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先鋭的カクテルを楽しむ進化系バー「COCKTAIL WORKS 神保町」 国内外の蒸留所が力を入れるクラフトジンを常時80種類以上揃える


大学の街、書籍の街として知られる神保町にフルーツやハーブを用いたオリジナルカクテルを楽しむ「COCKTAIL WORKS (カクテルワークス)神保町」が2016年10月3日にオープン以来話題となっている。“カクテルの作業場”というストレートなコンセプト通り、フレッシュなスパイスやハーブ、フルーツで作る独創的なオリジナルカクテル、国内外のバーテンダーやシェフが注目するクラフトジンを常時80種類以上揃える進化形バーだ。フルーツやハーブを使ったミクソロジーカクテルなど進化系カクテルを軸にしたバー業態を都内に4店舗展開するオーチャードナイト(東京都千代田区 代表取締役宮澤英治氏)が運営。ペリーニシェーカー、液体窒素、薫製、浸漬、食材乾燥機、ロータリーエヴァポレーターなどの様々な調合機を用いた独創的で斬新な手法が注目されている。

大学時代のアルバイトをスタートに卒業後は日比谷バー(環境開発計画)、サントリーのグループ企業であるダイナックとスキルをアップさせてきた宮澤氏。両社では従来のオーセンティックバーとは異なり経営までを含めたバー業界のノウハウを学んだという。ダイナック時代には世界的カクテルコンテストでの優勝をはじめ、サントリー主催のコンテストで度々、最優秀賞や入賞するほどカクテルの実力者でもある。そしてフルーツを主体としたカクテルと食事を楽しむ新しいスタイルのバー業態の展開を目指し、新しい事業を立ち上げた宮澤氏。社名はチェリーヒーリング主催のカクテルコンテスト世界大会で優勝した、オリジナルカクテル“オーチャードナイト・果樹園の騎士”から名付けたという。宮澤氏は「バーテンダーが一杯のグラスのなかに全てをまとめ創作するカクテル同様に、お店作りに必要なのはバランス感覚。コンセプト、空間、商品、それを彩るグラスやメニュー。そしてバーテンダー自身までもが一体化し五感に共鳴するようなライブ感に溢れた新しいバーの形、スタイルにこだわっている」と話す。既成概念を破るミクソロジーカクテルをはじめとした新しい試みから誕生するクラフトカクテルなど、国内外ではすでに新しいバーシーン、スタイルが始動しているという。そんな新しいスタイル、進化するバーを目指すのが宮澤氏である。

今、ニューヨークやロンドン、パリをはじめ世界的に注目されるクラフトジン。薬草成分であるジュニパーベリーを基本に、植物由来のハーブやスパイスを独自に調合した蒸留酒はその奥深い香りと味わいを魅力としている。その多くは自生する素材を採取し、クラフトビール同様に小規模な蔵で蔵人が楽しみ、手作りするため、少量生産でその貴重性は高い。生産される国も様々で、ボトルのデザイン、個性的な味わいなどユーモアに富んでおり、それもまた人気を後押しする。

同店で揃える約80種類のクラフトジンのうち、多くは海外醸造だが、京都蒸留所の“季の美”など最近日本で作られたジンも置く。繊細で個性的なテイストをロックやソーダー(1200円〜1600円)でシンプルに楽しむのもいいが、やはり宮澤氏はカクテルを勧める。ジンをドライ、樽熟成、ハーブ&スパイシー、フルーツと4つのタイプに分け、夫々のテイストを引き立てるフレッシュフルーツ、ハーブ、スパイスを併せた「オリジナルカクテル」(各1400円)を提供している。ほかにはモヒートをベースにフレッシュフルーツで作る「シグネチャーカクテル」(1400円)、フルーツやハーブ&スパイスを併せた「クラフトカクテル」(1200円〜1400円)など店名が示すうようにオリジナルのカクテルが揃う。当然ながらベーシックな「スタンダードカクテル」(1200円〜1400円)からウィスキー類、ワイン、クラフトビールまで、バー専門業態としてのポジションを見せる。フードは「前菜の盛り合わせ」(3種類1500円/5種類2000円)、「4種類のキノコのアヒージョ」(900円)といった軽めの一品から「豚ロースのグリル バルサミコソース 林檎のグラッセを添えて」(1500円)、「牛肉のステーキ ジェノベーゼソース」(1800円)などボリューミーな一品まで、どれも店内で手作りされる本格料理である。「マルゲリータピザ」(1200円)や「海老とほうれん草のクリームパスタ」(1400円)までも用意されている。

ジンに使われる様々な薬草、緑をアクセントカラーに用いた天高のある空間。7メートルを超える存在感のある大理石のロングカウンターのなかにバーとキッチンの機能を見事に収めている。ヨーロッパの古いアトリエをイメージした内装は、アンティークショップの手によるカスタムメイドだ。学生時代から飲食と同時にアパレル業界でも経験を重ね、ビンテージに造詣の深い宮澤氏のセンスと志向が見事に表現されている。

今後については「今までもそうです、今後もコンセプトをしっかりと作り、コンセプトに沿った出店を考えています。そのためにもどんどん現場をスタッフに任せます」と語る。そこにはバーテンダー業務に留まらず、調理から経費管理まで全てをこなせるような積極的で幅のあるバーテンダーの育成といった、大きな課題があるからだ。

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