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インタビュー

ジョーズシャンハイ ジャパン株式会社代表取締役/CEO 梅野貴典氏


――アメリカと日本で活躍されている作曲家であり、音楽プロデューサーである梅野社長が、そもそも飲食店経営に乗り出したのには、どんな経緯があるのでしょうか?

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もともと、飲食店経営をいつかやろうと計画を立てていたわけではないんです。10年前、NYから日本を拠点として音楽活動をすることになり、帰国をしたわけですが、ひさびさに戻ってきて、まず何よりも失望したことが、日本の外食事情のレベルの低さでした。NYは、アメリカ国内にあってアメリカではない、世界をリードするコスモポリタンな都市。レストランについても、サービス、味、内装、デザインの点で、世界一だと思います。もっともアメリカでは15 %のチップ制があるので、各テーブルを担当するウェイターやウェイトレスは、ゲストを気分よくさせて楽しませようと、必死にサービスをするわけです。彼らにとってはチップこそが、その日の貴重な収入源になるわけですから…。NYで外食するときには、いつも店のスタッフとのチャーミングな会話があり、ゲストひとりひとりのリクエストに真剣に応えようとする真摯な姿勢が感じられ、良い気分で店を出ることができます。それが日本の場合、チップ制がないとはいえ、高級店からカジュアルな居酒屋まで、スタッフのサービスは見事にマニュアル化されて、個性がまったく感じられない。もちろん、中にはごく少数、満足の行くよいサービスが受けられる店もありますが……。日本の飲食店経営者の方々は、本当の意味でお客様目線になって“よい店”をプロデュースする考えがあるのかな、と僭越ながら疑問に思ってしまうことが多々ありました。それなら自分が納得のいく、心から行きたい!と思える店を日本に作ってしまおう、と思い立ったわけです。そして、一番に考えたのは、私がNYで大好きな「ジョーズシャンハイ」を日本に持ってきてしまうことだったのです。

――梅野社長は、それまで飲食店経営のノウハウをお持ちではなかったのに、いきなり大箱のレストラン経営に踏み切られ、最初は資金調達など、いろいろご苦労があったのでは?

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開店資金については、100%自己資金です。長年ヒット曲をせっせと書いて稼いだお金をつぎ込んでいますから(笑)。アメリカでは、さまざまな有名アーティストのプロデュースや、CMの作曲を数多く手掛けてきました。コカコーラ、GM、ディズニーなどなど、大手企業のCMはほとんど手掛けたといってもいいくらいやりました。それで、気づいたのは、ヒットを生み出す方程式は、音楽も飲食店も同じということなんです。音楽の世界では、まずブランド力あり、誰もがすぐに受け入れられるメロディのヒット曲があり、そして、1~2時間のアルバムやステージでリスナーを絶対に飽きさせないこと、これらの条件が揃ったマーケットしやすいアーティストやアルバムは絶対に売れます。飲食店もこれと同じで、まずブランド力があり、誰もが手の届く価格で、誰もがおいしい!と感じる看板メニューがあること。そして来店いただいたお客様には2~3時間の間、心のこもったサービスと料理、内装によるレストランというエンターテイメントを存分に楽しんでいただく。これらの要素がすべて揃った店なら、絶対に成功するはずなんです。これら要素の一つでも欠けていてはダメなので、私は、「ジョーズシャンハイ」については、人件費、食材、内装、どこも手を抜かずにかなりのお金をかけました。

-日本において、チャイニーズレストランという業態は成功しやすいと言えますか?

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さまざまな料理の中でも、中華料理が子供からお年寄りまで、すべての層に一番愛されるカテゴリーだと思っています。例えば、おじいちゃん、おばあちゃん、子供を含めた家族が記念日のお祝いをするときには、ちょっと豪華で雰囲気のよい中華料理レストランを利用する、というケースが日本では多いですよね。当店は、ファミリー層のほか、あらゆる層の方々に利用していただきたいため、池袋店も銀座店も内装には大変こだわり、NYのミッドタウンのレストランを思わせるエッジーでラグジュアリーなデザインとして、個室も設けて、ビジネスでの接待、カップルのデート、婚約記念などなど、さまざまなシーンに対応できる店作りにしています。メニューの方は、NYと同じ味が堪能できる「Joe’s 特製 蟹肉と蟹ミソ入り小籠包味」などの点心メニュー以外は、極上のフカヒレ料理を始めとした、日本人が馴染みやすい本格的モダンチャイニーズを提供しています。点心以外のグランドメニューは、「筑紫樓」、「キハチ・チャイナ」で研鑽を積まれた湯浅博司シェフが料理長を務めています。客単価は、ランチで1200円~、ディナーで5000円前後と、誰もが手の届く値段設定にしていますから、来店いただくお客様の年齢層は幅広く、記念日での利用が多いのも特徴ですね。

 -ちなみに、池袋店、銀座店の月商ついては?

「ジョーズシャンハイ」池袋店は月に2800万円位、昨年11月にオープンした銀座店は、客席数が池袋店の約2倍ありますから、4000万円以上は見込んでいます。

-最後に、今後の展開についてはどのように考えていらっしゃいますか?

向こう5年間で、都内で直営10店舗、全国でフランチャイズ15店舗の展開を予定しています。業態については、「Joe’s 特製 蟹肉と蟹ミソ入り小籠包味」を始めとした麺飯が中心の「船橋ららぽーと店」のようなカジュアル業態を予定しています。後は、日本での足場がしっかり固まったら、いずれはNYでも挑戦してみたい、という気持もちらっとありますね。ただ、NYに出店する場合は、日本食レストランになるでしょうね。

 

 

 

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梅野貴典氏 プロフィール

東京都渋谷区出身。ジョーズシャンハイ ジャパン 株式会社 代表取締役CEO/Flava Entertainment

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