古くは江戸に遡る歴史と新しい生活文化が混在する注目の新川に「ワインバー 杉浦印房」(店主:杉浦卯生氏)が3月17日オープンした。新川生まれの新川育ちの五代目、生粋の江戸っ子である杉浦卯生氏とソムリエでありパートナーの杉浦千里氏の二人の想いを形にした唯一無二のワインバー。小さな蔵や生産者に焦点を当てたフランス各地のワインと日本ワインというエッジを効かせたワインセレクトとビストロクラスの上質な料理が楽しめる大人仕様。コンセプトは日々の暮らしをちょっとだけ素敵な気分になれる場所だ。「杉浦印房」は家業であった印鑑業の屋号をそのまま引き継いでいる。
大手企業のオフィスビルも多く建ち並ぶ茅場町、日本橋、さらには大手町までも至近の距離にある新川は日本をリードするビジネス街の城下町でもある。また築地に隣接し日本屈指の至高の飲食店がひしめく銀座にも歩けるほどにある。その一方で表通りから一歩入ると長く地域に根付き継続する歴史と小学校や公園を構える穏やか日々の生活を残す。そんなアクセスの良さと新旧の空気がコンプレックスする新川は近年、都心型生活に向けたマンションも増え、新しい生活圏として注目されている。
新川で生まれ育った卯生氏は食への意識が高い両親の影響もあり小学生の時から決めていた料理の道へと迷わず進んだという。その後、料理人としてのスキルに加え、物販など飲食に関わる多くの経験を重ねるなかで、自身の夢であった商いとして飲食店の立ち上げを目標にした。方や千里氏も現東京マリオットホテル(当時のラフォーレ東京)料飲部で日本一の賞も得るほど優秀なサービスマンとなり幼少期の夢を実現させている。しかし意外にも当初はワインが苦手であった千里氏を今に導いたのはビストロのマネジャーとなりワイン生産者や農家との出会いからだ。その後、日本ワインを醸造する醸造家や醸造所をあらゆる面からサポートする職へと移り、上質な日本ワイン造りのために貢献してきたということも現在へと繋がっている。若くしてそれぞれの専門分野を極めてきた二人が遂に念願であった想いを形にしたのが「杉浦印房」である。
出店を決めた卯生氏は、かつてから知る安生浩氏(リヨンブルーアンテナショナル 東京都中央区 代表取締役)が運営する八丁堀の「Vin de Table Pont du Gardテーブルワインポンデュガール」を最後の修行の場に選んだ。そんな彼が造るのは基本ビストロ料理だ。なかでも石坂牧場(群馬県渋川市)の恵美さんが出産から出荷までを行う「Emeatエミート」ブランドの黒毛和牛の「カイノミのステーキ ポートワインソース」(2200円)はおすすめ。また栃木県ワタナベファームの美味しい玉子で造る「自家製マヨネーズと半熟玉子」(1個300円)や「黒トリュフのオムレツ」(800円)など生産者の顔が見える食材を大切にしている。それは単に口に美味しい、味がいいだけではなく、美味しいのにはちゃんと理由(わけ)があると二人は考えるからだ。ワインも国を広げずにあえてフランスと日本に限定する。フランスはメジャーのみならず広く認知されていない地域の小さくも優れた蔵、生産者に焦点をあてた奥行きを大切にする。さらにフランスワインでは体験できない日本ワインとの新しい出会いをセッティングする。ワインは常時200〜300本(フランス6:日本4)でその都度銘柄を変え、ボトル価格4000円〜20000円。ボリュームは5000円〜6000円前後)。グラスは基本、赤白各4種類700円〜)とシャンパン1種類を用意する。
自然の風合いを残す大小の石を貼りつけた昔のままの表壁面にガラスと赤錆仕上げの鉄を組ませたモダンでいて重厚感あるファサードはワインカーヴをイメージさせる。カウンター上部をロフトのワインセラーにした店内を温かく彩るアンティークな家具をはじめ、好きなモノ、コト、そして人の繋がりをなによりも大切に大事にする二人。すでに口コミで夜な夜な賑わいを見せる同店は憩いの場として体験も知識も豊富な本物を知る新川住民を魅了している。また、今は廃業した家業の印鑑造りへも改めて取り組むなど、新川カルチャーの拠点としても今後に期待である。
店舗データ
店名 | ワインバー 杉浦印房(すぎうらいんぼう) |
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住所 | 東京都中央区新川2-13-6明正ビル1F |
アクセス | 八丁堀駅、茅場町駅から徒歩6分 |
電話 | 03-6228-3363 |
営業時間 | 【月〜金】18:00〜翌2:00、【日】17:00〜23:00 |
定休日 | 土、祝 |
坪数客数 | 8.3坪13席(カウンター7席テーブル6席) |
客単価 | 5000円〜 |
オープン日 | 2018年3月17日 |