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ベアードビール出身の鳴岡哲哉氏が拓く“酒場新世紀”。「タヰヨウ酒場」が5月17日、西小山にオープン

西小山駅から徒歩3分ほどの住宅街。赤提灯に“クラフトビール”という鳴岡氏の遊び心。店舗デザインは「とにかくオシャレ感を出さないで」と注文したとか
日祝日は、昼12時から営業。早くも近隣住民の憩いの場になっているようだ。クラフトビールを求めてやってくる女性客も多いという
クラフトビールと合わせるやきとんは、1本120円〜。「つくね」(150円)との相性も抜群だ
「店主想い出の焼きそば」(580円)は、ちりめんじゃこと鯖節がどっさりのった故郷・愛媛名物「かめそば」の味を再現
タヰヨウ酒場 代表 鳴岡哲哉氏(右)とスタッフの鵜藤氏(左)

(取材=望月 みかこ)


赤提灯、のれんをくぐって、ガラリ戸を引くと、コの字カウンターに、酒と肴の人だかりー。一日の疲れを癒してくれる“大衆酒場”には、数十年もの間人々に愛され続けている名店が、今でも数多く存在する。そんな日本の伝統ともいえる大衆酒場が、近年あらためて脚光を浴びている。“伝統”や“定番”を今のニーズに合わせた上で、自分なりのカスタマイズを加え、オリジナリティを追求する。最近の飲食シーンに現れはじめた流れだ。5月17日、西小山にオープンした「タヰヨウ酒場」(代表 鳴岡哲哉氏)は、そんな流れの中で生まれた革新的な“酒場”だ。煮込みやポテトサラダ、串焼きなどの定番メニューに、クラフトビールやヴァンナチュールワインを合わせる。クラフトビールを醸造・販売するベアードビール出身の鳴岡氏ならではの発想と人脈が結晶となった意欲店だ。

飲食の道を一途に歩んできた代表の鳴岡氏。クラフトビールとの出合いは、酒のレシピを覚えようと飛び込んだバーのアルバイトがきっかけだったという。もともとビールが好きだったこともあり、クラフトビールの世界にすぐにのめり込んでいった。18年間、都内の焼鳥店で腕を磨いた後、2008年、ベアードブルーイング(静岡県沼津市、代表取締役 ベアード・ブライアン氏)に入社。クラフトビールの醸造、販売のほか、都内を中心に飲食店を展開する企業だ。そこで「原宿タップルーム」で店長を経験し、その後タップルーム統括マネージャーとして全店を取り仕切ってきた。そして今年5月、念願の独立。武蔵小山エリアを選んだ理由を「住宅街で、駅近という条件で探していました。ここは下町っぽいけど、クラフトビールに対して認知があるお客さんがけっこう多いんです。業界人と一般のお客さんが混在しているのも面白いですよ」と話す。

なぜ今、“大衆酒場”なのか。「外国にあるおしゃれでかっこいいパブは、なんだか落ち着かないんですよね。昔から日本にある大衆酒場は、誰でも気取らずに楽しめるいわば“日本のパブ”。おいしくて、安くて、いいものを、プライドをもって手作りする。そんな素晴らしい文化を受け継いで、今のニーズに合わせた店をやりたかったんです」と鳴岡氏。入り口には赤提灯とのれんが下がり、厨房を囲むカウンターに、短冊にかかれた手書きのメニュー、背中がまるまる少し低い椅子とテーブル。一見、昭和レトロな酒場を思わせるアイテムが揃うが、ここはまさに“ネオ大衆酒場”。完全禁煙にし、子連れのファミリーも気軽に立ち寄れるように。カウンター席にはコンセントが埋め込まれ、電源完備。Wi-Fiまで飛んでいる。

同店で最も注目すべきは、大衆酒場から進化を遂げたメニュー構成だろう。「入り口は大衆っぽくカジュアルで、短パンにサンダルでも気軽に立ち寄ってもらう。だけど、一歩入ったらこだわったものを出したいんです」と語る同氏。クラフトビールは国産を中心に7タップ、1パイント1000円、ハーフパイント600円で提供する。もう1タップは、アサヒスーパードライ(500円)をつないでいる。「いつも通りのアサヒを飲んでいる隣りで、クラフトビールを楽しむ風景が面白いと思って、幅広くメニューを用意しています」という。クラフトビールは、自身の経験と知識をいかして「温度が上がっても最後までおいしく飲めるビール」をセレクト。ワインは、日本ワインをはじめとしたヴァンナチュールの赤、白、ロゼ(800円〜)を取り揃える。

それらに合わせる食事は、やきとんをメインに、大衆酒場の定番メニュー「マカロニサラダ」(280円)、「もつ煮込み」(380円)、「ハムカツ」(430円)なども用意する。「店主の想い出の焼きそば」(580円)は、故郷・愛媛に伝わる名物焼きそば「かめそば」へのオマージュだ。やきとんは、毎朝芝浦から直送される新鮮なもののみを使う。「れば」「はつ」「かしら」(すべて120円)などのホルモンや、「しいたけ」「ししとう」「ねぎ」(すべて200円)といった野菜など全12種類。

店名の「タヰヨウ酒場」は、愛媛で両親が営む印刷会社「太陽印刷」から命名。ロゴデザインは、クラフトビールを通じて知り合ったビール専門誌「TRANSPORTER」発行人の田嶋伸浩氏がてがけた。酒も食材も「ビールを通じてつながった方々にお世話になってます」という。「単価は2500円以下になるようにおさえています。周りに住んでいる人たちがうちに来て『良かった』と思ってくれて、週2回、3回と通ってくれるようになる。これが一番大事ですね」。今後は、北千住など下町情緒が残る他のエリアへの出店を考えているという。“酒場新世紀”を背負って、今日も「タヰヨウ酒場」ののれんをかける。

店舗データ

店名 タヰヨウ酒場
住所 東京都品川区小山5-23-16

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アクセス 東急目黒線 西小山駅から徒歩3分
電話 03-6886-4533
営業時間 火〜土 16:00〜23:30
日・祝 12:00〜21:00
定休日 月曜日
坪数客数 12坪・27席
客単価 2500円
運営会社 タヰヨウ酒場
関連リンク タヰヨウ酒場(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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