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二等立地もやり方次第で“一等立地”! 立地のハンディを熱意と工夫で克服し、新規客&常連客を感動させる仕掛けでオンリーワンの繁盛を築く「JHONNY’s まかない屋」が蕨に2011年11月1日オープン

大衆性を打ち出しながらも、それでいてどこか現代的なお洒落を感じさせるファサード
一人客にも、何度も足を運ぶ常連客にも分け隔てなく行なうウェルカムシート。「もう何枚もたまった」と喜んで持ち帰る常連客も多い
店頭で焼そばを焼き、その“におい”と“音”と“ビジュアル”の演出で店の存在を通行人にアピールする
提供時に大型ペッパーミルでスパイスをふりかける演出が好評。そのインパクトから、「うわっ、大きい!」と客席に会話が生まれる
代表取締役の金得靖氏(中央)、店長の渡邉竜氏(右)、スタッフの田中浩一氏(左)で店を盛り立てる

「次々と店が入れ替わり、何をやってもうまくいかない」。そう評される悪立地は、どの街にもあるもの。そうした立地で失敗する店は、結局何が悪いのだろうか? いや、それが分からないからこそ出す店、出す店が負の連鎖のごとく閉店し、「また今回も閉店した」とありがたくない評判を手にするのである。埼玉・蕨に2011年11月1日オープンした「JHONNY’s まかない屋」も、そんな悪立地に出店した店の一つ。だが、同店は9.5坪の小規模店ながら月商350万円の繁盛を築き上げており、損益分岐点も180万円のため非常にこまわりのきく効率のよい経営体質を作り上げている。同店を経営するのはTWO PEACE(埼玉県川口市、代表取締役:金得靖氏)で、同社が手がけた3店舗目の店である。同社は2005年、隣駅の西川口駅近くに、1店舗目の「呑み屋さん みのる 西川口」をオープン。客単価3000円、規模は37坪・45席、月商450万円で、損益分岐点は280万円と堅実な売上げを確保。続いて2008年に「まかない屋」と同じ蕨駅の反対側に「ROBATAYA 飛雄馬」を出店。こちらは客単価3800円、規模は20坪・46席。月商420万円で、損益分岐点は280万円。どちらの店も都心と比べて客層の厚みに乏しいローカル立地ならでのは商売を熟知した無理のない安定経営を実現し、近場にてドミナント展開を進めている。 そんな同社が今回、商売的に難しい二等立地に出店した理由は、「最初は怖いとも思ったが、客席を確保できることと家賃の手頃さから、そんなに売れなくても何とかやりくりできる」と判断したためである。「まかない屋」のある立地は、駅から徒歩5分ほどの場所で、メイン通りから外れるが店頭の交通量は多く、認知性も高い。事実、赤信号で止まった車からは必ず同店を「何だ、何だ!」と覗き込む。さらに商店街の入口部分にあり、通行人の目にも止まりやすい。つまり、フリ客はそれほど多くないものの、確実に人目に触れる立地である。そこで同店は“記憶に残る商売”に徹し、店の存在を不特定多数の人たちに印象づけ、さらに一度来店した客にも店の存在を強く植えつける商売に取り組んでいる。ファサードは上部に赤ちょうちんを横一列に並べて印象を強め、さらに外から丸見えの開放感あふれる造りを採用。いわゆる昔の大衆酒場的な気取りのない店づくりである。夕方の帰宅時間になると、キャンプ用のバーベキュープレートを持ち出し店頭で焼そばを作って販売。これは単に夕食のテイクアウト需要を狙うだけでなく、「何かやっている」と店の存在を通行人の記憶に刷り込む効果を狙ってのもの。さらに、焼そばの香ばしい香りが風で運ばれ、においの面からも店の存在をアピール。まさに焼鳥店やうなぎ屋などが行なう、昔ながらの店頭販促の現代版とも言えよう。また、店頭には「自家菜園で採れた野菜達」と書いた札を立て、みずみずしい野菜をずらりと並べて素材感を訴求している。 一方、来店した客に対して何よりの威力となるのが看板メニューの存在だ。同社代表の金得靖氏は、「この立地では、料理の魅力できちんと集客できてないと厳しいものがある」と判断し、3本柱の看板メニューを確立。それが「煮込み」(350円)、「MFC」(1本380円)、「シューマイ」(1ケ180円)だ。「煮込み」は牛スジ、豚バラ、バラ先軟骨などを用いた肉豆腐風に仕上げた一品。「MFC」は“まかない屋のフライドチキン”の略で、まずネーミングで客の関心を惹き、次に提供時に「仕上げにこれをかけさせていただいています」と一言添え、大型ペッパーミルでスパイスをふりかける演出を導入。「何か面白いことをやっている店」として存在を強く印象づけている。そして「シューマイ」は大手中国料理店で修業を積んだ金得氏がその経歴を生かしたもので、大きさをゴルフボールくらいにして客の記憶に強く訴えかける。大衆酒場定番でクイック提供が可能な「煮込み」。演出効果抜群の「MFC」。そして、蒸し器にかけっぱなしですみ、立ち上る湯気のシズル感で食欲を誘う「シューマイ」と、バランスの取れた商品力で魅力を高めている。 さらに同店が何より凄いのは、客の店への“帰属意識”の高め方だ。客がその店に通いたいと思うのは、料理のおいしさや居心地の良さに加え、自分の居場所がある、自分が求められているという“帰属意識”があってのもの。例えば、いまでは多くの店で取り入れている“ウェルカムシート”。一般には「本日はご利用いただきありがとうございました」と感謝の言葉を記し、予約客などに対して行なうケースが多い。だが、同店では常連の一人客に対しても毎回行なう徹底ぶり。その予約も、「いまから行きたいんだけど空いてる?」といった問い合わせのものから、「明日も来るね!」といった口約束のものまでもれなく実施。そうした店の心遣いに客は思わず感動させられてしまう。また、店内には「お花を持って来店してくれた方に、ドリンク1杯でお礼いたします」と告知をし、花を持ってきてくれた客にドリンクを1杯サービスする販促も導入。きちんと鉢に植えられた花を持参する人が多く、そうした花は店内のいたるところに飾られている。それを見た客が「わーっ、きれい!」と反応すると、すかさずスタッフが「あちらのお客さんが持って来られたんですよ」と紹介し、客同士をつなぎ合わせる。さらにケータイで写真を撮って盛り上がっている客には、「うちでも撮らせて店内に貼らせてください」と言ってポラロイドカメラで撮影し、店内に貼り出す。こうして客の“居場所”をいくつも作ることで、何度でも足を運びたくなる魅力を作り上げている。 開放的な店舗ゆえ、客の楽しげな様子が通行人にダイレクトに伝わり、「一度、行ってみたい」という気持ちを巧みに促す。決して大きなインパクトがあるわけではない。だが、いくつも巧みに積み上げた小技のきいた魅力づくりが客の心を揺さぶり、悪立地をものともせぬ圧倒的な集客力を発揮。二等立地を“一等立地”に変える熱意と工夫で、オンリーワンの繁盛を築き上げている。「二等立地には二等立地ならではの商売の仕方がある」。同店の成功はそのことを、確かに教えてくれている。

(取材=印束 義則)

店舗データ

店名 JHONNY’s まかない屋
住所 埼玉県川口市芝5-6-14
アクセス JR蕨駅より徒歩5分
電話 048-262-0266
営業時間 13:00〜翌1:00(L.O.24:00)
定休日 不定休
坪数客数 9.5坪・30席(+テラス席8席)
客単価 2800円
運営会社 株式会社TWO PEACE
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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