飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

ヘッドライン

肉とおばんざいの居酒屋「かぶきんとん」が恵比寿に開業。再開発で閉店したかぶらやグループの「かぶ金とん 渋谷桜丘店」の系譜を継ぐ独立店舗。界隈に珍しい客単価3500円で日常使いされる酒場を目指す

3月3日、恵比寿駅から徒歩5分の場所に「かぶきんとん」がオープンした。オーナーはかぶらやグループに13年間勤めた久和伸哉氏。同氏は同社経営の肉とおばんざいの居酒屋「かぶ金とん 渋谷桜丘店」で店長を務めていたが、渋谷再開発により閉店。店の復活を志し、その暖簾を受け継いで独立を果たした。コンセプトやメニューのみならず、高級店の多い恵比寿の立地にも関わらず客単価3500円までもを引き継ぎ、界隈に珍しい日常使いの酒場を目指す。

階段を降りた地下1階に店舗があり、「こんなところに居酒屋が!?」と意外性のある立地
店内はカウンター席、テーブル席、掘りごたつ席を設け、冬場はこたつから抜け出せなくする戦略だ
「おばんざい5種盛り合わせ」。旬の食材を使いつつ、盛り付けが華やかな現代版のおばんざい
渋谷桜丘店時代からの名物、豪快に焼き上げた「炭火 かぶきんとん焼」。一人前で2〜3名でわけられるダイナミックなボリューム。ほとんどのお客がオーダーするという
オーナーの久和伸哉氏(写真右)とスタッフさん

かぶらやグループで育ち、店への愛ゆえに独立

オーナーの久和伸哉氏は大学卒業後、かぶらやグループ(愛知県名古屋市)の代表、岡田憲征氏のヴィジョンに共感し、同社に入社。名古屋を拠点に7年ほど勤務し、店長や営業部長を経験した。スキルアップのため、「かぶ金とん 渋谷桜丘店」の立ち上げに進んで手を挙げ上京。4年半、店長を務めた。満席になる人気店に成長するも、再開発に伴い惜しまれつつ閉店することになった。会社としては移転オープン等はしないと聞いた同氏は、独立して暖簾を受け継ぎたいと申し出た。「社長に直接、『かぶきんとんをください』とお願いしました。僕はずっと“誰もが主役になれる居酒屋”を作りたくて、それがこの店だったんです」と店への愛を語る。退社までの1年間は名古屋に戻り、複数の店舗をサポートするポジションで活躍した。計13年間働いたことを振り返り、「岡田社長のもとで店の運営やチームづくりなど飲食店経営の一切を学びました。最後までよくしてもらって感謝しかないです」と話す。

退職後、再び上京し開業準備と並行してプロダクトオブタイム(東京都品川区、代表取締役:千 倫義氏)の「品川 うお宿」や「大衆酒場BEETLE」で1年ほど勤務。未経験だった魚の技術、料理の質とオペレーションを両立する技を学び、新店開業への糧とした。

内装を半分以上DIY。資材の再利用で「かぶ金とん 渋谷桜丘店」のDNAを強く受け継ぐ

物件は「かぶ金とん 渋谷桜丘店」のあった場所から離れすぎない渋谷、中目黒、恵比寿周辺を希望していた。以前の店舗から徒歩圏内の同物件が空いたと聞き、内見。「地下1階でありながら踊り場が広く、吹き抜けで開けていているのが理想的。周辺に居酒屋の気配がしない隠れ家っぽさが、これまでの『かぶきんとん」のイメージとぴったりだった」と契約に至った。周囲に日常使いできる居酒屋が少なかったことも理由の一つだ。

元寿司店の居抜きで内装は大幅に作り直し、テーブルや床など半分以上をDIYで仕上げた。壁は塗装を剥がし、あえてコンクリート打ちっ放しのままに、照明、カウンターは以前の店で使っていた資材を保管しておき、再利用。以前、店に通っていた常連も親しみが湧く店に仕上げた。

