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コラム

クラフトビール戦線“異状あり”!

ビールの美味しい夏本番真っ盛り。ビール大手4社も様々なキャンペーンイベントを打ったり、特徴のある季節限定のビアガーデンをオープンするなど、消費者へのビール消費を促している。そんななかで、ここ数年着実に市場を拡大しているクラフトビール業界に新たな動きが出てきた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


クラフトビール業界では最大手、「よなよなエール」で知られる星野リゾートグループのヤッホーブルーイング(長野県佐久市、井出直行社長)が動き出した。同社は、2013年10月に赤坂見附駅前に60坪120席のクラフトビアレストラン「よなよなBEER KITCHEN」をオープンする。それに先立ち、7月25日~9月8日まで六本木アークヒルズのカラヤン広場で“アークヒルズビアガーデン”が開業する。「よなよなエール」をはじめとする、7種類もの個性豊かなドラフトビール、ローストチキンやオリジナルソーセージ等フードメニューを提供する。昨日はメディアにその施設がお披露目されたが、アーケード型の大型天井があって雨天でも営業できる。スケール感のある日本初のクラフトビアガーデンの登場だ。「よなよなBEER KITCHEN」はヤッホーブルーイングとワンダーテーブル(秋元巳智雄社長)がコラボ、森ビルが施設面で支援するという華麗なステージでスタートする。ブランドプロデュースは、中村悌氏率いるカゲン。店舗デザインは「リゴレット」などを手がける戸井田晃英氏。今回のビアガーデンは、10月の新店正式オープンに向けてのデモンストレーション的な意味がある。マイナーイメージの抜けない(だからこそソーシャルネットワーキング的な強さもある)クラフトビール業界ではメジャー感のある画期的なプロジェクトといえるだろう。ヤッホー側は当初、自社運営を考えていたが、「餅は餅屋に任せよう」と同社の井手直行社長がワンダーテーブルの秋元巳智雄社長に依頼した。こうしたブルワリー直営店や自店で自家醸造するブルーパブは都内でも増えている。直営店では、ティー・ワイ・エクスプレスの「ティー・ワイ・ハーバー ブルワリー」、ベアード・ビール(沼津)の「タップルーム」各店舗、スワンレイクビール(新潟)の「パブ・エド」、アウグスビールの「アウグスビアクラブ」(最近、広尾に2号店オープン)など。また、「ベイ ブルーイング ヨコハマ」「高円寺麦酒工房」「パンゲア」「デビルクラフト」などの個性的なブルーパブも急増している。ブルワリー直営店やブルーパブは、まさにオリジナルクラフトビール。その店でしか飲めない希少価値が売りものだ。しかし、「よなよなBEER KITCHEN」の「よなよなエール」「水曜日のネコ」などはスーパーやコンビニなどでもかなり売れているブランド。その直営店となると、もはや“クラフトメジャー”と言っていいかもしれない。一方、小規模ブルワリーの直営店やブルーパブは“クラフトギルド”と言える。まさに、ここが潮の変わり目であり、ギルド系中心だったクラフトビール業界に日本初の“クラフトメジャー”のビアレストランが登場するわけであり、大手ビール4社に寡占されてきたビール市場に風穴を開ける“台風の目”になるかもしれない。大手メーカーにも、クラフトビールを意識した動きがある。サッポロビールは昨年から「百人ビール・ラボ」というSNSを使ったユーザー参加型のビール開発プロジェクトを始動。今年の第2弾のキャンペーン「ビール開発総選挙」はFacebookから参加できる。7月19日からスタートしている「ビールタイプ選抜選挙」では、ビールに関するアンケートに回答した後、8種類の発酵タイプから1つ選んで票を入れることができる。現在候補に挙がっているビールタイプはエール、黄金エール、IPA、ヴァイツェン、スパイシービア、シュバルツ、アンバー、チェコピルスナーの全8種。まさに、オリジナルのクラフトビールをつくろうというキャンペーンだ。今後、大手ビールメーカがクラフトビール戦線に参入してくる動きは加速するに違いない

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