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ECで飲食店を救え!飲食店応援WEBストア「MIRAI便」をリリース。発起人、「銀座 ごち惣家」店主・布施知浩氏インタビュー

新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛で打撃を受けた飲食店が、売上を確保しようとEC(インターネットを使った通信販売)に乗り出す流れが始まっている。しかし、ECで料理や食材を売るには衛生面など多くの規制をクリアすることが必要だ。加えて、既存のECプラットフォームは手数料がネックで利益を出すのが難しいなど、様々な問題がある。そんな中、飲食店のEC販売を支援すべく立ち上がったのが、「銀座 ごち惣家」の店主・布施知浩氏。大企業でEC事業の立ち上げ経験もあるBOLSTER代表取締役の松田忠浩氏とともに、営利目的ではなく業界への貢献を目的に大手企業とも協業しながらECの周辺環境を整備に奔走中。現在は、Yahoo!ショッピング内に飲食店専用のECプラットフォーム、飲食店応援WEBストア「MIRAI便」をリリースし、参加飲食店を募集しているところだ。


布施知浩氏
株式会社登龍 代表取締役。2012年1月から「銀座 ごち惣家」を運営。

コロナに負けるな!飲食店救済施策ECプロジェクトチーム(承認制Facebookグループ、ECを検討中の飲食店のみ加入可)にて、日々情報を更新中

※この取材は4月17日、Zoomにて行いました

利益ではなく“業界の救済”を目的にプロジェクト発足

―テイクアウトやデリバリーなど各飲食店が対策を打ち出していますが、その中でも布施さんがEC支援に取り組むことになった背景を教えてください。

私が経営する「銀座 ごち惣家」でも、新型コロナウイルス感染症の影響で2月から少しずつお客様が減少していきました。3月末までは何とか持ちこたえていたのですが、4月に入って一気に状況が変わり、客足がぱったり途絶えてしまった。今後も確実にこの状況は続くだろうと予測がついた。当社のように店舗でしか売上のないところは、店舗以外での売上を作らなくてはと思いました。

周知の通り、いま多くの店がテイクアウトやデリバリーに取り組んでいます。ですが、それらだけで店舗売上をカバーできるかというと難しい。そこで、ECで売上を増やすことはできないだろうか?と調べてみました。ですが、ECプラットフォームを利用する際には手数料がかかり大きな利益は望めないうえ、さらに衛生面の許可申請や消費期限の表示義務などがあり、参入障壁は思った以上に高いということがわかりました。

前職時代からの常連である松田忠浩さんにこのことを相談したところ、プロジェクトが立ち上がりました。松田さんは前職ソフトバンクでEC事業の立ち上げを担い、インターネット広告事業の責任者を務めていた方。現在は独立し、BOLSTERという会社でEC含めたWEBのデザインやシステム開発、コンサルティング等を展開し、EC関連のコネクションも持っています。松田さんは飲食業界への思いが強く、「飲食業界のために利益は度外視で取り組みたい。システムに関する部分は任せてくれ」という心強い言葉をくださり、すぐに行動することになりました。それが4月4日のことでした。

ECに関する情報発信&プラットフォーム作りが始動

―具体的にどんな行動をしていますか。

大きく2つ。ひとつは、飲食店がECを始める際に必要な情報を集めて発信していくこと。そしてもうひとつが、その情報をもとにECのプラットフォームを作ることです。情報収集は私が、プラットフォーム作りのシステム的な部分は松田さんが主導で進めています。

情報収集については、日々、行政や専門機関へ問い合わせたりしながら情報を整理し、Facebookの限定ページで発信しています。

コロナに負けるな!飲食店救済施策ECプロジェクトチーム

ECを行うには、食中毒を起こさないための細かな規定をクリアする必要がある。そこが大きな壁となっていますが、事故が起きては取り返しがつかない。適切な情報をもとに規定に沿って販売をすることが何より必要だと思っています。