フックとなる肉料理と飽きのこないおばんざいでリピーターを作る

料理は肉とおばんざいが中心で、ほとんど同じメニューで変わらぬ味を提供する。材料の仕入れ先も変更せず、一部はかぶらやグループの製造部門から仕入れる徹底ぶりだ。来店のフックとなるのは、たれに漬け込んだ骨付豚スペアリブを炭火で焼いた「炭火 かぶきんとん焼」(1180円)。サブコンテンツとして、お客の前で焼き上げる野菜たっぷりの「鉄板 鶏ちゃん焼(塩・味噌)」(880円)、日替わりの「おばんざい5種盛り合わせ」(1180円)が脇を固める。その他にも旬をおさえた「ホタルイカポン酢」や「初かつおタタキ」(各880円)などの刺身、おばんざいの「あさりと菜の花の旨塩」(580円)、「小松菜のナムル」(480円)など酒にあうつまみを幅広く揃え、「ごはんと豚汁」(380円)、「海老天むす」(580円)などのご飯ものも用意する。日常的に食べたくなる料理を低価格でラインナップし、「普段、旬の野菜やお惣菜を食べる機会がない人に、新たな食の楽しみを知ってもらいたい」と同氏。

ドリンクは居酒屋らしい品揃え。「キリン一番搾り生ビール」は中が550円、「イケメン」と銘打った大サイズは1200円。「強炭酸ハイボール」(500円)、カンパリがベースの「赤い島レモンサワー」(500円)、「リアルゴールドサワー」(500円)など。ハイボールにも「イケメン」サイズを用意し、グループ客の盛り上げに一役買っている。日本酒やワインもできるだけリーズナブルな価格設定を意識。日本酒は常時入れ替え制で8種類、90ml450円、120ml650円から揃え、ボトルワインは赤白3種類ずつ、オレンジワインと泡を1種類ずつ、1980円から用意する。また、タップマルシェを導入しクラフトビールも2種類(750円~)揃える。

お客の期待に応えるため、恵比寿の立地でも客単価3500円をキープ

同店は「かぶ金とん 渋谷桜丘店」同様、全世代に親しまれ日常遣いできる店を目指し、客単価の設定を3500円としている。周囲の飲食関係者からは「恵比寿と代官山の間という立地で安すぎるのでは」と心配する声も多い中、それでも値上げしないのは同氏が店長時代に岡田社長から「客単価を上げることはお客様を裏切る行為だから絶対にやってはならない」と教えを受けたためだ。同氏は「『かぶ金とん 渋谷桜丘店』の初期はお客様が少なく単価を上げたいと思ったこともあったが、この言葉を胸に来てくださるお客様を大切にしていたら、満席になる店ができました。これからもお客様の期待を裏切らない店でいたい」と語る。

現在の客層は以前の店からの常連がメインで、新規客は20代、30代が多く、もっと客層を広げるために店のブラッシュアップを図る予定だという。新型コロナウイルスの影響を受けて、飲食店経営について改めて感じるものがあったと話す。「改めて、社員を雇って、店を作っていくことの大変さを痛感しています。リスクを抱えながら、経営を続ける社長や先輩方には尊敬の念しかないですね」(久和氏)。また、今後の事業展開はまだ構想中だと話しながらも、「居酒屋で人生が交差する瞬間に価値を感じて起業を志しました。”人”の魅力を引き出すことが得意なので、チーム力と個々の魅力を売りにして、先輩方に負けない店を作りたい」と闘志を語った。

(取材=福井 晶)

店舗データ

店名 かぶきんとん
住所 東京都渋谷区恵比寿西1-30-14 エコー代官山 B1F
アクセス 恵比寿駅から徒歩5分
電話 03-6427-8858
営業時間 17:00~25:00(料理LO 24:00 ドリンクLO 24:30)
定休日 月曜
坪数客数 22坪51席
客単価 3500円
オープン日 2020年3月3日
関連リンク かぶきんとん (Instaagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

 >> 大きな地図を見る

ヘッドライン一覧トップへ

食べログ掲載店募集中

飲食施設の分煙環境整備補助金の取り組み
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.