飲食店・レストランの“トレンド”を配信するフードビジネスニュースサイト「フードスタジアム」

インタビュー

創業43年、伝説の居酒屋「駒八」を築き上げた「駒八おやじ」こと八百坂 仁氏。その経営哲学&これまでの軌跡に迫る!~前編~

居酒屋「駒八」の創業者、八百坂 仁氏。1975年、27歳のときに脱サラし、夫婦で高円寺の7坪ほどの物件にて創業。そこから43年、長きにわたって愛される「駒八」を築き上げ、多くの飲食業界関係者から「駒八おやじ」の愛称で慕われている。2018年11月に田町に開業した新店舗を含め、グループで10店舗を展開中。70歳の今もなお店頭に立ち、笑顔でお客を迎えるバイタリティを持ち合わせる八百坂氏だが、ここまで道のりは決して平坦ではなかったはずだ。そんな同氏の経営哲学を探るべく、フードスタジアム編集部はインタビューを行った。




【八百坂 仁氏 来歴】
株式会社駒八 代表取締役社長。1948年7月25日、北海道・室蘭生まれ。大学進学を機に上京。商事会社の外商部で勤務したのち1975年に脱サラ、1975年、夫婦2人で高円寺に7坪の居酒屋「駒八」を創業する。その5年後、田町に「駒八 本店」として移転。現在は「駒八」をはじめ、立ち呑みやバーを田町に5店舗、豊洲・目黒・青物横丁・浜松町でも店舗を展開。加えて2018年11月には、商業施設のムスブ田町に「駒八 ムスブ田町店」が開業。これを機に八百坂氏の息子・圭祐氏が同社に復帰するなど新しい展開を見せている。

―いつも笑顔で人情深く、多くの飲食店経営者から「駒八おやじ」の愛称で慕われる八百坂さんですが、これまでの歩みの中で、自身の内面はどのように変化してきたのでしょうか?

私は今70歳ですが、実は、60歳になるまで、同業者の方々とのかかわりはあまりなかったんです。創業時、若い頃はずっとワンマン経営でやってきました。当時はバブル真っただ中、イケイケの時代だったからこそ、ワンマンで推進力を発揮し、発展してくることができたのかもしれません。ときには従業員と口論になるようなこともあった。でも、当時は今と違って創業者というのはパワーがないとダメな時代だったんです。

―60歳を機にどのような変化があったんですか?

日本の男性の平均寿命から80歳まで生きるとして、60歳で人生の3/4が過ぎたことになりますよね。これまでの3/4の人生を振り返ると、私は人から何かを与えてもらうことが多かった。残りの1/4は、今まで受けてきた恩を、今度は私が返す番だと思い始めたんです。そうして同業の人との交流を増やすようになった。60歳になって、こわいものがなくなったというのもあるかな。その一環として始めたのが「駒八経営塾」。若手経営者や飲食関連企業の営業マンなどに対して、これまでの経験から導いた経営手法や哲学を教えています。こうして「人に教える」という立場になると、ワンマンではいられない。人に教える前に、自身でも勉強をする必要性を感じました。居酒屋協会やORA(大阪レストラン協会)など、さまざまな会合にも参加し、人と交流していろいろな気づきを得ています。そうするうち、以前よりも性格は丸くなったのではないかな(笑)。



―創業から43年、これだけの長い間、「駒八」が愛されてきた秘訣とは何でしょうか?

お客様第一!これに尽きます。利益優先の拡大路線に走ると、お客様第一からはずれてしまうと私は考えます。よく、飲食業は家業であれ、と言います。すなわち、お客様第一を守るのであれば、企業としてではなく、家族経営のような小さい単位で行うのが良いのです。

当社は、最も多いときで17店舗を運営していた。1人が見られる店舗数はせいぜい10店舗程度だと思います。なぜ17店舗もできたかというと、当社には優秀な番頭がいたから。彼と私の2人だったからこそ、すべての店舗に目が行き届いた状態で17店舗を運営しながら、お客様にしっかりと満足を届けられたのだと思います。もともと私は何十、何百店舗もやるつもりはありませんでした。

たとえば、うちみたいな何でも出す総合居酒屋は、春は山菜の天ぷら、冬は鍋……のように季節感を大切にしたメニューを用意します。その時期の旬の素材を使用し、効率を重視した冷凍モノは一切使わない。素材が一番おいしい状態できちんと仕込みをして提供する。当たり前のようですが、うちみたいな規模の店が、企業として拡大路線を取ろうとして冷凍品を使ったりセントラルキッチンの一括調理をしたりすると、品質が落ち、お客様が離れるのです。



あとは時流を読むこと。創業時の1975年から、現在の状況は一変しました。当時はバブル経済で上がり調子。今はというと二極化。とくに価格の安いものが好まれるようになった。例えば、「晩杯屋」をはじめとするいわゆる「せんベロ」の立ち飲み業態や、吉野家など大手チェーンが提案する「ちょい飲み」など低価格路線のものがどんどん登場している。登山のように、今は上りなのか、それとも平たんか、下山のときか。バブルのときも、バブル崩壊後も、その時々の時流を見て判断し、出店を進めてきたことが、うちが40年続けることができた秘訣なのではないでしょうか。

後編は八百坂氏から見た現在の飲食業界や若手経営者について、また、多くの経営者が悩む後継者問題、さらには「駒八」の新展開について、八百坂氏が語る。乞うご期待!

(取材=大関 愛美)

インタビュー一覧トップへ

食べログ掲載店募集中

飲食施設の分煙環境整備補助金の取り組み
Copyright © 2014 FOOD STADIUM INC. All Rights Reserved.