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コラム

2012年の「飲食トレンド」を読む!

来週はもう12月入り。そろそろ2012年の「飲食トレンド」を予測しなければならない時期が来た。不透明このうえない時代だが、5つのトレンドにまとめてみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


このコラムで今年2月に書いた「2011年のトレンド予測」は以下の5点だった。1、低価格居酒屋競争が終結し、単価上昇現象が起きる2、「カジュアルワイン業態」マーケットが急拡大する3、新世代の「日本酒専門業態」が増え、日本酒復権へ4、「オンリーワンメニュー」で差別化する店が増える5、ソーシャルメディア本格到来が店と客の関係を変える3月に大震災があり、飲食マーケットも大きく揺れたが、おおむねこの5大トレンド予測は外れてはないだろう。「270円均一居酒屋」を打ち出した三光マーケティングフーズは、実質的に「低価格路線休止宣言」をした。カジュアルワイン業態の拡大はコストと品質のバランスをとりながら、巨大なうねりとなっている。いまや北は北海道、南は沖縄まで「ワインバル」「ワイン居酒屋」「ネオ・ビストロ」などが増殖している。銘柄、提供法にこだわる若いオーナーの日本酒の店も増えた。「魚金」グループの圧倒的なコスパメニューのような「名物料理」「新定番メニュー」を顧客に訴求する動きも広がっている。2012年は、こうしたトレンドがさらに加速し、厚みを増していくだろう。そして、以下の五つの新しいトレンドが到来してくるに違いない。1、「日本の地もの」、いわゆる「ジャパンクオリティ」志向が強まる2、「カジュアルワイン業態」の選別と「地バル」の台頭3、「肉業態」の“技あり”進化が始まる4、「ネオ・アジア料理」「ヒスパニック」業態が増える5、「街バル」「街コン」がメガトレンドになる1の「ジャパンクオリティ」は昔からあった日本の高品質の食材やお酒、高技術に裏づけされた新しい食材や飲料が改めて見直されるということ。「国産クラフトビール」「日本ワイン」「地酒」「国産マッコリ」「地野菜」「地魚」「醗酵食材」などへの需要がさらに拡大するだろう。なかでも、「国産クラフトビール」「日本ワイン」には注目。地方の優秀な中小地ビール醸造所(ミニブリュワリー)やワイナリーの生産者とのコラボの背景やストーリーに顧客は共鳴、共感する。「ドリンクで差別化」するチャンス到来でもある。2の「カジュアルワイン業態」の選別は、「ただ安いワインを置けばいい」というイージーな提供をする店が増え、「悪貨が良貨を駆逐する」動きが出かねないということだ。メーカーやインポーター、在庫一掃を狙うようなモラルなき酒販店などに頼らず、自分たちで銘柄を選び、品質管理を怠らないこと。顧客はすぐに見抜けるほどワインリテラシーが高まってきている。地域密着型、街のコミュニティ空間としてのマイクロスタイルの「地バル」は強い。一人客が気軽に通える雰囲気をつくることを心がけるべきだ。ワイン業態、クラフトビール業態の広がりとともに、3の「肉業態」の進化が起きつつある。個性の多様なワインやクラフトビールと合う赤肉の「熟成肉」、豚肉の加工品であるソーセージやパテなどの「シャルキュトリー」、そして「ロティサリーチキン」などがインパクトある新しい食材としてさらにクローズアップされてくるだろう。これらは作り手、出し手の“職人技”が問われる。仕入れ力や品質管理力の勝負となる。4の「ネオ・アジア料理」「ヒスパニック業態」は、アジア・中南米の食レベルの向上とともに、ハイクオリティなコンテンポラリースタイルが日本に輸入される。また、それらを日本的、東京的にアレンジしたネオスタイルが登場しつつある。韓国、インド、シンガポール、ベトナム、タイ、メキシコ、ブラジルなどのモダンテイスト業態がどんどん増えるだろう。料理だけでなく、ドリンクもまた然りである。HUGE新川氏のモダンメキシカン業態やグルーバルダイニング卒業生のアジアンビストロスタイルなどに注目。5の「街バル」「街コン」は、一つの駅エリアの飲食店が共同し「3,500円で5軒はしごで食べナイト飲まナイト」とか、男女同一人数で500人から1000人レベルで参加店をはしごしながら合コンするというもの。地域の飲食店同士のつながりが深まり、街ごと活性化できる新しいムーブメントだ。八戸で生まれたB1-グランプリがいまや開催ごとに数十億の経済効果を生んだように、地方で生まれた「街バル」「街コン」はメガトレンドになるに違いない。飲食店を通じた街おこしとして注目したい。 

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