飲食店の修行は必要か?
2014年、ホリエモンが「寿司職人が何年も修行するのはムダ」という趣旨の発言をして物議を醸しました。当時は賛否両論が巻き起こりましたが、あれから12年。今やネットであらゆる情報にアクセスでき、さらにタイパを重視するような現在、長年の修行が時代にフィットしないという意見も一概には否定できなくなってきました。
では、今の若い飲食オーナーはどのように経験を積み、独立を果たしているのでしょうか。
多くのオーナーはどこかの店で働き、そこで経験を積んでいくパターンがほとんど。昔から変わりません。しかし、最近の取材を通じて、そうではない“あるルート”が浮かび上がってきました。
タイパ時代、20代飲食未経験が選んだ「学びの手段」とは?
それは「FC加盟」です。飲食店をやりたいが、ノウハウや経験がない――そんな場合、修行に行くのではなく、どこか人気ブランドのフランチャイズに加盟する。実際に店を運営しながら、同時にそのノウハウを吸収していくのです。
先日、フードスタジアムで取り上げた新橋の「トミハチ」がまさにそうでした。
オーナーの富田さんは現在30歳。飲食店は22歳の時にスイーツのポップアップ販売の仕事を個人で始め、その後、「21時にアイス」「PERFECT BEER KITCHEN」のフランチャイズに加盟して店舗経営に参入しました。それらのフランチャイズ店舗や、プロデュースしてもらった業態など7店舗を運営し、飲食店のノウハウを重ねてきました。そして今年の4月、8店舗目にして初となるオリジナル業態の「トミハチ」を出店したというわけです。
その意図について富田さんは「若くて経験もノウハウもなかったので、まずはフランチャイズに加盟して飲食店経営を学ぼうと思った」ということです。
実践と同時に学ぶ。無駄のない時間の使い方はまさにタイパ時代の経験の積み方です。

「トミハチ」は富田氏の地元、香川をテーマにした居酒屋。渋谷の人気店「ツーピース」代表藤田氏がプロデュースしている
もう1つ事例を挙げましょう。seesooという飲食グループがあります。韓国ベーグルの「アルムベーグル」を急速拡大しているほか、それ以外にも池袋で定食店の「竈門ご飯 一穀」や、福岡でカフェ「GUF」を運営しています。
同社代表の穀本周さんも、現在20代後半と若手です。やはり飲食業はフランチャイズ加盟からスタートしています。「飲食をやりたい!」と思いを抱いたものの、もともとアパレル出身でノウハウはなし。そこで、フランチャイズに加盟して学ぼう、という発想です。

近頃、生ドーナツブームの次は韓国ベーグルブーム。「アルムベーグル」はその先頭を走り、わずか1年ほどで10店舗以上を出店している
サブライム出身の石川瑛祐さん率いるStyLeも、積極的にフランチャイズ加盟をしてきた飲食グループです。現在は全国に多様な業態を80店舗超、展開する同社ですが、やはりド素人から出発した石川さん、サブライムの支援のもと独立し、創業当初は「肉汁餃子のダンダダダン」など当時の人気業態のフランチャイズに加盟してノウハウを蓄積していきました。
最近の若い人は「自分のやりたいこと」より効率いい学び方を選ぶ?
多くのオーナーは「こんな店がやりたい」「こんな料理を出したい」など自分のやりたいことを起点に飲食店経営をスタートさせます。それが時代とともに変化してきているようです。
「やりたいこと」はいったん置いておき、冷静に現状を見つめ、最も効率的で勝率の高い手段を選ぶ。それがフランチャイズに加盟することだった。まさに現代の若者の価値観を象徴した動きにも思えます。



















