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浅草にクラフトビール専門店「奥田麦酒店」がオープン。浅草橋の人気店「イタリアン酒場トレンタ」オーナーによる2店舗目は、9タップを備え“肉とビール”がコンセプト

6月1日、浅草のすしや通り商店街に「奥田麦酒店」がオープンした。運営は、浅草橋にある人気店「イタリアン酒場トレンタ」を運営する奥田知之氏率いるOKUDA。“ビールと肉”がコンセプトのクラフトビール専門店だ。店内には一杯からサク飲みできる立ち飲みスペースとしっかり食事ができるテーブル席があり、多様なニーズに応える。新型コロナウイルスの影響で観光客を取り込めない打撃を受けながらも、地元客を中心に堅実に集客している。

浅草の観光ストリートのすしや通り商店街にある。地元住民も多く行き交う
モルタルの壁で無骨なイメージに仕上げた店内。サーバーの圧力計の位置やライティングなど、奥田氏自身が細部にこだわった
OEMで製造する同店オリジナルビール2種をはじめ、そのときどきで奥田氏がセレクトするクラフトビールが揃う
ボリュームたっぷりの「肉の3点盛り」(1980円)は日替わりで、牛ミスジ肉、豚トロ、メンチカツなどが盛られることも
クラフトビールの魅力に魅せられたOKUDA代表の奥田知之氏

(取材=福井 晶)


イタリアンや「レストランヨシカミ」などで修行後、30歳で「イタリアン酒場トレンタ」開業へ

OKUDA(東京都台東区)代表の奥田知之氏は浅草出身。飲食業界に足を踏み入れたのは高校生時代のアルバイト経験がきっかけだ。その後、インテリアの専門学校に進学し、カナダへ留学。現地の飲食店で働いた際に料理に目覚め、自身の進む道を飲食業界に定めた。帰国後は30歳で独立開業を目標とし、1店舗目の店名をイタリア語で30を表す「トレンタ」に決めていたという。料理人としてイタリアンで数店舗、地元の老舗洋食店「レストランヨシカミ」で5年勤め、夢に向かって突き進んだ。奥田氏は「とにかく料理人の経験とお金を稼ぐのに奔走しましたね。『レストランヨシカミ』で働いたのも、忙しくてハードな現場を経験しておきたかったからです。その時から1店舗目の店名は、イタリア語で30を表す「トレンタ」と決めていました」と話す。2016年、30歳のときに自身の地元に近い浅草橋で、カジュアルにイタリアンを楽しめる「イタリアン酒場トレンタ」開業。地元民にも愛される人気店となった。

足場板を使用した荷物置きや、カウンター下の波板など独自のセンスが光る内装づくり

1店舗目の運営が安定したことから、2店舗目に着手し、2019年末には地元浅草にある同物件に出会った。「このエリアは人通りが多く、立地の良さは言うことなし。集客が見込めるエリアである分、家賃は高いがうまくハマる業態を作れば勝算はあると考えました」と奥田氏。業態は周囲に競合店が少ないクラフトビール専門店に決めた。コンセプトはわかりやすく“肉とビール”にすることで、クラフトビールに詳しくない人も気軽に楽しめる業態を意識した。

元とんかつ店だった物件を大幅に改装。店内のアクセントとなっている足場板を使用した荷物置きや、カウンター下の波板などのアイデアは奥田氏によるものだという。「費用を抑えながらも、無骨でクールな印象に仕上げたくて。工事中に何度も顔を出して、イメージ通りの店を作るために微調整を依頼しました」と同氏。タップを囲む立ち飲みカウンターは8人分あり、テーブルは20席、ひとり客からグループ客までを幅広いシーンで利用できる。

OEMで生産するオリジナルビール2種を含む9タップを用意

クラフトビールは9タップを備え、Sサイズ400円〜700円、Lサイズ580円〜900円ほどで提供する。定番の「アサヒスーパードライ」(Sサイズ400円、Lサイズ580円)が固定で、残りの8種類は日替わりで提供。銘柄は国内のブリュワリーを中心に奥田氏がセレクトし仕入れる。イチオシはOEMで生産するオリジナルビール「ヴァイツェン」と「アンバーペールエール」。「オリジナルの2種類は、とあるメーカーに依頼し、私好みを反映しつつクラフトビール初心者にも飲みやすい味わいに仕上げました」と奥田氏。その他、サワー類とハイボールは420円均一、赤白のハウスワインはグラスで400円、デキャンタで980円と手頃な価格で提供する。

料理には「とにかくビールに合うもの」をラインナップ。コンセプトでもある肉料理は日替わりの「肉の3点盛り」(1980円)が一番人気で、レアに焼き上げられた牛のハラミ肉や豚の鴨ロース、鶏もも肉のフライなどが豪快に盛られている。また、「自家製ハム」(480円)やステーキにした「牛ミスジ肉」(880円)なども人気だ。肉以外にも、「おつまみ しらすのペペロンチーノ」(520円)、「いかのフリット」(480円)、「モッツァレラチーズのクロスティーニ(2個)」(580円)など、軽いつまみメニューも用意する。

テーブルチャージを設定せず来店ハードルを下げたことも作用し、立ち飲みでサクッと1杯を嗜むお客から複数人の飲み会まで取り込み、客単価は1000円〜6000円ほどと幅広いという。

浅草の観光客が見込めずとも、地元住民の心をつかみ堅実に集客

コロナウイルスの影響を受け、3月から家賃が発生していたものの「やるしかない!」と奮起して開業へこぎつけた奥田氏。物件の契約当初は、インバウンドや、三社祭や隅田川花火大会、サンバカーニバルなど浅草で行われる各種イベントによる集客を期待していたという。新型コロナの影響でそれらのお客が見込めなくなったものの、地元住民を中心に堅実に集客しているのが現状だ。同氏は「無理に頑張りすぎるのではなく、状況によっては『トレンタ』を手放すことも検討しています。ただ、苦しい部分もある一方で、今クラフトビールの勉強がとても面白くて。知らないところに飛び込んでいってスキルアップするタイプなので、上手くいけばこの業態を伸ばしていきたいですね」と前向きに話した。

店舗データ

店名 奥田麦酒店(おくだばくしゅてん)
住所 東京都台東区浅草1-8-4

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アクセス 浅草駅、田原町駅から各徒歩5分
電話 03-5246-3945
営業時間 【火〜金曜】16:00〜24:00【土日祝】12:00〜24:00
定休日 月曜
坪数客数 15坪、カウンター8人、テーブル20席
客単価 1000円〜6000円(テーブルチャージなし)
運営会社 株式会社OKUDA
オープン日 2020年6月1日
関連リンク 奥田麦酒店(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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