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ワインと日本酒の洋風居酒屋「Le Ginglet」
今も昔も変わらぬ食材・料理・お酒を追求

神楽坂につながる西側に比べると、静けさのある飯田橋駅の東側。「ル ジャングレ」は、駅を出て徒歩2分ほどの路地裏にあたたかな灯をともしている
店内は、テーブル席がメインで、カウンターも3~4席ほど。クリーム色に塗られた壁には、ワインメーカーなど生産者のサインが記されている
約2000本のワインが並ぶセラーはまさに圧巻。一本一本ストーリーを持つワインから、自分のお気に入りを探す楽しさは、図書館で一冊の本を選ぶ楽しさに似ている。つくり手が意図した味わいのまま提供したい、とセラーは酵母が仮死状態になる14~15℃に保たれている
有沢氏が「日本一の猟師」と絶賛する松野譲氏の鹿肉をつかった「エゾ鹿のレアカツレツ」は必食の一皿だ
オーナーの有沢貴司氏

大学やオフィス、数多の飲食店が軒を連ねる飯田橋の路地裏に、夜毎にぎわう店がある。日本酒とワインを軸にした洋風居酒屋「ワインと日本酒のお店 Le Ginglet(ル ジャングレ)」。6月17日にオープンして以来、徐々にファンを増やし続けている注目の店だ。近隣のオフィスワーカーや業界人、食通の人々がこぞってこの店に集う理由は、いたってシンプル。気取らないおいしいお酒と料理があるからだ。だが、ただの“おいしい”ではない。オーナー有沢貴司氏が、ストイックなまでに追い求め続けてきた食と酒の宝庫なのだ。彼自身「ちょっとだけハイクオリティな居酒屋」と呼ぶこの店には、ナチュラルワインを中心としたワイン約500種類、2000本が特注のセラーにずらりと並び、冷蔵庫には、氏が料理と合わせて厳選した約50種類の日本酒たちが、いまかいまかと出番を待つ。刺身もあれば、パテもある。ワインを合わせようが、日本酒のあてにしようが、決まりはない。店名こそ「Le Ginglet」と、フランス語(「ワインを一杯飲みに行こう」の意)だが「ここはビストロではなく、あくまで居酒屋」なのだ。

「うちで扱う食材は、できるだけ自分で“体験”しにいきたい」と話す有沢氏。ワイナリーや酒蔵だけではなく、畑や牧場、時には猟に同行することも。だから、ひとつひとつにストーリーがあり、店の背後には様々な顔が見え隠れする。例えば、同店名物の「エゾ鹿のお肉」。有沢氏が毎年猟に同行し、全幅の信頼を置く釧路の猟師・松野譲氏から新鮮なまま店に直送される。「生産者と直接会って、関係を築くことをとても大切にしています。猟についていけば、仕留めた鹿がどんな木の実を食べて、どんな山や森で暮らしているのかを知ることができる。こんなことってネットや噂じゃ絶対わからないでしょ?」。たとえ彼が食材や料理について何も語らなくても、その一皿、その一杯から、自然の空気をたっぷり含んだ草木や潮の香りが漂ってくる気がして、想像力をかき立てるのだ。

もともとフレンチ出身の有沢氏が“居酒屋”に至った背景には、フレンチレストラン「OHARA ET CIE」での経験がある。ミシュラン一つ星を獲得したことを機に、「OHARA」には毎日、国内外から人々が押し寄せた。予約は数ヶ月先までいっぱいになった。当時、厨房の二番手を任されていた彼は、早朝から閉店後の深夜まで働き、シェフの背中を追いかけていた。ところが、本来のゆっくりコース料理を堪能するレストランというより、ミシュランガイドを手にしたお客たちの“観光地”の様相を呈するようになっていった。そんな現場を目の当たりにした彼の視線は、斬新で新しい料理を創造し続ける未知の彼方の世界から、脈々と受け継がれてきた伝統へ、普遍へと向かいはじめていた。「フレンチは、常に新しい料理を創造して、世界の飲食シーンに影響を与えてきました。その分、移り変わりも早い。自分でやる店は、最前線を更新し続けるより、昔からずっと変わらないものを軸にしたかったんです」。そんな想いで、27歳の時、学芸大学に「ワイン酒場booze」をオープンさせて、独立した。一杯500円のなみなみワインに、築地で仕入れた新鮮な食材、そして、一流レストランで鍛えた腕には自信があった。氏の想像を超えて、店は超人気店に。5坪だけの小さなお店に、毎晩お客が溢れかえった。一晩で100人以上が訪れることもあった。そして、2店舗目「ル ジャングレ」。広さは1店舗目の4倍ほど。回転率の高い1店舗目に比べ、ゆったり食事を楽しめるようテーブル席を増やし、より深くサービスができるようにした。

メニューは、季節の移り変わりや仕入れ状況によって変わっていくが、定番もある。松野氏のエゾ鹿肉を使った「エゾ鹿のレアカツレツ」(1280円)、「エゾ鹿のロースト」(100g 980円、オーダーは200gから)や、「成城学園サルメリア69の生ハムサラミ盛り合わせ」(100g 2500円)などだ。サラミ盛り合わせは「ぜひ温かいご飯と食べてほしい」と有沢氏。白ご飯の温度で生ハムの脂身が口の中でとろけ、米の甘味と生ハムの塩味が絶妙に溶け合う。ほかにも「とろ〜り出汁とじ卵」(580円)、「季節野菜のおひたし」(480円)などの和食も豊富。山椒やわさび、クリームなど様々な味付けが楽しめる「国産山盛りムール貝」(Sサイズ1480円〜)は、フォーやパスタ、リゾットにして〆る。どれも調理をシンプルにとどめ、食材の味を最大限に引き出した品々ばかりだ。

2000本にものぼるワインは、9割近くが自然派ワイン。巨大なワインセラーから好きなものを選んだり、選んでもらったり。氏やスタッフに尋ねれば、そのワインにまつわるおもしろいエピソードもついてくる。グラスで600円〜、ボトルで3800円〜。日本酒は純米酒をメインに、「A.生原酒 フレッシュなお酒」「B.食中酒 穏やかな」「C.ボディがある ふくよかな」「D.円熟 長期熟成」の4つのカテゴリーに分け、半合500円で提案。時の経過による味わいの変化も細かくチェックし、料理に合わせていく。日本酒好きには「日本酒50種類飲み比べコース」(120分 2500円)がおすすめだ。

「料理もお酒も、昔からある普遍的なものを提供したいんです。うちのワインにナチュールが多いのは、それが古代からある普遍的な飲み物だから」。長い年月を重ね、研澄まされた形。それを彼は“木の幹”という言葉で表現する。いつも変わらず根幹にあって、生まれ変わり続けるもの。それを次の世代に伝えていきたい、と。「店の隣りにブルワリーもつくりたいんです。そうしたら、ビールを販売して、家でも楽しんでもらえるでしょ?」と顔を輝かせる。今も昔も変わらず、そして常に新しい。そんな食の奥深さを教えてくれる貴重な店だ。

(取材=望月 みかこ)

店舗データ

店名 ワインと日本酒のお店 Le Ginglet(ル ジャングレ)
住所 東京都千代田区飯田橋4-7-4 グランプラス1F
アクセス 飯田橋駅から徒歩2分
電話 03-3556-3202
営業時間 ランチ 火〜金11:30〜14:30
ディナー 月〜土 17:00〜23:00
定休日 日曜日
坪数客数 18坪+テラス4坪・30席+テラス4席
客単価 5000〜7000円
関連リンク ワインと日本酒のお店 Le Ginglet(FB)

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