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【座談会レポート】青森県下北半島の生産者&東京の繁盛店オーナーが集結。知られざる地場産品を紹介、都市部での流通に向けた新しいシティプロモーションを提案

青森県北東部に位置する下北半島。津軽海峡、日本海、太平洋に囲まれた自然豊かな土地で、海産物から野菜、畜産物まで多くの産品が生産されている。ところが、そうした魅力ある産品をどのように流通させるか、販路の面で課題を抱えているのが現実だ。

そこでフードスタジアムでは、下北半島を構成するむつ市、大間町、東通村、風間浦村、佐井村から、各行政の担当者や生産者、そして東京で繁盛店を経営するオーナーを招致し、下北半島の地場産品に関する座談会を実施。飲食店オーナーに地場産品を紹介するとともに忌憚ない意見を募るという、新たなシティプロモーションのかたちを提案。今回はその様子をレポートする。地方の隠れた魅力ある食材を探す飲食店、地場産品の販路拡大を模索する行政や生産者の双方にとって、ヒントにしてほしい。


参加団体

【下北半島 生産者】
むつ市
・(有)斗南ヶ丘牧場
・NPO法人むつ下北子育て支援ネットワークひろば
・川内町漁業協同組合
・(有)下北名産センター
・(株)北彩屋
・下北カンブリア農場(株)
大間町
・(株)魚忠
東通村
尻屋漁業協同組合
風間浦村
・(株)駒嶺商店
・水産物販売促進協議会
佐井村
・(一社)くるくる佐井村
・佐井村漁業協同組合

【飲食店オーナー】
・Tregion 代表取締役 吉田 慶氏
・テンプルボーイ 代表取締役 渡邉真祐氏
・和音人 代表取締役 狩野高光氏
・コジマ笑店 代表取締役 小嶋崇嗣氏
・H VIEW 代表取締役 中田 匠氏

【主催・キャスティング】
・フードスタジアム代表取締役 大山 正

【企画】
・フードスタジアム ディレクター 本プロジェクト推進担当 小野 茜

座談会レポート

2019年8月上旬、東京・赤坂の「東北酒場 トレジオンポート」にて開催。炎天下の中、下北半島の行政担当者や生産者と飲食店オーナーが集結。試食会兼座談会が行われた。

この座談会の目的は、青森県下北半島の地場産品の販路拡大。「従来は、展示会でバイヤーを介して飲食店へと卸すのが一般的ですが、それだと、なかなか大きな流通につながらない。今回は、直接飲食店オーナーに試食して魅力を知ってもらい、また忌憚ない意見をもらうことで、販路開拓につなげようという狙いで企画しました」と、今回の座談会を企画した小野は話す。


飲食店オーナーのキャスティングは、外食メディアとして多くの飲食店とのコネクションを持つフードスタジアムが担当。今回は5人のオーナーをゲストに迎えた。「あえて、メディアで話題のスターシェフなどではなく、街場の繁盛店オーナーに依頼。東北にまつわる飲食店を経営していたり、地方創生に力を入れていたりと、志のある方々に来ていただきました。外食メディアとしての発信力を生かし、地方にある魅力ある素材を訴求していきたい」と、フードスタジアムの大山。


下北半島側からは、むつ市役所・シティプロモーション推進課の山崎 学氏が挨拶。「青森県下北半島は、津軽海峡と太平洋の間に位置し、海と山に囲まれた自然豊かな土地。そこで育まれる素材はどれも魅力ある品々です。東京など他地域への流通を促し、経済を活性化させ、下北半島に住む人達がそこで生活していけるよう盛り上げたいと考えています」と話した。

紹介されたのは、下北半島で生産された農産物や海産物、加工品など約50品。

アピオス(豆科の野菜)は素揚げに、サーモンは刺身にするなど、オススメの調理法にて試食が提供された。

座談会に青森から駆け付けた生産者は、素材の特徴やこだわりをプレゼン。飲食店オーナーは熱心に聞き入った。

試食をした飲食店オーナーからは「おいしい!」の声も。生産者に対し、「無農薬なのか?」「発注方法や送料は?」「最小ロットは?」などの質問があがった。

座談会を終えて…

会の締めくくりとして、座談会を実施してみた感想を飲食店オーナーに伺った。

Tregion 代表取締役 吉田 慶氏
東北6県をテーマにした居酒屋「Tregion」を赤坂で3店舗を運営していますが、今日紹介された素材は知らないものも多く、良い機会になりました。今度当店で下北半島の素材にフューチャーした下北フェアなど開催したいなと思いました。

取り扱いに関して、送料など流通の難しさがあるなとは思います。地元で配送のとりまとめを行う仕組みなどを整えてもらえると、飲食店ではより仕入れがしやすいのかなと思いました。

テンプルボーイ 代表取締役 渡邉真祐氏
全国各地の魅力ある食材を南部鉄器で調理するというコンセプトの「東京オーブン」を、神田と赤坂で計3店舗展開しています。吉田さんの言う通り、地方の食材を使いたいというニーズは飲食店にとって強いと思うのですが、どうしても送料と取り寄せるまでの時間がかかってしまう。あとは安定供給も課題だと思います。というのも、名物商品にしようとしていた素材があり、準備を進めていたら直前になって生産者から「今年は不作で用意できない」と言われて提供できなくなってしまい、苦労した経験がありました。

でも、今は生産者の状況を理解し、根気強く付き合う飲食店オーナーも増えていると思います。そういった課題を乗り越えた店は、他の店にない価値を提供できるようになると思いますね。

和音人 代表取締役 狩野高光氏
三軒茶屋で7店舗を運営しています。山形をテーマにした店もあり、下北半島のワインも扱っています。

私は経営者であり料理人としてメニュー開発なども行っていますので、加工品よりも素材そのままの味を知りたいと思いました。また当社では山形県河北町のアンテナショップも運営しており、生産者さんと交流することも多いです。その中で彼らにお願いしているのは「自然なものを出したい」ということ。無添加や無化調で安心して食べられるもの、加工品も含め今後そういった品が売れると考えています。生産者の方々とはそういった視点で一緒に良いものを作ってお客様に届けていきたいと考えています。

コジマ笑店 代表取締役 小嶋崇嗣氏
渋谷の「大衆酒場 酒呑気まるこ」をはじめ、都内で居酒屋を展開していますが、八戸でも「炉端酒場 八戸だいつ」を運営していて、青森と聞いて親近感があり参加しました。

当店も添加物は不使用であることをポリシーにしているので、素材そのものの持ち味を重視しています。例えば、今日紹介されたアピオスは冷凍保存が可能なため大量に仕入れることが容易ですが、そうではない生鮮食品などはどうしてもロットが小さくなり、そこが流通の面で課題だなと感じました。

H VIEW 代表取締役 中田 匠氏
神保町の「Mr.happy」をはじめ、日本酒バルを3店舗展開しています。日本酒の蔵元と方々と話す機会も多いのですが、その際に話題に上がるのが、「日本酒を工業製品ではなく、農業製品としてブランディングしたい」ということ。工場で機械的に製造される工業製品ではなく、米からどのように作られるのか、日本酒には農業製品としてのストーリーがあり、それを打ち出すことで多くの人に興味を持ってもらえるのでは、ということが必要とされています。

世の中には美味しいモノがたくさんある中で、どのように売るかというと、そういったストーリーが大切になってくる。今日紹介された産品も同様に、ストーリーとともに売っていくことで、活路が見いだせるような気がしました。

次回、後編では今回試食を行った素材について紹介。下北半島の隠れた魅力ある産品は飲食店オーナー、料理人は必見!乞うご期待!

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