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コラム

沸騰し始めた「中野エリア」

キリンビール本社が4月に移転したことも手伝って、いま「中野エリア」が注目されている。飲食店が集中する北口エリアのみならず、南口にはニューオープンが増え、さらに阿佐ヶ谷から高田馬場までの広域中野圏"も賑わいを見せ始めた。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


中野エリアでいま最もホットなのは、南口のレンガ坂周辺である。このエリアのコミュニティスタンド的な役割を果たしているのが、気軽に立ち寄れるオシャレなバル「ビーボデイリースタンド」だ。経営はVIVO PRODUCTION TOKYO(ビーボプロダクショントーキョー)の鈴木健太郎さん。学生時代、スペインで出会ったバルに魅せられ、脱サラして開業した1号店だ。現在、代々木、高田馬場など6店舗を展開している。その近くに、グローバルダイニング卒業生のビッグベリー、大林芳彰さんがオリエンタルビストロ「アガリコ」3店舗目の「アガリコタラート」を出店して、深夜も人の流れが増えた。そして、日本酒新時代の到来を機に、「シャンパングラスで日本酒を!」と新スタイルの日本酒バル「中野 青二才」が「ビーボ」の並びに今年1月にオープン 。瞬く間に人気店となり、いまやレンガ坂の新しい顔になった。オーナーは阿佐ヶ谷でダイニング「青二才」を経営する小椋道太氏。2号店は思い切って日本酒バルで勝負してきた。これら「ビーボ」「アガリコタラート」「青二才」の“バル三羽烏”がレンガ坂の新名所として中野活性化の立役者となっているが、さらにニューオープンも登場してきた。5月8日にレンガ坂、「青二才」を少し下ったところにオープンしたのが「中野レンガ坂スペインバル Siono(シオノ)」。三鷹「ラ・クエバ」、五反田「ばる あらら」を運営しているグループの3号店。オーソドックスなスペインバルだが、1階路面で間口が広く、レンガ坂では目立つ店舗に仕上がっている。レンガ坂の一本裏手の路地には4月20日、高円寺でクラフトビールと日本ワインの店「萬感」を経営している高橋雄一郎さんが、二階建て一軒家の「中野BANKAN」をオープンした。こちらは日本ワインに特化しており、常時100種類の日本ワインを揃えている。ニューオープンではないが、昨年12月に「BANKAN」の路地にオープンしたのが、カップ地酒を常時20種類以上置いてある「晩酌処 tententen」。カップ酒はすべて純米酒というこだわり。オーナーの布施有美子さんは新宿、初台にも店を持ち、ここは3店舗目となる布施さんにとって、ここは初の和食業態。日本酒を採り入れるにあたり、他の日本酒の店と差別化するためにカップ酒にこだわったと言う。カップ酒は5~6年前、神泉「BUCHI」や恵比寿「BURI」などで株式会社東美の岩倉さんが仕掛け、大ブームになったが、今回の純米酒ブームのなかで、改めて見直されるかもしれない。中野から“純米カップ酒”を発信する布施さんの「tententen」に注目したい。中野エリアの注目ポイントはキリンビール本社の移転。それに伴い、飲料、飲食関係者の中野訪問が増えているし、キリンビールの新しい“牙城”として、ビール各社の“攻防戦”が繰り広げられ、マーケットとして活性化していることがあげられる。ただ、北口の飲食街はすでに物件が枯渇しており、新規出店は南口、さらに中央線、東西線、丸の内線の阿佐ヶ谷から高田馬場、東高円寺、新高円寺、中野坂上あたりまで物件を探す飲食店も少なくない。中野駅から蜘蛛の糸のように伸びているバス路線沿線立地も注目だ。こうした“広域中野圏”の今後の動向からも目が離せない。

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