飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

新・編集長コラム

NEXTトレンドドリンク?ホッピーにフィーチャーした新顔酒場が話題

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


今年に入ってホッピーをウリにした酒場が2つ、相次いで登場した。

1月、月島にオープンした「酒房 蛮殻(しゅぼう ばんから)」。趣向を凝らしたホッピーがウリの立ち飲みだ。同店のホッピーは、ナカ(焼酎)、ソト(ホッピー)、グラスの3つをキンキンに冷やした、いわゆる「三冷」式で提供。さらに、「ホッピーはのどごしはいいのですがビールのようなキレが足りない」(オーナーの大野尚人氏)と、キレを補うためホッピーに生ビールの泡をのせて仕上げているのが特徴だ。加えて、「トマトホッピー」「珈琲ホッピー」といったアレンジホッピーも用意。1杯270mlの「レディースサイズ」で提供し、飲み比べする楽しさを訴求している。

そして4月、祐天寺にオープンした「祐天寺Bob」。「温故知新」をテーマに、オーナー高丸聖次氏が思う「居酒屋の原点」を詰め込んだ店だ。ドリンクのウリのひとつはホッピー。こちらも「三冷」式だが、同店ではグラスの中で対流を起こしながらホッピーを注ぐことで炭酸の刺激をまろやかにし、もこもことした泡が楽しめるこだわりの仕立てだ。

この2店の共通点は、レモンサワートレンドの立役者!

この2店舗を手掛けたオーナーの共通点は、奇しくもレモンサワートレンドを作った立役者ということだ。

「酒房 蛮殻」の大野氏は、2016年、門前仲町にオープンした「酒肆 一村」も運営。同店ではバークオリティの多彩なバリエーションのレモンサワーを展開し、一躍人気店となった。「祐天寺Bob」の高丸氏も、2014年に恵比寿にオープンした創業店「おじんじょ」で、自身の地元・広島のレモンを使い、様々なアレンジを加えたレモンサワーを打ち出した。

周知の通り今やトレンドとなったレモンサワー。もともとはそこまで目立つメニューでなかったが、彼らによってレモンサワーの価値が一気に向上し(トレンドを牽引した店は他にもあるが)、今のトレンドにつながっている。大野氏はフードスタジアムの取材でこう語っている。「僕は“弱者を引き上げる”のが好き。昔からあるけど、なんか光ってない。そんなメニューに着目し、どうにかして魅力的に仕上げて主役に引っ張りだす。そういう店づくりをしてきました」。この「弱者」とは、レモンサワーであり、ホッピーである。

トレンドを作ってきた彼らが次に目を付けたのがホッピーということで、多いに注目していきたい。

ちなみに上記2店よりも前からホッピーに着目していた新興酒場がある。下北沢に昨年6月オープンした立ち飲み「立てば天国」。商業施設「reload」内、駅からやや離れており、しかも建物の入り組んだ先の2階というちょっとわかりにくい場所だったが、先日何度か伺った際はかなり賑わっていた。

いわゆる「ネオ酒場」な店づくりだが、ここにもメニューのウリのひとつにホッピーがある。やはり「三冷」を謳い、定番の「白」と「黒」、プレミアムラインの「赤」に加え、同店オリジナルの「黄」も用意。「黄」とは、ホッピーに自家製ジンジャーシロップを加えたホッピーと、やはり「酒房 蛮殻」同様、スタンダードに加えてアレンジホッピーを用意している。

大野氏いわく「ホッピーはフレーバーを殺さず、多彩なアレンジが可能」とのこと。レモンサワーのように、バリエーションを出すことで一気にトレンドとして広がる可能性がありそうだ。ホッピーが次なるトレンドドリンクになれるか?注目したい。

新・編集長コラム一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.