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新・編集長コラム

広がりすぎた「エモ酒場」。次なる酒場トレンドは「ストリート酒場」と「温故知新酒場」だ!【前編】

以前のコラムで紹介した「エモ酒場」。「ネオ大衆酒場」の次なるムーブメントとして広がった「エモ酒場」のスタイルだが、オーナーの想いやストーリー抜きの、流行りに便乗しただけの酒場が散見されるようになってきた。表面をなぞっただけの店はそろそろ限界ではないだろうか。そんな今、新たに頭角を現している酒場をあえてカテゴライズするとすれば「ストリート酒場」と「温故知新酒場」だ。前編では「ストリート酒場」について解説したい。

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


※参考 ネオ酒場の次なるトレンドは「エモ酒場」。若者が熱狂する“エモい”酒場とは?

「ストリート酒場」とは?

「ストリート酒場」とは、「大衆酒場ビートル」「まり花」などのヒット酒場を手掛けるプロダクトオブタイム代表の千 倫義さんが提唱したもの。同社は2022年4月、東京駅構内にオープンした「ヌードルハウスランドリー」を「ストリート酒場」として打ち出した。

東京駅構内の商業ゾーン、グランスタ八重北の黒塀横丁にある「ヌードルハウスランドリー」

「ストリート酒場」とは、一言でいえばストリートカルチャーを落とし込んだ酒場だ。

1970年代、経済破綻が起きたアメリカの裏路地では困窮した子供たちが集まり、音楽、ダンス、グラフィティアート、スケボーなどお金をかけずにできることをと始めた遊びがストリートカルチャーと呼ばれているという。現代の日本でそうした要素を融合した酒場が増えている。

無骨な打ちっぱなしコンクリートに、古材を使った家具や植物を配置してあたたかみをプラスした空間。壁にはアートやスケートボードを飾り、BGMにはヒップホップを流す。ストリートファッションに身を包み、自由な髪型やタトゥーで個性を表現したスタッフがオペレーションをまわす。しかし、料理やドリンクはしっかりと日本の酒場文化を踏襲。大衆酒場の定番つまみにチューハイやビール、日本酒。みんなが好きな「大衆酒場」が堪能できる内容だ。

このギャップこそが「ストリート酒場」の最大の魅力と言える。ストリートカルチャーと大衆酒場、一見アンバランスに見えるが、そもそも日本の大衆酒場も、戦後焼け野原の跡に路上(ストリート)で始まった屋台や立ち飲み、横丁が原点。同じストリート発祥の文化として、親和性があるのかもしれない。

「ストリート酒場」の注目店は?

「ストリート酒場」の先駆けといえば、三宿の「かすがい」。店がそう謳っているわけではないがまさに上述の「ストリート酒場」の特徴に当てはまる部分は多い。2020年8月にオープンし、駅から徒歩15分ほどの立地にもかかわらず盛況のもよう。ここを参考に店づくりをしているオーナーは多いのではないだろうか。冒頭で紹介した「ヌードルハウスランドリー」もそうだ。系列の「大衆酒場ビートル」など「ネオ大衆酒場」からさらに進化。「まり花」や「The office」を経て、千さんの思い描くストリート酒場が完成した。

後編では「温故知新酒場」について説明する。近日公開予定!

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