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コラム

“サードG”新リーダーはどこにいる?

自民党総裁選が始まった。若手を含む5人が立候補し話題を呼んでいるが、世代交代に活路を見い出す自民党の人気復活作戦"は効を奏しそう。大転換期にある外食業界の未来も、世代交代にかかっているのではないだろうか。 "

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


9月9日の“サードG”第一部パネルディスカッション企画「2008年、注目の新世代経営者ベスト5」が あちこちで反響を呼んでいる。常に戦国時代、群雄割拠の外食業界の若手リーダーは誰か?とくにいまは外食経営のスタンダードとされてきた旧来型チェーンビ ジネスモデルが時代の変化に対応できず“メルトダウン現象”を引き起こしている。歴史に例えれば幕末、太平洋戦争末期に近い。ファミレスも居酒屋チェーン も店舗拡大主義(徳川幕藩体制、帝国陸軍の大鑑巨砲主義)では勝ち残れない。敢えて言えば、ニーチェの「神は死んだ!」ではないが、「チェーンは死ん だ!」である。アメリカ型のビジネスモデルから、ヨーロッパ型のレストランビジネス(個店主義)への転換といえるかもしれない。ミシュランという“赤船” の襲来はその象徴だ。 そんななかで、次の時代、外食業界の未来をつくるのは、やはり新しいセンスとビジネスモデルを打ち出せる新世代経営者しかない。まだ幹も枝もない、 しかし確実に成長してくるであろう潜在能力を秘めた小さな芽。それを発掘し、育つ環境をつくるのが“サードG”のミッションだ。そして、「いまどこにその 芽があるのだろう? 誰がその可能性を秘めているのだろう」という問いから、“注目の新世代経営者ベスト5”を企画したのだ。選考にあたったパネリストは、「サードG」代表幹 事で株式会社ダイヤモンドダイニングの松村厚久社長、『飲食店経営』千葉哲幸編集長、株式会社ユニマットクリエイティブの金井伸作氏、“マネーの虎”として知られるHYシステム社長の安田久氏、そして私。 本題に入る前に、「外食、飲食業界にとっていまはどんな時代か?」をキーワードで語ってもらった。千葉編集長は「共生」、松村社長は「変化への対 応」、ユニマット金井副社長は「負けない」、HYシステム安田社長は「カリスマ」を上げた。千葉さんは「外食産業を活性化するには、共に学び共に成長する 仕組みが必要」として、居酒屋甲子園の活動を高く評価した。“100店舗100業態”を目指す松村さんは、時代のニーズ、マーケットの変化に機敏に対応す る重要性を説いた。理論家の金井さんはオペレーションやマネジメントの必要性を改めて強調し、「店を長く続けるためには勝つことよりも、いかに負けないか を考えるべき」と語った。そして、安田さんは「銀行も貸さない、ファンドもダメという時代、個人投資家から直接資金を調達できるぐらいのカリスマ性が経営 者には必要」と話した。私は「変革の時代」、世代交代の重要性と超個店主義による差別化について触れた。 “ベスト5”については、パネラー各人各様、松村さんと金井さんがアキナイの三宅茂幸社長をトップに上げ、千葉さんと私がAPカンパニーの 米山久社長をトップにしたことから、三宅VS米山の接戦となったが、金井さんが米山氏さんを5位に上げたために米山さんの優勝となった。米山さんは、早く から宮崎の地頭鶏(じとっこ)に目を付け、生産者や地元日南市との連携を強化、自社養鶏場をもつなどの戦略が功を奏して急成長中。また、三宅さんは「もつ 福」をはじめとする業態開発力で丸ビルなどの大型商業施設への出店を成功させている。 甲乙つけがたいが、誰が勝つかではなく、いまどんな若い経営者がどんなやり方で伸びているのか、それを浮き彫りにできたことに意味があったのではな いか。そして、選考にあたったパネリスト各氏も実は参加者から「時代やマーケットをどう読み、経営者をどう評価しているか」という視点や考え方について、 “選考”されていたはずだ。さまざまな人がさまざまな見方や価値観をもっている。そのなかで、「これが絶対!」というモノサシはない。ランキングはある意 味、勝手な決め付けに陥りがち。多様な価値観が前提になければ、ミスリードでしかない。今回の“サードG”でそのことを実感した。

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