「目の前で仕上げるスイーツ」来店したくなる工夫が話題に
コンセプトは「記憶に残る最初のひと口」。お客の目の前で仕上げを行うスタイルや、段階的な構造で最後まで楽しめる味づくりを取り入れると、来店するからこその体験が話題となり、テレビや雑誌からの取材も相次ぐように。集客はInstagramのみ、フォロワー0人からのスタートだったにもかかわらず、連日1分で予約が埋まるほどの人気を獲得する。
藤田氏は当時を振り返り「この時期は誰もが家にいて、スマホやネットを見る機会が多かったことも影響しているのでは。それに、かき氷専門店はあまり積極的にSNSを活用していないように思います。人気店でも営業時間やメニューのみのお知らせが多い中で『ちょっと変わったかき氷店ができるらしい』と目を止めてくださったのではないかと感じています」と話す。
かき氷で順調な滑り出しを見せた藤田氏は、いずれは365日毎日違う食のお店を作りたいと考えるように。その一環として始めたのが焼き芋専門店だった。「父から『今の焼き芋はねっとりとしていてすごいらしいぞ』と聞いて、すでにある焼き芋専門店に実際に食べに行ったらかき氷同様に感動してしまいました。ほくほく系だけでなく、ねっとり系の品種を使った焼き芋スイーツはきっと受け入れるだろうと思ったんです」。
その後は2か月間、銀座のシェアスペースで「ナナシノ焼芋店」を営業。中目黒同様に安定的な売上につながった。また、故郷・札幌でも2021年夏にかき氷店の間借り営業を行い人気を得たが、もともと藤田氏は実店舗を構えることについて考えてはいなかったのだという。「中目黒、銀座、札幌と短期間で転々と営業するうち、ある時から『お客様にとって場所が変わり続けるのはわかりにくいのではないか、もう一度来たいとは思ってもらえないのではないか』と思うように。お客様とのコミュニケーションの中で、ひとつの場所にあることの重要さを実感し、店舗探しを始めました」と話す。
実店舗開業のためにクラウドファンディングを利用したところ、目標の300万円を1日で達成。最終的には460万円もの支援を実現させている。すでにファンの定着化も進んでいたこともあるが、ニーズをつかむ藤田氏のマーケティングや、発信力の巧みさも一助になっている。
藤田氏は「チョコレートの原材料メーカーで営業をしていた頃、ただ商品を売ろうとするのではなく、『うちのチョコレートを使ったらこんな商品が作れます』と相手が求めることを想像し、その先を提案するようにしていました。だから今も常に『お客様が何を求めているか』を客観的に考えています」と話す。
PRマーケッターとしても活動する藤田氏は「ナナシノ」でもその視点を重視。SNS、そしてクラウドファンディングでも同様に『どんなことが書いてあったらお店に行きたいと思うのか』『支援したいと思うのか』と、一歩引いた目線で考えながら発信しているのだという。
店舗データ
店名 | ナナシノ |
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住所 | 東京都目黒区上目黒2丁目13-6-201 |
アクセス | 中目黒駅から徒歩3分 |
営業時間 | 11:00〜17:00(完全予約制) |
定休日 | 月曜、火曜、木曜(月により変動あり) |
坪数客数 | 約11坪、カウンター8席 |
客単価 | 1500~2000円 |
運営会社 | 株式会社NEW STANDARD |
オープン日 | 2021年11月10日 |
関連リンク | ナナシノ(Instagram) |
関連リンク | ナナシノ(HP) |