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新たなカルチャーが生まれる街のハブ空間を目指す「Salmon&Trout(サーモン&トラウト)」、通称サモトラが三軒茶屋と下北沢をつなぐ茶沢通りに2014年8月26日オープン

茶沢通りに面していながらも、その店構えから飲食店だとは思わせない
店内左奥にバーカウンター。ディスプレイされているアンティーク自転車は購入も可能という不思議な空間
本日はカレイを骨抜きにした「フィッシュ&チップス」にヤーコン入りのマヨネーズソースを添えて
森枝氏と山崎氏が一緒に狩猟体験もさせてもらったという山梨県早川町で捕獲された鹿肉の「鹿カツ」は、ジビエ独特の臭みが全くない
左からソムリエの山崎裕太氏とオーナーシェフの森枝幹氏

最寄り駅の三軒茶屋駅からも下北沢駅からも徒歩10分強。あまりアクセスが良いわけではないのに、わざわざ訪れる店がある。通称、サモトラと呼び親しまれるその店のオープンは、2014年8月26日。三軒茶屋と下北沢の二つをつなぐ茶沢通り沿いの代沢小学校近くに「Salmon&Trout(サーモン&トラウト)」がオープンして以来じわりじわりと人気を集めている。白い壁の一軒家、道路に面した窓際には自転車がディスプレイされており、ここが飲食店とは思わず、通りすぎてしまいそうなファサードの同店。扉の向こうには、正面にオープンキッチンとカウンタ席、テーブル席が1組。カウンターテーブルの木目の柔らかさとコンクリート壁の力強さとが、よく調和したコンパクトな空間の店を切り盛りするのは、オーナーシェフの森枝幹氏とソムリエの山崎裕太氏。1986年生まれの若き二人だ。

オーナーシェフの森枝氏は、大阪の辻料理師専門学校を卒業後、渡豪し、世界を代表するシドニーの人気ジャパニーズフレンチレストラン「TETSUYA’S」にて1年間基礎を学ぶ。そこには、いろいろな人種の考え方やライフスタイル、食材がその土地に合わせられ、シンプルかつ柔軟性に富んだボーダーレスな料理が存在していたという。帰国後、表参道の京料理「湖月」で、日本料理の繊細さや正確さを徹底して習得し、日本橋マンダリンオリエンタルホテルのタパスモラキュラーバに入店。日本に居ながらも、英語で接客しながら料理を提供することやエル・ブジの調理方法を習得した同氏。2012年に、表参道の商業複合施設「246common」にて「omotesando sakaba」を出店し、独立。その後、同施設内に自家製シロップとソーダドリンクの店「THE CO2」を出店し、群馬県の農場「太陽と雨」の運営も兼任するが、2014年5月の同施設閉館に伴い、3店舗を閉店する。その後、小、中学の同級生であり、バンド「told」のギタリストでもあるソムリエの山崎氏と出会い、今回の出店に至った。

「毎日楽しく仕事をしていたはずが、独立して、店舗展開をすると、いつの間にか自分の仕事がスタッフを守るためにお金を稼ぐという作業化しているように感じて、楽しくなくなってきました。自分でビジネスを行うことに疑問を抱くようになり、思い悩んでいたときに施設の閉館の話があり、リセットする機会だと感じました」と森枝氏。きちんと稼げて、楽しく仕事ができること。リスクは極力少なく、できれば取らないこと。自分が発信できる、地域のハブとなるような存在の店が自分のやりたいことだと気がついたという。そうして、森枝氏は、山崎氏と小さなサイズのボーダーレスな店「サモトラ」をはじめたのだ。店名の「Salmon&Trout」とは、イギリスの俗語で「痛風」という意味を持つという。生産者が手間隙惜しまず手塩にかけた痛風になりそうなほど美味しい食材を使い、痛風にならないように自家農園や契約農家で作られた野菜やハーブをたくさん使用して体にも心にも優しい料理を提供することの意味を込めている。

メニューは、旬の食材とその日の食材で仕立てられるコースが「5000円(6〜7品)」と「6500円(10〜12品)」の2種のみ。“新しいことを探す”をキーワードにした森枝氏のジャンルにとらわれない、ボーダーレスな料理が皿の上でスト—リーを繰り広げる。たとえば、そのままバリバリと丸ごと食べることができる「フィッシュ&チップス」は、魚の骨を取り除き、結着剤でくっつける下処理を行っている。付け合わせのポテトも、表面をドライ加工してから低温でじっくり揚げるため、カリッとした歯触りと滑らかな舌触りが楽しめる。まるでビーツとフランボワーズのソースが血を彷彿させる「鹿カツ」は、敢えて脂の少ない赤身の鹿肉を揚げることで脂をたすのだという。どれもクリエイティブでいて、繊細な感覚で調理技術を駆使するセンスと遊び心が食材のおいしさを一層引き立てるエンターテイメントな品々だ。ドリンクは、ソムリエの山崎氏と相談しながら、料理とのペアリングを楽しめるように、その土地の味や風土を大切にしたクラフトビールや個性的なワイン、氷温熟成された造りの日本酒などが用意されている。

休日は、食材探しの旅に出かけたり、気の置けない仲間とイベントを開催したりして過ごしている森枝氏。今後は、“サブカル”と“料理”のフェスなど、楽しくて面白いイベントを企画して行きたいと話す。「自分の好きなこと、やりたいことは自由にやりながらも、お客さまにいつまでも飽きないで通い続けてもらえる、声の届く範囲の店でありたいです」と同氏。インターネット上から誰でも簡単に情報を手に入れることができる時代だからこそ、本物の価値や意味を追求し、選び取る力が問われる。ひょっとしたら森枝氏のスタイルは、新しいようでいて、スタンダードなのかもしれない。お客に選ばれる店というのは、店がお客を選ぶことでもあるのだろう。森枝氏の今後が楽しみだ。

(取材=下前 ユミ)

店舗データ

店名 Salmon&Trout(サーモン&トラウト)
住所 東京都世田谷区代沢4-42-7
アクセス 小田急線・京王井の頭線 下北沢駅から徒歩9分
東急東横線 三軒茶屋駅から徒歩12分
電話 080-4816-1831
営業時間 18:00~26:00
定休日
坪数客数 7坪・11席(内カウンター7席)
客単価 8000〜10000円
関連リンク Salmon&Trout(HP)
関連リンク Salmon&Trout(FB)

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