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コラム

大不況を勝ち抜く3大コンテンツ

2009年は確実に大不況に突入する。政治も大波乱。なにせ100年ぶりの転換期だから、世の中が荒れる。人々は「食べること=生きること」という生存の原点に回帰する。そんな時代を勝ち抜くには...。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


その3大コンテンツを予測してみた。 1、横丁…不況になれば、人は孤独になり、雑踏に寄る辺を求める。人々が肩寄せ合い、袖すり合う場に足 が向く。2008年のヒットコンテンツの一つなった「恵比寿横丁」はある意味、不況時代を先取りしていたと言えるかもしれない。かつてのシンボル的な横丁 「新宿思い出横丁」「新宿ゴールデン街」なども元気。2009年には「恵比寿536」はじめ、赤坂、町田などで新しいテイストの横丁が次々に生まれる。ま た、横丁的猥雑さのあるガード下の店、古い一棟建てビルや一軒家のリノベーション物件を利用した飲食店が注目されるに違いない。 2、鍋…不況になれば「鍋」である。戦後に登場した実存主義小説家の椎名鱗三作品に『深夜の酒宴』がある。いまベストセラーになっている『蟹工船』 がプロレタリア文学だとすれば、椎名の作品はアナーキーな空気に満ちている。でも、キリシタンだった椎名は最後に神の救いをもってくる。『深夜の酒宴』 は、貧困、苦悩、絶望などの極限状況に陥った主人公たちが偶然出会い、古びた倉庫の片隅で鍋をつつきながら、酒を傾け、それぞれの人生を語り合う。その鍋 は、長ネギと豆腐だけのシンプルなもの。そして、ある主人公が語る。「現在が耐えがたいからといって、希望の無い者には改善など思いがけないことだ」。救 いのメッセージである。鍋を囲みながら希望を想うのである。街を歩くと、イケてない居酒屋が「もつ鍋」「コラーゲン鍋」と“流行り鍋”を売りにする。そう じゃない、もっとシンプルな“隠れ鍋”が2009年には相応しい。 3、B1グルメ…これは絶対に来る!B1グランプリというイベント がある。もう3年目を終えた。全国のご当地B級グルメが日本一を競うイベントである。“A級郷土料理”は2008年で出尽くした感がある。もう業態コンセ プトしては限界を迎えている。残るのはAPカンパニーのように、自ら生産者となって川上コンテンツを押さえるやり方しか残されていないような気がする。そ の半面、B級グルメ、ご当地名物は単品で勝負できるだけに強い。B1グランプリは、開催が始まって2年連続して「富士宮やきそば」が優勝し、3年目の 2008年は「厚木シロコロホルモン」がウィナーとなった。両方とも、商品としてはマイナーである。しかし、マイナーだからこそ、オリジナリティ、スペ シャル感がある。2009年はB1グルメを売りのメニューに取り入れる動きが増えるに違いないだろう。

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