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コラム

「飲食激動の戦国時代」が来る!

日頃、親しくさせていただいているダイヤモンドダイニングの松村厚久社長から、昨日メールをいただいた。外食業界が構造不況下にあるなか、先日、業績の上方修正を行い、業界をアッと言わせたが、そのメールの内容は意外なものだった。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


ダイヤモンドダイニングは昨日、来春入社が決まった新卒内定者たちの内定式と懇親会(高校生を除く89名)を行なった。懇親会は銀座コリドー街の 「ワインホールグラマー」で行なわれたが、かなりの盛り上がりようだったらしく、その場からいただいたメールの内容は「最高潮の盛り上がりです」と興奮気 味だった。しかし、その後の内容は意外にも厳しいものだった。「いまは外食激動の戦国時代。その戦国時代を勝ち抜くためのロイヤリティの高い人材の確保で す」とあった。今日の新聞に、内閣府の調査が出ていた。「苦しい家計下で出費を減らす」対象のナンバーワンが外食。しかも76%の家庭がそうだという。そ うした外食大不況の到来を前にして、“勝ち組”の筆頭とされるダイヤモンドダイニングでさえ、「勝って冑の緒を締めよ!」とばかり、危機意識を忘れない。 松村さんが指摘するように、いま外食業界は激動期にあり、来年あたりから戦国時代の様相を呈してくるに違いない。アメリカ発の金融崩壊の影響はまず 不動産業界を襲撃したが、その波はジワジワとさまざまな業界に押し寄せて来よう。外食業界にも、不動産、金融的スキームで参入してきた企業が少なくない。 そうした企業は、資金繰りが悪化し、前向きな手を打つことができない。ベンチャーキャピタルに頼って成長してきた未上場の伸び盛り企業も、“上げ底”“つ ま先立ち”の経営をいつまでも続けることはできない。旧来型のチェーンオペレーションのシステムから脱却できない大手企業はもちろん、いかに小手先を変え ても、もう生き残ることはできない。最近、TVCMを打つ大手外食企業もあるが、それは末期症状であることを自らさらけ出している。 振り返れば、このコラムでも「既存大手チェーン店の時代が終わり、個店主義を掲げたニューチェーンが台頭する」と何度か書いた。そして、時代はその 通り回ってきている。それはあたかも、自民党から民主党へ政権が転がり落ちる前夜の政治状況と酷似している。人気のある麻生一郎氏が新たなリーダーとなっ ても、自民党がなぜダメかというと、自らを変える力がないからだ。「現状維持でいい」という何も変えたくない目に見えない勢力が権力の中枢に厳然と存在し ているからだ。大手チェーン企業の皆さんも心当たりありませんか?あなたより上の肩書を持つ人が、いかに会社を変える気がないかということを、身にしみて 感じるのではありませんか? ベンチャー企業の優れている点は、トップ自らが最も危機意識をもち、最も会社を変えていこうという気概を持っていることだ。時代の転換期、激動期に はこの危機意識を前提としたスピード感あふれる臨機応変な行動力、そしてリーダーシップが必要だ。2007年、2008年の2年間は、後から振り返れば、 外食業界にとって大きな転換期だったことがわかるだろう。そして2009年、それは松村さんが指摘するように、「戦国時代」に突入する。戦国時代はいわば 「下克上の時代」である。看板、ブランド、肩書などは、力にならない。『三国志』『史記』『孫子』を読めばわかるが、「いかに戦うか」「リーダーはいかに 生きるべきか」が問われる時代である。でも、勘違いしてはならない。大切な部下を洗脳系のセミナーに送り込み、マインドコントロールするようなマネは断じ てしてはならない。リーダーが自己改造したければ、自分一人が行けばいい。部下を巻き込んだマインドコントロールが“失敗の本質”であることは、太平洋戦 争敗戦の陸軍やバブル崩壊を生んだ東大・大蔵省の例をみるまでもなく、歴史が証明している。

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