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編集長コラム

2016年下半期の飲食トレンドを予測する!

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。

2016年も下半期に突入する。このタイミングで、一度コラムを復活させる。テーマはずばり、「飲食トレンドの下半期を予測する!」。飲食マーケットトレンドのベースになるのは、やはり「イートグッド」という考え方だ。そして、あらたな胎動ともいうべき「ネオスタンダード」というキーワードを打ち出してみたい。


「イートグッド」という考え方はいまさら説明するまでもあるまい。朝獲れの野菜や魚をその日に調理して提供する「麹町カフェ」のエピエリ(松浦清一郎社長)が提唱した言葉で、私がそれを飲食業界に広め、啓蒙している。「できるだけ自然の食材をできるだけ手作りで」「身体にいいものを提供する」「食を通じていいことをやる」などと拡大解釈しているが、松浦さんは「イートグッド的な考え方がひろまり、飲食店のあり方や消費者の意識が変わればありがたい。生産者と一緒になって食のあるべき姿を追求することが大事だと思います。コツコツとした歩みですが、持続することによって大きな動きになればいい」と語る。その松浦さんと奥さんの亜季さんの一日が東京メトロ構内で毎月10万部配布されるフリーペーパー「メトロミニッツ」で特集された(6月号、5月20日発行)。特集のタイトルはズバリ「EAT GOOD」。サブタイトルは「365日、ふだんの食事が大切になる」。まさに、オーガニックやファームツーテーブル、サスティナブルなライフスタイルが当たり前になること、それがイートグッドだ。

昨年10月のポートランド、シアトル、サンフランシスコに続き、今年4月、私は飲食店オーナーたちを引き連れてニューヨーク視察をした。ニューヨークでもやはり、「イートグッド」は当たり前だった。ニューヨークを代表するイートグッドなレストランはマンハッタンから車で小一時間ほどの郊外にある農場直結型の「ブルーヒル・ストーンバーンズ」。2000年に創業、ミシュランの三ツ星を獲得し、オバマ大統領はじめ、各界のセレブがお忍びで訪れるという“farm to table”の先駆けだ。ここの共同経営者でシェフのダン・バーバーがサンフランシスコのイートグッド発信者「シェ・パニーズ」出身者。「ブルーヒル」マンハッタン店のあるウエストビレッジには、新宿「NEW0MAN」に上陸した「ローズマリーズ」の本店もある。2階はルーフトップの農園となっていた。西海岸ではサンフランシスコからイートグッドスタイルがポートランドに飛び火し、多様で自由なかたちで定着していったように、東海岸のニューヨークでも「ブルーヒル」「ローズマリーズ」などのややセレブな“farm to table”スタイルが根付き、それがブルックリンの伝搬して、ポートランドカルチャーの影響も受けつつ、ピップスターたちが独特な“ブルックリンスタイル”を築きあげた。こうした北米イートグッドカルチャーは必ずや東京はじめ日本全国に伝搬していくに違いないと私は見ている。北米に学ぶべきことは、いまや熟成肉でもハンバーガーチェーンでもなく、イートグッドカルチャーだと思う。

もう一つのキーワード「ネオスタンダード」。昔から長く続いてきた業態を新しい価値観で再現するということ。そば、うどん、焼鳥、大衆酒場、フレンチ、イタリアンなど、なんでもいい。オーセンティックな本質部分を引き継ぎ、その地域、街の新しい資産として長く根付くような業態にリモデルする。ある飲食店オーナーはこう語る。「30年、50年続く老舗であるために、いまどんな業態をつくるのか、“逆算”して考えるのです」。この“老舗の逆算”こそが「ネオスタンダード」の発想法だ。大きな尖った山はいらない。しかし、小さな尖った山が山脈のように連なる。そんなイメージの業態。一回登ればいいという険しい山ではなく、何度も何度も登りたくなるようななだらかな山脈だ。私がずっと業態トレンドで打ち出してきた「ネオ大衆酒場」などはその典型だ。「ネオ割烹」や「ネオ炉端」などもそうだろう。天ぷらをスタンディングでワインとともに楽しむ「喜久や」もネオスタンダードだ。店名がいかにも老舗らしいではないか。ネオスタンダードに欠かせない要素は“職人”と“定番料理”。長く受け継いでいけるキラーコンテンツ、発祥のドラマを語れるストーリーも必要だ。

マーケットトレンドは、「イートグッド」「ネオスタンダード」を軸に新しいステージに入るとみられるが、業態トレンドとしては、以下の5つのキーワードに注目したい。
1.ネオ酒場。これまでの大衆酒場だけではなく、ネオ専門酒場。たとえば、ジビエ、魚貝ビストロ、肉酒場などの新しいスタイルが出てくるだろう。
2.クラフトコンテンツ。クラフトビールだけではなく、クラフトサケ(希少な純米酒)、クラフトワイン、クラフトウィスキー、クラフト焼酎、クラフトサワーなど。また自家製醸造、自家製蒸留、職人の手による創作料理といったその店にしかないクラフト感を提供できること。新しい体験の提供がポイント。
3.ネオガストロノミーバル。バルはさらに進化しなければ生き残れない。ネオガストロノミーは上半期にかなり店が増えた。しかし、1万円前後という価格では大きなマーケットにはならない。そこで、ネオガストロノミーがバルスタイルに進化する。またバルがネオガスノミ―の手法を取り入れて進化する。こうした「ネオガストロノミーバル」が登場してきた。これはある程度大きな波になるだろう。“脱俺の系”である。単価は5000円前後。たとえば、大阪梅田で話題のお初天神裏参道で人気のフレンチバル「Le comptoir(ルコントワ)」を運営するThe DINIG(ザダイニング)の東京初出店の新業態「bar a vin PARTGER(バールアヴァンパルタージェ)」。梅田同様に、正統派フレンチをカジュアルダウン、料理をタパスサイズにし、グラスワインも少量の50cc、300円から。
4.ネオB級コンテンツ。餃子、焼きそばなどB級グルメといわれるコンテンツをリモデル化した業態。餃子バー、餃子バル、シャンパン×餃子といった業態が増えている。焼きそばも新しいスタイルが登場。たとえば白金にオープンした「無添加焼きそば BARチェローナ」。ミート矢澤の新業態で、シロガネ―ゼたちの間で話題。無添加=イートグッドアイテムを打ち出しのも新しい。武蔵小山の“無化調餃子”「ふく肉」もいつも満席。
5.ペアリンクスタイル(ワイン、日本酒、和酒バリエーションなど)。クオリティの高いフードメニューを提供することが前提となるが、ペアリングを提供できるビバレッジセンスと品揃えスキルを持った新世代系の業態が増加しそうだ。

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