―プラットフォームはどのようなものを考えていますか。

この非常事態の中でプラットフォームを作る目的は“利益の追求”ではなく“飲食店の救済”。ですので、可能な限り飲食店に負担のないかたちでECをできる場としたい。松田さんと目指しているのは「飲食店が美味しい料理を作ることに専念できるよう、その周辺環境を私達が整える」ということです。手数料を抑え、ECを始めるにあたって必要な情報をプラットフォーム側で網羅するなど、飲食店が料理以外の手間やコストを省ける体制を整えています。

具体的には、Yahoo!ショッピング内に「飲食店応援WEBストア」として特設サイトを作り、複数の飲食店ごとにページを作って、そこでお客様が買い物をできるようにします。お客様側からのメリットとしては、飲食店のECが一堂に会したサイトなので、一つの場で多くの店の商品を見ることができる。また、各種許可を得たうえで販売しているのでお客様には安全安心な商品をお届けできます。

ECは「飲食店営業」ではなく「食品販売」

―ECを行う上での課題はどんなもので、それをどう解決しようとしているのでしょうか。

そもそも、飲食店で店内飲食の商品を提供することは「飲食店営業許可」があればよく、一部の生ものなどを除いてテイクアウトやデリバリーも多くは「飲食店営業許可」の範疇で対応が可能です。ところがEC販売となると飲食店としての営業ではなく、「食品販売」になり、商品の「製造許可」が必要です。「飲食店営業許可」とは必要となるものが大きく異なり、ひとつひとつ課題を克服しないと販売することができないのです。

たくさんの課題があるのですが、大きいものは4つ。まず何よりは製造許可の取得。商品の種類によってそれぞれ規定があり、それをクリアしないとECで販売してはいけません。残念ながら、厨房の構造上どう頑張っても難しい場合もあります。が、自治体によってもまちまちで、まずは諦めずに問い合わせてみることが大切です。

また、商品には「食品表示法」に規定された成分表示を作成しなくてはなりません。食品表示検定というものがあり、私達のECプラットフォームでは、その資格を持った人にレシピや材料を渡してスピーディかつ格安に成分表示を作ってもらえる仕組みを調整中です。同時に、賞味期限や消費期限などの「期限表示」も義務づけられています。それについても、大手検査機関である食品微生物センターと協業し、検査してもらえる体制も作っています。最後に、商品代とは別に配送料がかかることもECの大きなネック。期間限定でもいいので配送料を安くできないか、運送会社と協議した結果、参加全店舗の配送料を約30%値下げてもらえることになりそうです。EC販売手数料がかかる分を配送料の減額で補えるかたちを目指しています。

課題を解決し、オールインワンで使えるECプラットフォーム

他にも様々な課題があるのですが、そうした諸問題をとっぱらったオールインワンのサービスを目指しています。先日、ようやくYahoo!ショッピング内に飲食店応援WEBストア「MIRAI便」としてリリースするまでこぎつけました。現在は、出店する飲食店を募っている段階で、準備が整い次第、早ければ5月上旬から販売ができるのではと思っています。通常、個人でYahoo!ストアに出店しようとすると審査等で申請から1カ月はかかる。この状況でそれは遅すぎると、松田さんの会社BOLSTERの協力により、申請後約2週間という短期間でストアを構築しリリースすることができました。

―今後は?

引き続き情報収集とプラットフォームの整備に努めていきます。正直、いつこの事態が収束するか、どのくらい長引くのかはわからない。今は最悪の事態に備えて収益を生み出せるチャネルは増やしていくべきです。例えば、いまオンライン飲み会が流行っていますよね。店に集まらずとも同じ時間を共有して会話ができる楽しみが知られていっている。でも、オンラインだと食べ物を共有できない。飲食店の醍醐味は、皆でテーブルを囲んで同じものを飲み食いすることにあった。ECを利用し、オンライン飲み会に合わせて皆で同じ食べ物や飲み物を注文し、それを楽しみながらオンライン飲み会をするといったシーンを提案するもの一つの案ではないかと思います。

「MIRAI便」はいままでECをやったことがなかった飲食店にこそ使いやすいサイトにしています。これを利用して活路を見出してほしい。まだまだ課題は山積みですが、随時、Facebookグループで情報を発信し、飲食業界に少しでも貢献できればと思っています。

(取材=大関 まなみ)

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