スペシャル企画

【噂の繁盛店 × 店通】初期費用を抑えて渋谷進出、一気にブレイク。『焼肉ホルモン 新井屋』が明かす、物件調達と「50店構想」の組織づくり

渋谷の喧騒のなか、ひときわ熱気を放つエリア・百軒店。数多くの飲食店がひしめくこの地で、連日満席となり、食べログ『焼肉 TOKYO 百名店』にも2022年から4年連続で選出されるなど、圧倒的な人気を誇るのが『焼肉ホルモン 新井屋 渋谷』です。

いまや渋谷の焼肉シーンを語るうえで欠かせない存在となった同店ですが、その始まりが高円寺であり、渋谷進出の裏に意外なドラマがあったことはあまり知られていません。

今回は、株式会社新井屋を率いる新井さんと、その出店を支えた株式会社店舗流通ネットの清水さんにお話を伺いました。苦労の絶えなかった創業期から、思いがけないきっかけで実現した渋谷進出、そしてこれからの展望まで、人気焼肉店の知られざるストーリーに迫ります。
(取材・執筆・文責:大山 正)


プレゼンテーター:大山 正

1982年東京都生まれ。成蹊大学卒業後、各種広告関係営業、外食企業のプロモーション・広報を経て、2014年1月、31歳で外食メディア「フードスタジアム」フードスタジアム株式会社 代表取締役就任。飲食店若手経営者の会「外食5G(現JFRX)」初代サポーター企業リーダー。2020年3月、株式会社ミライーツを設立。飲食業界における幅広い人脈、情報を持ち、飲食企業のサポートに従事する一方、本連載では独自に記事の取材・執筆・文責を手掛ける。

「焼肉 ホルモン 新井屋」を率いる株式会社新井屋 代表取締役の新井 英樹さん。「焼肉店のオーナー」というパブリックイメージを覆すような、物腰柔らかで温かみのある人柄が印象的。

 

渋谷で大ブレイクした「新井屋」。実は高円寺が本店! 苦節2年の始まり

大山:今や「新井屋」といえば渋谷ってイメージが強いですけど、実は本店は高円寺なんですよね。

新井さん:そうなんです。高円寺で始めたのが2013年くらいかな。もう14年目になりますね。もともと『叙々苑』でアルバイトをして、そのあと三河島の『山田屋』っていうお店で5年くらい修行して独立したんです。

 

大山:名店ですね。下町系の焼肉で腕を磨かれたんですね。どうして最初の場所に高円寺を選んだんですか?

新井さん:いや、実は妥協なんですよ(笑)。地元が阿佐ヶ谷で、本当は中野でやりたかったんです。でも、ちょうど大学が4つも5つもできて、全然物件が空かなくて。それで泣く泣く一個ずらして高円寺にしたっていうのが実態ですね。

 

大山:そうだったんですね! 創業店は順調なスタートだったんですか?

新井さん:いや、全然! 最初の1、2年は自分の給料なんて全くなかったです。スタッフの給料と家賃、食材費を払ったら、もうほぼゼロ。本当に数万円プラスになるくらいで、マイナスじゃなかったからなんとか頑張れたけど、「もうヤバいかも」って思うくらいしんどい時期は長かったですね。

 

渋谷進出のきっかけは、まさかの『パチンコ仲間』!?

大山:新井屋さんにもそんな時期があったとは…(汗)。それで高円寺、阿佐ヶ谷と中央線沿いで展開されてきて、次が突然の渋谷。これは何か大きな戦略があったんですか?

新井さん:いや、それが特になんの作戦もなくて(笑)。20歳前後の頃に渋谷のパチンコ屋で3年くらいバイトしてたんですけど、その時の仲間が「渋谷に出してくれたらみんな集まるのに」ってずっと言ってて。「じゃあ、渋谷に出そうか」みたいな、本当にそんなノリです。

 

大山:ええー! まさかの仲間の一声がきっかけだったとは! でも、いきなり渋谷で物件を探すのは大変だったんじゃないですか?

新井さん:めちゃくちゃ大変でした。初めての場所だから不動産屋さんの探し方もわからないし。ネットで探したり、いろいろやってるうちになんとか今の物件を探し当てた感じです。店舗流通ネットさんの物件ですね。当時はこの百軒店も今みたいに飲食店がたくさんある感じじゃなくて、ストリップ劇場があったりして、正直ちょっと不安はありました。でも、それはそれでおもしろいカルチャーな一角だなって。

 

初期費用を抑えられた『秘密兵器』とは?

大山:初めての土地での出店となると、やっぱりお金の面、特に初期費用がネックになりますよね。

新井さん:そうなんですよ。どうしようかと思ってた時に、店舗流通ネットさんの『ショップサポートシステム』っていうのを使ったんです。

 

大山:清水さん、そのシステムについて詳しく教えてもらえますか?

清水さん:はい。これは、出店にかかる初期費用のうち、大きな割合を占める保証金と工事費用を弊社が負担して、その分を月々のリース代として少しずつお支払いいただく、という仕組みです。これを使うと、通常100かかる初期費用がだいたい30から40くらいでスタートできるんですよ。

新井さん:本当にこの仕組みはありがたかったですね。すごくスタートしやすかったです。浮いた分のお金を人材とか設備投資に回せるから、出店のスピードが上がりますよね。

現在、株式会社新井屋を担当している店舗リース事業部 部長の清水 禅さん。

 

テレビ出演で大ブレイク! 渋谷の焼肉激戦区を牽引する存在に

大山:渋谷店は2019年8月にオープンして、すぐにブレイクしたイメージがあります。実際のところはどうでしたか?

