大規模再開発で日々変貌途中の渋谷駅とその周辺。そんな再開発が一部で動きだしている桜丘町に「富士屋本店」が12月10日にオープンした。30種類近く揃えるバイザグラスとカラフェのワインを薪釜で焼き上げるピッツアとグリル料理で楽しむワイン酒場だ。カジュアルでいて本物であることにこだわる日常のハレ使いを楽しむ大人の酒場に仕上げている。桜丘町で明治16年に酒販店として創業したダイニング富士屋本店(東京都渋谷区)の4代目である代表取締役加藤賢一郎氏の熱い想いが込められた店なのだ。
大人のワイン酒場「富士屋本店」として新たな足跡を刻む
渋谷駅西口、国道246の南側に広がる桜丘町は昭和の面影も残す飲食スポットだ。その桜丘町で約15年前、加藤氏は25歳の時に専門性にも優れた立ち呑みの「ワインバー富士屋本店」をオープンさせた。続けて立ち呑みながらも本格グリル料理が楽しめた「ダイニングバー富士屋本店」を開店。そして10坪足らずの小箱ながら薪釜を設えた本格ピッツアの「PIZZERIA al forno(ピッツエリアアルフォルノ)」も出店した。どこも人気の繁盛店だったが今回の大規模開発に伴い2018年10月までに3店鋪全てが閉店を余儀なくされた。加藤氏は3店鋪が培った実績とスタッフ達の思いを一つの形にすることに最もこだわり、同じ桜丘町でさらにスケールもグレードもアップし大人のワイン酒場「富士屋本店」として再生した。店名は創業の酒販店時代から継承する屋号「富士屋本店」を存続させ、真摯な想いと共に新たな足跡を刻む。
オープンキッチンは酒場としての富士屋本店の基本となった
通りからも目を引く黒い鉄製の大きなピッツアの薪窯を設えたダイナミックなオープンキッチンを中心とした同店。立ち席に椅子席もあるキッチン前のロングカウンター。入口脇の立ちテーブル席と壁側のローテーブル席からもキッチンが見えるのだ。オープンキッチンはシェフ達の動きが五感を刺激し、酒場としての熱量を上げると考える加藤氏。その原点は三軒茶屋の伝説の立ち呑みワイン酒場「富士屋本店グリルバー」だ。元釣り堀の環境をそのままオープンキッチンとした店はエネルギッシュな一体感で酒場を盛り上げた。それ以来、オープンキッチンは酒場としての富士屋本店の基本となった。
ナポリスタイルをアレンジしたピッツアは看板の一つだ
生地から作り焼き上げるナポリスタイルをアレンジしたピッツアは看板の一つだ。トマトソースベースの「マルゲリータ」(1000円)やチーズベースの「フンギ」(1400円)など14、5種類が味わえる。富士屋本店の定番「レバームース」(1本300円)や「香草ボンバー」(700円)。「特撰黒毛和牛の朴葉焼き」(1400円)、「ステーキ&フリット」(1400円)などにパスタも揃えた料理のベースはフレンチとイタリアンだ。ワインはバイザグラス(400円〜)とカラフェ(1000円〜)が約30種類(泡赤白)とお手頃価格で多様なタイプを厳選する。ほかに「生レモンサワー」(450円)にバースタイルのカクテル(550円〜)、ハイボール(500円〜)と酒場ドリンクもきっちりとライナップする。
多くのファンが惜しんだ銘和酒場の再生が4代目の加藤氏の目標
2012年の渋谷ヒカリエ開業に始まり2027年をめどに近代都市化が推進される桜丘町を含む渋谷駅と周辺エリア。桜丘町に酒販店として創業した「富士屋本店」は渋谷の変遷と共に歴史を刻んできたといっても過言ではない。開発に伴い同じ桜丘町で度々の移転を余儀なくされてきたのだ。そして創業の酒販業も酒場街の衰退と共に稼働を終えた。この桜丘町の自社ビルの地下にあったのが47年前に開業した立ち呑み大衆酒場「立飲処 富士屋本店」だ。多くの老若男女に愛され続けてきた老舗大衆酒場も2018年に10月に閉店した。最終日には閉店を惜しむファンで行列もできたという。そんな銘店であった大衆酒場「富士屋本店」の再生が加藤氏の目標という。再開発構想がまだまだ続くなかで過去から未来までを老舗は強さとしなやかさを持って看板を繋げいくのだ。
店舗データ
店名 | 富士屋本店 |
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住所 | 東京都渋谷区桜丘町24-4東武富士商事ビル1F |
アクセス | 渋谷駅から徒歩3分 |
電話 | 03-3461-1195 |
営業時間 | 17:00〜23:00(LO22;00) |
定休日 | 日祝・第4土(不定休) |
坪数客数 | 33坪/68席(立ち席含む) |
客単価 | 4000円 |
運営会社 | 株式会社ダイニング富士屋本店 |
オープン日 | 2018年12月10日 |