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コラム

「ジャパン・クオリティ」を再発見しよう!

「3.11震災」以降、日本と日本人の"底力"が問われている。そんな今だからこそ、「ジャパン・クオリティ」を見直してみよう。「ネオ地酒」「国産ワイン」「クラフトビール(地ビール)」「地ウィスキー 」、そして「発酵食材」など、ポテンシャルのあるコンテンツが少なくない。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


日本の原子力発電技術は「ジャパン・パワー」の象徴だった。しかし、大地震によって「安全神話」がもろくも崩れ去った。我々は自信を無くしかけているが、「東北の日本酒を飲もう」「福島の野菜を食べよう」といった被災地支援活動を見ていると、「日本も捨てたもんじゃない」「まだまだイケる」と感じる。政治や高級官僚たちが喧伝する「ジャパン・パワー」は怪しい。でも、ものづくりを支えてきた「ジャパン・クオリティ」は素晴らしい。そんな「力」ではない、秘められた「質」を今こそ見直そうではないか。そのなかで改めて見えてくるのが、食の分野における日本の「地の品質(ジャパン・クオリティ)」なのだ。いま飲食マーケットで注目されている「ネオ地酒」「国産ワイン」「クラフトビール(地ビール)」「地ウィスキー」、そして「発酵食材」などを再発見、再評価するチャンス到来である。

こうした「ジャパン・クオリティ」発信基地として飲食店を開業する人たちが増えている。とくに若い人たちがものづくり発想からこの分野に入ってきているケースが多いことは、今後の飲食文化の発展にとってたいへん楽しみである。高円寺にオープンした「高円寺麦酒工房」は、店のバックヤードに自社ブリュワリーをもつクラフトビールの店。「自家製ブロンドエール」「自家製ペーリエール」などを提供しているが、Sサイズ(小ジョッキ)350円、Mサイズ(中ジョッキ)390円~と、高いというイメージのあったクラフトビールではありえない値段で出している。オーナーの能村さんは、「趣味でやってますから…。この値段でお客さんに楽しんでもらいたい」と言う。高円寺にもう一つ最近オープンした「萬感」は、オーナーの高橋さん率いる若い仲間が4人で開業。クラフトビールの聖地といわれる両国の「麦酒倶楽部ポパイ」の青木氏に指導を受けた本格志向。地方のマイクロブリュワリーから旬の樽生ビールを取り寄せて最高の状態で提供する。「萬感」ではクラフトビールのほか、「国産ワイン」や「地カクテル」なども置いている。

「国産ワイン」に特化したワインバーも誕生した。新宿御苑前の「JIP」である。オーナーはワインの瓶の卸売をしていた。店内にはショップが併設され、200種類以上ある中から、その場で選んだワインを抜栓料1500円で楽しめる。気に入ったワインがあれば、買って帰ることもできる。グラスワインは常時15~20種類以上あり、価格は400円からとリーズナブル。気軽に色々な品種を飲み比べる事ができる。甲州、シャルドネはもちろん、あじろん、ツヴァイゲルトレーベなど品種や地域も幅広く、北は北海道から南は九州大分のものまで置いている。新橋には、「地ウィスキー」を売りにするバーもオープンした。「Essential CooKing (エッセンシャル・クッキング)」で、国産地ウイスキーを使った「ご当地ハイボール」のタワー4基が入口で出迎えてくれる。料理はフレンチ炭火焼。

亀戸に「香取・勝運商店街」が震災の翌日、3月12日にお目見えした。昔からある商店や飲食店のファサードを“看板建築”という手法でレトロチックに改装した映画のセットのような商店街。その中にオープンしたのが「発酵文化応援団」。「発酵文化を軸に町おこし!」をキャッチフレーズにした飲食店である。福岡出身の脱サラオーナー、喜連川さんが奥さんと店に立つ。日本の醸造文化や発酵文化を発信するとうのがコンセプトで、レアな日本酒や醸造・蒸留酒を提供。料理担当の奥さんは、こだわりの「発酵食材」や「江戸東京野菜」の逸品で客をもてなす。発酵技術はまさに「ジャパン・クオリティ」の極み。新世代のオーナー杜氏たちがつくる希少な「ネオ地酒」に発酵食材料理。これほどのキラーコンテンツがほかにあるだろうか。「3.11震災」によって改めて見直される「ジャパン・クオリティ」。食の分野でも、それが今後の“価値軸トレンド”になることは間違いない。

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