新井さん:オープンしてすぐ、っていうよりは、2020年の1月4日にテレビ番組で紹介してもらったのが大きかったですね。その日からもう電話が鳴りやまなくて。お正月の朝の番組だったんですけど、みんな家で見てたんでしょうね。テレビの影響ってすごいなと実感しました。

 

大山:そこから一気に火が付いたんですね。

新井さん:はい。本当にありがたいことに、お店が小さいのですぐ満席になっちゃって、毎日お断りするのが心苦しいくらいでした。それで、この近くに2店舗目として『はなれ』を2021年にオープンしたんです。

 

焼肉だけじゃない! バーガー、かき氷… 新井屋の挑戦は止まらない

大山:新井屋さんって、焼肉のイメージが強いですけど、実は他の業態にもチャレンジされてるんですよね。

新井さん:そうなんです。やっぱり僕はゼロから何かをやるのが好きで。並木橋のほうでハンバーガー屋の『BLACK ROCKS BURGER』をやったり、新宿御苑でかき氷屋(かき氷専門店 いろどりぺんぎん)もやってます。バーガーは横浜の大会で決勝まで行ったり、かき氷は『王様のブランチ』で紹介してもらったり。

BLACK ROCKS BURGER

 

かき氷専門店 いろどりぺんぎん

 

大山:すごい! 焼肉屋さんが作るハンバーガー、めちゃくちゃ気になります。

新井さん:でも、やっぱり焼肉と勝手が違うから難しい部分も多いですよ。今まさに挑戦してる最中です。

 

次なる野望は『ホルモン居酒屋』と『50店舗展開』!

大山:今後の展開について、何か考えていることはありますか?

新井さん:今、新井屋のセカンドブランドとして、もうちょっとカジュアルな『ホルモン居酒屋』みたいな業態を作りたいなと思ってます。

 

大山:セカンドブランドですか! それは絶対売れます、ね(笑)!

新井さん:焼肉屋って、どうしても美味しいタンとかハラミが人気で、みんなそれを注文するじゃないですか。でも、和牛の頭数は限られてるから、いいタンとハラミの仕入れって本当に難しいんですよ。だから、そこに頼らないホルモンをメインにしたお店で、客単価も4,000円〜5,000円くらいで気軽に楽しんでもらえるようなお店を展開していきたいなって。

 

大山:出店したいエリアはありますか?

新井さん:渋谷を起点に探してますけど、最近は新橋もいいなと思ってます。サラリーマンの街で、明日の活力になるようなお店を作りたいですね。

 

大山:壮大ですね! 会社としての大きな目標もあるんですか?

新井さん:はい。一応、『50店舗・50億』を掲げてます。全国の主要都市、さらには世界にも挑戦したいですね。うちのバーガー屋の店長がハワイ好きで、「海外出すならハワイがいい」って言ってるんで、それも実現させてあげたいなと。

 

会社の成長を支える『人』と『仕組み』づくり

大山:50店舗となると、出店場所や資金だけじゃなく、人の問題、つまり組織づくりが重要になってきますよね。

新井さん:まさしくその通りです。だから、1年くらい前から店舗流通ネットさんに協力してもらって、評価制度をゼロから作ってるんです。会社のミッション、ビジョン、バリューから主力メンバーと一緒に考えて。

 

大山:『家業』から『企業』へ、というところですね!素晴らしいです。そこも店舗流通ネットさんがお手伝いをされたのですね。

新井さん:店舗が増えてくると、どうしても人の問題が出てくる。今の素晴らしいスタッフたちが、5年後、10年後も「この会社で働きたい」って思えるような会社にしないと。でも、そういうのって誰に相談していいかわからないじゃないですか。本当にいいタイミングでお声がけいただいて、ありがたかったです。

清水さん:私たちも、出来上がったものを提案するんじゃなくて、新井社長がどうしたいのかを一緒に考え、形にしていくというスタンスで伴走させてもらっています。

大山:物件探しから組織づくりまで、二人三脚で歩んでこられたんですね。セカンドブランドの展開、そして50店舗という大きな目標、本当に楽しみです! 今日はありがとうございました!

 

編集後記

店舗流通ネットさんとのコラボ企画で、まさか「あの新井屋の社長」に直接お話を伺えるとは……今回も個人的に“神回”となりました(笑)。実は『新井屋 はなれ』がオープンして間もない頃に伺ったことがあるのですが、そのときの率直な感想は「そりゃ、こりゃ流行るわけだ!」という納得感でした(笑)。新井屋といえば、SNSでも話題のピンと角が立った鮮度抜群のレバーやシズル感あふれるユッケが目を引きますが、それだけにとどまらず、どの肉・どの料理を食べても本当にハズレがない。味の輪郭がピシッと決まっていて、ストレートに旨いのです。今回取材を通じてその原点を伺い、「なるほど、この圧倒的な旨さは下町仕込みの技術とこだわりがあってこそなんだ」と深く腑に落ちました。終始穏やかで優しい語り口の新井社長。しかしその笑顔の奥には、まだまだ尽きない情熱と、次なる仕掛けへの野望が溢れているのを感じました。これからの新井屋がどんな景色を見せてくれるのか、今後の展開が心から楽しみです。(取材・文責:大山 正)

 

【取材協力】

【株式会社新井屋】

 

【店舗流通ネット – TRN Group】

 

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