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コラム

「新・上野ワイン街道」を歩く

「3.11ショック」以降、自粛・節電の影響で東京のどの街も夜の明かりが落ち、人通りも少なくなっているが、そんな中でも元気に営業している飲食店は少なくない。上野エリアでいま増えているワイン業態の店を巡ってみた。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


昭和通り沿いの人気店「鳥番長」上野店の真向かいにあるパーキングの奥の“リトルコリアン街”ともいうべき東上野一丁目エリアには韓国料理の店が並んでいるが、その一角に昨年11月にオープンしたのは「東京ワイン居酒屋ぼんず」。このエリアではちょっと目立つお洒落なファサードだが、値段は大衆居酒屋並み。フードは280円~、グラスワインは380円均一。ボトルワインも2,000円~で、種類もけっこう多い。料理の幅も広く、ワインに合う一品料理からからガッツリ系の肉料理、パスタ・ピザまである。御徒町の居酒屋「地鶏城 梵厨」の新業態とあって、幅広い客層を狙った「ワイン居酒屋」のポジションとして人気を集めそうだ。昭和通りの内側に戻って、大衆酒場が軒を並べるエリアにある焼肉「太昌園」上野本店ビル地下に昨年10月にオープンしたのは「イタリンバール イル カドッチョ」。1階がやはり「太昌園」経営の立ち飲み「カドクラ」。そこから取ったネーミングなのだろうが、なかなかチャーミングな店名だ。   「イル カドッチョ」の売りはなんといっても焼肉店ならではの肉料理。牛、鶏、羊肉を山盛りにした「男の肉盛り」は550グラムで2,800円。ワインはボトル2,000円~でまさにがぶ飲みガッツリ系ワイン食堂のポジションだ。新橋の魚金グループが魚を武器にビストロやイタリアンバールで当てたように、太昌園グループも「肉」を打ち出したワイン業態を展開するのだろうか。今後に期待したい。JRのガードをくぐって上野広小路に出て湯島駅からすぐのところに、いまや大繁盛店となっている「ワイン厨房 tamaya」がある。浅草の酒屋・大桝が昨年2月にオープンしたワインダイニングで、今年2月には八丁堀に2号店を出した。ソムリエがセレクトしたワインは酒屋価格ならではのリーズナブルさ。料理も本格的で上野OLの女子会のメッカになっているほどの人気ぶりだ。   上野エリア最大の歓楽街、キャバクラの客引きがたむろする仲町通り商店街は飲食店が密集する。この通りの奥にスタイリッシュなワインの店がある。居酒屋「わすれん棒」などを展開するタウンダイニングの「洋食・ワイン酒場 ビストロ I’m Fine上野店」である。リーズナブルなワインと豚料理をメインとする。サービスは居酒屋らしいフレンドリーさで人気を博している。仲町通りに、海鮮酒場「上野市場」を展開する上野市場グループが2年前にオープンした「下町バル ながおか屋」はいまや上野アトレのオザミグループの「バニュルス」と並んでランドマーク化している大箱スペインバル。やはり居酒屋グループならではのサービス力には定評があり、上野大衆マーケットのなかでカジュアルワイン業態として定着した。「ながおか屋」の前には、最近オープンしたばかりの「上野酒場食堂 CROSS UENO」がある。若い仲間が集まってワインとスモーク系のビストロ料理を打ち出した。「人と人の交わりを大切にしたいと思って CROSS(交差点)という店名にした」という。ワイン不毛地帯といわれた上野エリアだが、しっかりと新しいワイン業態が育ち、根付きつつあることを実感した。  

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