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コラム

「リセット」の時代、待っていてもダメ!

アメリカ発の株価暴落が引き起こした世界経済の混乱は、「リセッション(景気後退)」を通り越して、いまや「リセット」(元のもくあみ)状態に突き進んでいるかのようだ。株成り金たちも、高値から「半値八掛け二割引」への急降下の恐怖を味わっている。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


これは深刻だ。これまでワーキングプアーや格差問題がマスコミのテーマになっていたが、これからは“持てる者”の厳しい現実が話題になってくるに違 いない。株や不動産の投資でリッチ気分を謳歌していた“成り金”“小金持ち”のあぶく(バブル)が消える。その先にあるのは「リセット」だ。株・不動産バ ブルの崩壊は、成り金の生活バブルも崩壊させる。また東京には空き地が増え、土地の凍結が始まる。家賃崩壊も起きるだろう。そして、すべてが元に戻るの だ。もっとも、金持ちにも二種類あり、時代を読めずに金融資産づくりに励んだ“成り金”と、時代の先を読み、すでに金やキャッシュなどに変えた本当の“資 産家”はむしろ、これからがチャンスだろう。 先日、ミュープランニング&オペレーターズの吉本隆彦社長をインタビューしたが、吉本さんがこんなことを言っていた。「私がサントリーから独立して 会社を2~3人で起こした16~17年前、日経平均株価は7,700円ぐらいでした。その時代に戻りまたね」。たしかに株価は90年初めのバブル崩壊時に 戻った。G7の公的資金投入の協調行動も効果がない。世界同時株価急落による実体経済への打撃は避けられない見通しになったからだ。そして先に殺られるの が個人消費、なかでも外食市場のダメージはすでに始まっている。先週のこの欄で「5割の店舗が消える」と書いたが、それも現実のものとなるかもしれない。 生き残るのは、人々のライフスタイルに組み込まれた店だろう。カジュアルで上質、使い勝手のいい店だ。吉本さんも「ユニクロやMUJIのような飲食 チェーンか、ニューエスニックにようなマイナーな業態、カラーがはっきりしている個店」に注目している。「リセット」の時代は、価値観の多様化を通り越し て、拡散化する。これまでの成功体験、伝統は頼りにならない。ピンポイントで価値を生み出す知恵が必要だ。予想もしなかった業態がブレイクする。そんな価 値観拡散の時代、待っていてもダメ。街に出て、常に変わる風を読む技を身につけなければならない。そして、日々の研鑽が大事である。イチローは「急に調子 が悪くなったとき、精神的なことを理由にする選手が多いが、私は技術が足りないだけだと思う。練習するしかない」と言っている。この言葉に、柔道金メダリ ストの石井慧がハッとしたという。プロはプロを知っている。

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