオスのリンゴバター和えと、大間マグロの刺し盛りも提供している。

座魚場まるこ

2階建て一軒家で営業するネオ酒場。1階は立ち飲みでキャッシュレス会計のみ、2階は着席で現金払いも可能。大手4社のビールをミックスした名物ドリンク「世界平和」をはじめ各種チューハイや日本酒などのドリンクに、酒に合うつまみを提供する。

住所:東京都港区浜松町2-12-11
坪数客数:30坪 1階40人2階40席
客単価:1階1500〜2000円、2階2500円〜3000円
運営会社:株式会社コジマ笑店

座談会で紹介された下北半島の地場産品(一部抜粋)

その他にも座談会では、海産物から野菜、乳製品まで多彩な産品が紹介された。その一部を紹介する。

(株)北彩屋 海峡サーモン(フィレー、活フィレー)
座談会で大間マグロと並んで注目を浴びたのが、養殖の海峡サーモン。津軽海峡の厳しい環境の中で鍛えられたサーモンは、引き締まった身とさっぱりとした品の良い脂が特徴的。冷凍技術が発達しているため、生と遜色ない味わいが楽しめる。

尻屋漁業協同組合 磯岩のり、まつも
運ばれてきた瞬間から磯の香りが漂う磯岩のりとまつも。そのまま食べても美味。

(有)下北名産センター ソフト焼きホタテ、川内町漁業協同組合 ほたて干貝柱
ホタテも青森の特産のひとつ。しっかりとした旨みが閉じ込められており、中華料理店でよく利用される素材。

水産物販売促進協議会 風間浦村産ひじき
他の産地のひじきに比べ、風間浦村のひじきはかためで存在感ある食感が特徴だ。


NPO法人むつ下北子育て支援 ネットワークひろば アピオス焙煎花茶、アピオスパウダー
アピオスは栄養価が高いと言われていることから、丸のまま以外に、お茶やパウダーとして加工されている。

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生産者と飲食店オーナーをつなぎ、地方に隠れた魅力ある産品を紹介し、シティプロモーションに貢献というフードスタジアム初の試みである今回の企画。今後も地方創生と飲食業界の活性化に向けた企画を行っていきたい。

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