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コラム

「バブルへGO!!」と「大衆グルメ社会」

「バブル時代」をテーマにした映画「バブルへGO!!」が封切られ、人気を集めているという。あの時代の残り火"がいまなぜか甦り始めた。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


「外食」の本質は“エピキュリアニズム=快楽至上主義”である。かつて、日本にもその快楽主義が解放された時代があった。それが「バブル期」 1986~91年のわずか5年間である。その時代にタイムスリップし、思いっきり当時のバブルライフを懐古させてくれる映画「バブルでGO!!」が話題に なっている。筆者もその時代、“サラリーマン編集者”としてピーク・パラダイスを謳歌した。その後のジェットコースターの急降下のような“バブル崩壊”も 体験した。 映画配給のフジテレビの思惑はわからないが、製作がバブル時代にキーマン集団の一つだった「ホイチョイ・プロダクションズ」というのは、当時もそう だったように、かなり綿密な“流行マーケティング”分析に基づいたカルチャー発信の仕掛けなのだろう。景気回復の最後の“寄る辺”は「バブルの残り火」に 油を注ぐことしかないという深慮遠謀であろう。それが“隠された国策”であることを暴露している。格差社会への傾斜を正当化する文脈さえ感じる。 バブル時代、外食といえば、「鉄人」「イタ飯」「ディスコ」「ディープブルー」。ホイチョイが著した『東京いい店やれる店』はベストセラーになっ た。20年を経て、いまや「グルメ大衆社会」である。ネットで検索すれば、食べたいもの、行きたい店が溢れている。「いい店やれる店」も巷に氾濫してい る。こうした“大衆化”したグルメ社会はもう飽き飽き。「バブルへGO!!」は、それと一線を画す“再バブル”を求める新富裕層の心理を、果たしてくすぐ ることができるのだろうか。あのバブルは、私には「巨大なテーマパーク」でしかないと思えるのだが…。

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