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コラム

コラボ横丁”「赤坂小路」の魅力”

昨日は4月10日オープンのビル地下横丁「赤坂小路」のプレスレセプションだった。私もプロデュースチームの一員としてこの横丁づくりに最初から関わってきたが、プロジェクト参加者が利害を超えてコラボする楽しみ、それを教えてくれた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


唄って呑める大人のための“唄酒Bar(場)”「~Song bar street~ 赤坂小路」という企画が持ち上がったのは昨年の暮れ。「EBISUノ536」という恵比寿の“新横丁”プロジェクトを進めていたスタジオナガレの横井貴広 さんのところに、赤坂の社交ビルの地下で高級カラオケ「VOICE」を運営していたフードバリュー・市川洋一さんから話が持ち込まれたのが始まりだった。 横井さんは、「あえてベタな業態も取り込んで赤坂のオジサンたちが通える横丁にしたい」と考え、「恵比寿横丁」をプロデュースした浜倉好宣さんにコラボを 働きかけた。浜倉さんは、関西人のノリで「オモロイやないか」とプロデューサーを引き受けた。 私は最初、この物件を見たとき、「無理だろう!」と思った。かつて“鉄人通り”といわれたミカドビルの前の「collinsビル」。通りの周辺はい わゆる赤坂の“リトルコリアン”という立地だ。ここで新しい飲食店を始めるということはかなりの勇気が必要だし、ましてや飲食複合施設をつくるなんて無茶 だと思ったのだ。しかし、横井さんと浜倉さんは「誰もやらないことをやろうじゃないか!」と燃える一方。自分たちも店を出し、リスクも背負いながらチャレ ンジが始まった。他のテナントも決まり始めたものの、最後の一区画が埋まらない。そこに名乗りを上げたのが居抜き物件サイト「ぶけなび」の勝山泰樹さん。 赤坂で「博多華善」を経営し、このビルの上のクラブをリーシングするなど赤坂を知り尽くした勝山さんも最初は、「こんな場所でやるのは信じられない」と最 も反対していたのだが、その本人が参加を決断したのだ。 そんな経緯を経て、「赤坂小路」はスタートを切った。俳優業の傍らBAR開業の夢を実現させた、沖縄県名護市出身のオーナーの根っからの明るいキャ ラとこだわりの泡盛&沖縄料理でお客様の心を南国にする“泡盛BAR「やさぐれ琉球パンダ」”。新宿で大成功を収めているボーイズBARのオーナー会社が 運営する超個性的なキャラクターたちが揃うボーイズBAR“「KNIGHT CLUB」”。ミラーボールが輝き、ディスコミュージックが流れる80年代バ ブルをオマージュした店内。恵比寿横丁で成功を収めた若き独立開業者による名酒ハチハニーをメインに提供する“ハチハニーBAR「BELAMI」”。これ らが実に個性的なテナントたちでである。 そして、横井さんのスタジオナガレはブリティッシュパブならぬ路地裏パブの「UBU」を出店、同社から独立した味噌汁BAR「1CHIDO°」の若 きオーナーによる、和服美人を女将に据えて畳敷きのカウンター内からサービスする“お座敷バー「キク」”。浜倉さんは、“浜焼き屋台「絡○(からマ ル)」”を自ら直営店として出店した。「ぶけなび」の勝山さんは、スーパーバイザーをつとめる雑誌「スマイラー」の“夜の編集会議室”をコンセプトに、日 替わりで有名人がカウンターに立つ“大人の社交場「SMILER’S BAR」”を出した。事業者であるフードバリューの市川さんも、施設のコンシェル ジュ役を果たす立飲みの「角打ち 市川酒店」を出店。 こうして、作り手側もテナントも一緒になって参加者みんなが施設全体をかたち造る。みんながリスクを共有する運命共同体だ。商店街や団地の自治会の 雰囲気。混沌とした一見バラバラのような横丁だが、参加者すべての気持ちは見えない糸でつながっている。オープン後、小さな諍いはあるかも知れないが、客 を分け合い、共に楽しませるというミッションは変わらないだろう。一つの事業者が予定調和でつくるテーマパークでは表現できない“混沌としたハーモ ニー”、これが横丁づくりの魅力である。プロジェクト参加者たちが利害を超えてミッションを共有する醍醐味、それを味わえるのが横丁づくりである。さて、 10日のオープン、客からどんな“審判”を下されるのだろうか?

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